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名付けられること/わかること

立岩 真也,企てに参するを企てる・5
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■立岩真也「企てに参するを企てる」1〜6

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石井雄一「言葉がさかさまになる怪獣」

 ※以下立岩担当分

企てに参するを企てる
 ■1 与える人たちの学問でないこと
 ■2 歴史を見る
 ■3 なおる/なおらない/なおさない
 ■4 言葉を調べる
 ■5 名付けられること/わかること
 ■6 誰が?

■5 名付けられること/わかること cf.◇名づけ認め分かり語る…

 自分の状態がなんであるかわかること、名前がつけられることは、一方ではよいことであると思われています。病気が隠されてきた時代から、今は正しい情報を知るのが正しいということになっています。自分で決めるためには情報がいるというわけです。たしかにそれはそうでしょう。
 しかしまず、どうにもらならないことがわかることがよいだろうか。これは「生命倫理学」と呼ばれるような領域ではわりあい論じられてきたことです。けれどもそれがそんなにいけているかというと私はそうは思わないのです。だから「生命倫理」を自分なりにやったとも言えるし、別のことをやってきたとも言える。それはすこしややこしい話なのでここでは措きます。ここでは、そういう死の病の告知というのとは別の場面を見てみます。
 さて、さきにはわかるのはよいことだと言いましたが、同時に、やめてくれと思う、腹が立つということもあります。ここもいったいどうなっているのでしょう。これも実はあまり研究されていないし書かれてもいないのです。
 病気が否定的なものとされている時にそうだと言われると、さらにはおおっぴらにそうだと言われると困る、恥ずかしい、嫌だということがあります。これはわりあいわかりやすい。ただそれとすこし別の、いやだという感覚があり、主張もあると思います。自分は病気でもなんでもないのに、勝手に病気だとされてしまう、と思うということがあります。これは、さっき言った、私たちは何を病気だと、障害だと言っているのかに関係するかもしれません。例えば本人は苦しくないのに、という場合がありそうです。
 ★01ただ、さらに、それだけでもない。診断を求め肯定しながら、しかし、批判する人もいることがあります。さらに、肯定し否定している人はときに同じ人であったりします。「自閉症」などと言われている状態についてそんなことが起こっています。このことに関係して私が書いたのは『自閉症連続体の時代』という本でした★01。
 ★02病気・障害だとわかって喜ぶ人はいないという話もありますが、自閉症の場合、そうだとされて、また名前がつけられてよくないことはなんでしょう? 自分のせいではないことがわかるという場合があります。家庭環境のせいでなく、自分の努力の足りなさによるのでもなく、脳の神経の状態の問題だとなると、自分や親の責任でない、それで責められることがなくなる、楽になるということがありました。また、なおらないにしても、どうやって生きていくかそのヒントが得られるということがあります。
 ★03他方で、診断されると、その診断のあとに続くベルトコンベアーのようなものに乗せられてしまう、マニュアル通りに扱われてしまうという危険が感じられることがあります。そう言われるとそれももっとなことだと思われます。
 さてどうしたものでしょう? 両方もっともなのだから間をとる、ということでよいでしょうか? しかしこの場合には「間」「真ん中」と言われてもなんだかよくわかりません。二つまぜて半分に割るということにはならないはずです。だからこれは考えるに足る主題だと思います。そしてじつは、こんなことについても調べてみるといろいろ出てくるのに、調べられてないことがたくさんあることがわかります。
 私はそんなことを調べて考えたいと思って、自閉症というような題名がついたりしている本をあるだけ買い込んで、はしから見ていくといったことをしました。それ自体、けっこう面白い現象だと思ったのですが、わりあい短い期間の間に、おもに自分たちがその本人たちだと思うことになった人が書いた本が百冊以上あります。アマゾンのマーケットプレースなどを使うと、近年のものはかなり簡単に集められます。★04そうして集めた本は、みんなこちらのセンターの書庫というところに集まっています。古いものからただ順番に並べていっています。★05そして一冊一冊についてホームページのページを作り、そのリストを作ったりしているのです。こうして簡単に集められるものから集めているので、またこれからそれは続けていきますから、使ってもらってよいですし、どんなことを知りたいのか言ってくれれば集め方を知らせたり、こっちで集めることをします。こうして、まともに当たると難題な主題について、人が既に書いたり考えたりしたことを使って、だんだんと考えていくことができるのです。

★01 
 【『自閉症連続体の時代』表紙
 の下に小さく
 立岩真也,2014,みすず書房】
 http://www.arsvi.com/ts/2014b1.htm…表紙写真使用
『自閉症連続体の時代』表紙 ★02 [PPT]
 【私のせい、親のせい、ではない
  病気で免責される、ことがある】
★03 [PPT]
 【マニュアルは便利、
  だが危険な気もする】
★04 書庫写真
★05 HP、本のリスト:http://www.arsvi.com/b/b2010.htm


 ※この話に関係する、番組収録の後に刊行された本

立岩 真也 2018/11/30 『不如意の身体――病障害とある社会』,青土社 文献表

立岩真也『不如意の身体――病障害とある社会』表紙 立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙 立岩真也『不如意の身体――病障害とある社会』表紙 立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙



■問題 ○×で答えてください。

◇1 なにか与える側の学問と別に、与えられる側が研究したってよい、と講師は述べた。○/×
◇2 障害はつねに直るのがよい、と思わない人もいるようだからその事情を調べるとよい、と講師は述べた。○/×
◇3 研究で金をえられるようになるかどうかはわからないが、しかし楽しいことはあるかもしれない、と講師は述べた。○/×
○4 過去を明らかにすることは楽しいことばかりではないが、しかしそれでも明らかにした方がよいこともある、と講師は述べた。 ○/×
○5 言葉がどう使われてきたかをきちんと調べることも研究の一つであると、講師は述べた。○/×


JMOOK:https://www.jmooc.jp/

UP:2018 REV:20190118
名づけ認め分かり語る…  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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