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定藤邦子『関西障害者運動の現代史』に「関西・大阪を讃える」再掲1

「身体の現代」計画補足・528

立岩 真也 2018/09
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/2165430837057225

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[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 著者が大学院生のときに関わった人たちの本がかなりの数になった。数えたら、私が博士論文の主査をつとめた人の本で、これから出ることになっているのを含めて23冊。その紹介を、ときにその著書のなかに書かせてもらってきたものもある。近日中に、そういうものがまた増えもするので、これまでも紹介してきたが、そういう文章を再掲していく。まず
◇定藤 邦子,『関西障害者運動の現代史――大阪青い芝を中心に』,生活書院
に書いた
◇立岩 真也 2011/03/31 「関西・大阪を讃える――そして刊行を祝す」,定藤[2011:3-9]
 を

 「すこし「青い芝の会」のことを知っている人は、第1章は飛ばして、後で読んでください。第2章から本格的に関西の話、おもに大阪の話が始まる。関西はおもしろい。こういうことに関わってきた人なら皆知っている。しょぼい、けどすごい、すごいけどしょぼい、つらいけどおもしろい、おもしろい、けどつらい、そんなことがいろいろと起こった。「ここはぜひとも詳しく、できるだけ詳しく」と著者の定藤さんにお願いしたきたのでもあるが、例えば、『さようならCP』の上映運動や『カニは横に歩く』の製作活動(第2章第5節、一〇〇頁)、そして和歌山身体障害者福祉センター糾弾闘争(第3章4節1の(2)、一五四頁)、川崎バス闘争(第3章4節4の1の(4)、一七一頁)、そし大阪青い芝の会(他)に関わることになった人たちのそれまでの暮らしのことその後のことが詳しく記されている。
 そうしたことがあったことをいくらかの人は知ってはいる。しかし、私も含めて、詳しくは知らない。関わった人にはもういない人もいるし、忘れていることもある。その時に何が具体的に勝ち取られたのかと言えば、それほどの「獲得物」はなかったと言えるのかもしれない。しかし、とにかくなされたことがあった。それを行なった人たちがいた。私たちはそれらに対する、その人たちに対する敬意を感じ、その敬意を持ち続け、それを伝え続けるためにも、それらを記録し、読み、知らねばならないと思う。また、私は追悼するという行ないがどんな行ないであるのかわかっていないのだが、亡くなった後も人や人の行ないは記憶され讃えられるべきであると思う。この本は、そのための本でもある。

 関西はおもしろい。そのことはわかっていた。けれど、私たちが大学院生などしていてやがて『生の技法』(一九九〇年、増補改訂版一九九五、藤原書店)にまとめられた調査をしていたころは、お金もなかったし、関西に行くこともできなかった。一度、安積遊歩(純子)さんとともに京都・大阪に一度だけ訪れた記憶はある。京都で日本自立生活センターの長橋栄一さんにお会いし、今福義明さんにお会いした。そして大阪で「自立平和」というすごい名前の飲み屋でりぼん社に関係されてきた方々にお会いした、のだったかもしれない。そしてそれと別に、中西正司さんらの「ヒューマンケア協会」(東京都八王子市)の立ち上げの前、土肥隆一さんらがやっておられた「神戸ライフケアー協会」の見学にもごいっしょさせてもらったことがあるように思う。そして、その本がそろそろできるという頃、故・高橋修さんとともに福島に行って、そこにある療護施設を訪ね、その夜、本のことを話し合ったことがあった。すべて記憶が定かでない→記録って大切だと思う。あとはずっと東京近辺で調べることしかできなかった。」


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20182528.htm
にもある。


UP:2018 REV:
『人間の条件――そんなものない 増補新版』  ◇立命館大学大学院先端総合学術研究科  ◇病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇『現代思想』 
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