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星加良司『障害とは何か』の2の01

「身体の現代」計画補足・456

立岩 真也 2018/01/01
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/1991612241105753

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 『現代思想』2018年1月号が発売されている。
http://www.arsvi.com/m/gs2018.htm#01
 そこに載っている私の連載の第141回「星加良司『障害とは何か』の2」を断片的に分載していく。今回はその初回。立岩真也編『社会モデル』
http://www.arsvi.com/ts/2016m2.htm
の購入者には、この回の原稿を収録した増補版を無償で後日提供します。

 「■星加規範論の仕組み
 なにか調べてきて並べたりまとめたり、といったことだけでは終わらないだろうと思い、「理論的に」ものごとを解明しようとする。私もそんな仕事が(仕事も)必要だと思う。少ないがそれを志向した著作がある。しかしそこにときに後退を感じてもしまう。これはいったいどういうことだろうかと思う。時代診断的なことはさておき、まずは議論の中味だ。社会、社会問題、あるいは狭くは人の不幸を捉える時の手つきについて考えておくこともあってよいと思う。
 前回から星加良司の『障害とは何か――ディスアビリティの社会理論に向けて』(星加[2007]、以下著者・発行年略)を検討している。その本を検討する部分のある榊原賢二郎の『社会的包摂と身体』(榊原[2016])も取り上げる。順序通りに論を追うわけではないからまず本にあたってもらうのがよいが、関連する文章を収録した『社会モデル』(立岩編[2016])にも比較的長い紹介がある。
 星加は「ディスアビリティ」――普通は「障害」の訳語ということになる――を規定しようとする。その際「インペアメント」――「損傷」と訳されることもある――をもってきてディスアビリティを規定することを棄却した。さらに責任を言う議論も否定した。代わりに星加は不利益をもってくる。「ディスアビリティの同定のための新たな枠組みを用意する。まず、ディスアビリティ概念における不利益の位置付けについての新たな見方を提示する。その上で、「不利益の集中」の形式として、「複合化」および「複層化」という観点から整理する」([194])と言う★01。
 […]

 「★01 「ディスアビリティを構成する個別の不利益について規範的な不当性を確認しようとする試みの意義と限界が確認された。これを受けて本節では」([193-194])とつながっている。
 第1節「不利益の規範的特定の試み」の1「規範的社会理論の役割」。「社会理論においてディスアビリティの概念化を行おうとする際に問題となるのは、ディスアビリティ理論が依拠する価値的・規範的前提が、この社会に生きる人々の持つ規範的な感覚と連接しうるものになっているかどうか、という点である」([151])。ただ、そこで私の論も引かれ、「連接」は「一致」ではないとされている。現にある判断をそのまま是認するのではないが、しかし無視はできない、しないということだ。
 2「「障害者差別」という視角」。津田英二の議論(津田[1996])を本人が差別だと思っているものが差別という論である等として棄却する([152-154])。次に岩崎晋也の論(岩崎[2004])が検討される。「結局「不当」な状況を特定するための定義の中に、「平等」、「得られるべき」、「不当な」といった規範的なコンセプトが無前提に用いられているために[…]不当性の基準としての規範の提示に成功しているとは言えない」とする([155])。
 3「「責任モデル」の射程」。遠山真世の論(遠山[2004])が検討される。「基準の設定をめぐる規範的問いをブラックボックス化することによって成立している[…]。「責任」の帰属範囲、ないしその基準としての「選択」として特定化される範囲についての議論を欠いた「責任モデル」では、ディスアビリティとして特定される領域は、結局記述者の恣意に全面的に依拠したままで放置されることになるのである」([158-159])。」


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20182456.htm
にもある。


UP:2017 REV:
病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇『現代思想』 
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