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長い停滞を脱する


立岩 真也 2018/12/24
第33回国際障害者年連続シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから,於:京都テルサ

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第33回国際障害者年連続シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから,於:京都テルサ
 ※全記録、収録・掲載しました。

立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙   立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

■立岩真也 2018/12/24 「長い停滞を脱する」

司会 次は研究者の立場から、立命館大学先端総合学術研究科教授の立岩真也さんにご講演いただきます。立岩さん、よろしくお願いします。[02:10:08]

立岩 私30分振られていたんですけれども、全体がたいへん押しているので、大幅に短縮して10分バージョンで話します(笑)。長いの、短いの、色々やるので。
 広告になってしまいますけれども、でも真面目に、今日のためにこの本書いたっていうのもほんとはあるので、ほんとに広告させてもらいます。『病者障害者の戦後』っていう、タイトルはちょっと大きいんですけれども、具体的には国立療養所っていうのが、何で筋ジストロフィーの人、それから重症心身障害児って言われている人、そういう人たちを収容する施設になり、この、その状態がずっと長く続き、今ようやくそれが少し変わりつつあるっていうあたりのことを書いた本です。
 誰もが読むかというと…、これ長いんですよね、500ページぐらいある本で、たぶん朗読すると20時間ぐらいかかると思うんですけれども。そういう長いものですが、しかし、特にその支援とかね、そういう仕事をしている人に関して言えば、たぶんほとんど何にも知らないことだと思うんで、読んでいただきたいと、真に、切に願ってる次第です。
 国立療養所、今はちょっと名前違いますけれども、それがどういうふうにっていうのは、そもそも何だったか、っていうとですね、1945年に戦争が終わるわけです。その時に日本の大きな問題っていうのは結核だったんです。結核の人が何十万人っているなかで、国立療養所を作ってそこに収容したってことが戦後すぐにありました。ただ、それが1950年代になってくと、だんだん収まっていく。これは、薬ができたってこともありますけれども、国民の栄養状態が多少良くなってきた。健康状態がそれに反映されて、っていうことで、空きが出てくるんです。では空きができて、その病院はなくなったかっていうと、なくなんなかったんです。これは精神病院も同じで、いったん作ったものってのはなかなかなくならないんだけれども。だけど結核の人たちは現に減ってった。その時何が起こったかっていうと、筋ジストロフィーの人を受け入れたわけです。
 ちなみに最初に筋ジストロフィーを国立療養所が受け入れたのは1960年のことです。今から58年前、僕ちょうど60年生まれなんですけど、その年なんですね。仙台の西多賀病院っていうところに山田三兄弟、とくに富也さんはけっこう有名人なんですけれども、が入った。それが64年、65年ぐらいに国の政策になっていって、以後、国立療養所が受け入れていきます。
 本では、どういうふうにそれが肯定されてきたかを書きました。まず医師たち。それから労働者の組合(02:12:54)です。つまり自分たちの療養所っていうものに働き場がなかったら困るわけですよ。で、労働者、経営者、経営者でもある医師。それから親の会、政治家、世論、そういったものが寄ってたかって、そういう体制をつくった。で、それはみんなにとっていいことだって思われ、思われ続け、それが続きます。[02:13:17]
 特にその経営者たちですね。今日その後輩にあたるお二人が午前中お話しされたわけだけれども、その先輩にあたる人たちがいかにその国立療養所に筋ジストロフィーの人を収容するっていうことが素晴らしいことであるのかってことを異口同音にっていうか、ほとんど同口同音ですね。同じ言葉で同じように肯定し続けるっていう時代が20年も、30年も続くんです。というようなことが、たぶん今の現実を作ってるんです。そのまま。その間、運営し運営に賛同する人たちは自らを肯定し、他の人たちは知らない、忘れる、最初から知らない、っていう状態で何十年も続いた。
 他方、実はそれだけではなくて、私1960年生まれだって言いましたけれども、57年、58年、59年あたりに生まれた人たちが、1980年代の頭、それでももう30年前ってことになりますが、自立を試みたことがあります。高野岳志さんっていう人であったり、福島あき江さんって人であったり。これは千葉の療養所にいた人たちですけれども、その人たちが出る、わけです。ただその人たちは、50年代後半の生まれで、20歳台で亡くなってしまうってことがあります。ていうことで、それがそのままついえてしまった。ちなみに、今度映画が公開されるらしいですけれども、鹿野さんって方が…、『夜バナ』ってご存知かな、あれですよね。彼は59年生まれです。彼はもうだいぶ長く生きたんで映画にもなりました、本にもなりましたけれども、80年代で亡くなってる方もいらっしゃる。
 ちなみにですね、JCILは1985年の設立ですが、本に出てくる高野〔岳志〕さんっていう人は、自分が自立生活センターを作りたいっていうことで1981年に千葉市内で「宮崎障害者生活センター」を始めて、志半ばで84年に亡くなる、ということがあるわけです。
 で、そういったことを今誰が覚えてるか、知ってるか、ってことなんです。で、60年代にそういう体制ができ、80年代にそういう勇敢な、しかし途中で挫折してしまった試みが起こり、そして、それからさらに35年も経ってしまった、ってことです。
 で、近年になってようやく、これここでは話すのあえてやめますけれども、そうやってできた体制と全く違う所から出てきたものだけが今回の事態を変えることが現にできてるってことです。その時に作られた医療の体制、それに連なるような福祉業界の人たちっていうのと全く別のところから、70年代以降、自立生活の運動が起こり、そして制度を獲得し、そして自立生活センターを作り、そういうシステムを作ってきた。そのことだけが、ここ数年になって、ようやく、長く…、もうだから始まってから60年ですよ、60年経ってるこの体制っていうものをようやく今変えつつある。それがその、関西で、兵庫、大阪、京都で、今始まってるってことは、我々としては誇るべきことでもあり、そして、同時に、遅きに失したと。50年間、60年間我々は何をしてきたのかってことです。世間は何をしてきたのかってことでもある。そういうことでもあるってことを、だけを、今日お伝えに参りました。
 ちなみに、じゃあどうするかってことですけれども、どうするかっていうことは色々あるんですけれども。一つ、まずその「病院の許可を得ないと病院出られない」っての、絶対おかしいです、これは。移動の自由、居住の自由っていうのは大きな強い権利ですから、それを制約するには十分な理由がないといけないはずです。だからまず我々としては、そこのところを「出れないはずはない」と。「出るってことを制限するってこと自体が完全に違法である」というふうなところから出発しないといけないということ。それが一つ確認です。
 その上で、じゃあどうやって暮らしていくかっていうことだけれども、簡単で、二つしかないですよね。国立療養所と昔言われたものを良くするってこと。それから、出て暮らせるってこと。出て暮らせるってことは今、JCILをはじめメインストリーム協会もはじめ、そういうところが何十年もかかってその体制を作ってきた。それをさらに発展させることです。
 で、国立療養所をよくしていくことは、なかなか実際には難しい。ただ今日、非常に大きな獲得・成果だったのは、午前中、梶さん〔宇多野病院院長〕がやってきて、「これをします。これをします。これをします。これをしません。」っていうことを何項目にもわたっておっしゃった。これは確実に前進だと思います。
 とはいえ、なかなか難しいでしょう。その時に、もちろんその、国立療養所、病院自体をよくするってこともさることながら、そこに、今日も午前中言いましたけれども、病院じゃない人たち、誰でもいいですけれども、例えば、ここのJCILの人、メインストリームの人、そういう人たちが自分の仕事としてそこで仕事ができるような仕組みを作っていく。その方がたぶん病院をよくしていくよりも手っ取り早いと思うんです。早いと思います。そしてそれは病院をよくしていくことに確実につながりもする。それは大変なことであって、JCILにもメインストリームにも負担をかけると思いますけれども、それでもやった方がよい、そう思います。
 ということで、何分経ったかわかんなかったですけれども、途中から見るの、時計見るのやめたんで。でも十分よりは早かったと思うんで、私の話終わりにします。本買ってください。
 もう一つ、広告があります。石井誠さんっていう筋ジストロフィーで、書を書く人 、すごいかっこいい字を書いた人ですけれども、もう亡くなられましたが、彼の遺作展っていうか、書の展覧会があるんだそうです。1月に大阪難波の方でやります。それの広告の葉書が後ろの僕の本売ってるあたりにありますので、あとで興味のある人はご覧ください。以上です。

会場 (拍手)


■第33回国際障害者年連続シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから

ツィッター等でのお知らせ(↓)

https://www.facebook.com/xmas.symposium/

■シンポの映像記録(岡本さんより)

@ 開会から新潟病院長中島孝さん講演まで
https://youtu.be/2I4T_Idy8B0

A 当事者の問い 立岩真也さん×宇多野病院長梶さん
https://youtu.be/uoNDZ7sQeWY

B 自立した当事者 高橋雅之さん/古込和宏さん
https://youtu.be/2Jp_Q-X-sug

C 植田健夫さん「病院と自由〜退院体験から考えたこと」
https://youtu.be/5CpJhbcrarU

D 長期入院中3人(斉藤さん/藤田紘康さん/野瀬時貞さん)が生中継で発信
  〜立岩真也さん〜メインストリーム協会藤原勝也さん/JCIL大藪光俊さん)からの報告〜閉会
https://youtu.be/54HuRVPoIZc

■報告他

◆古込 和宏 2018/12/24 「地域移行2017年秋於金沢」,第33回国際障害者年連続シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから
 ※古込さんは体調のことで12/24には来れないことになりました。残念。またの機会に。以上はたぶんどなたかが代読されると思います。→スカイプで参加ということになりそうです。

高橋 雅之 2018/12/24 報告

◆植田 健夫 2018/12/24 「こんにちは。筋ジス当事者の植田健夫(たけお)です。よろしくお願いします。2000年、宇多野病院入院。2018年11月19日、宇多野病院を退院。」
 パワーポイント資料→[PPT]

◆藤原 勝也(メインストリーム協会) 2018/12/24 「筋ジス病棟からの自立のサポート」


◆ライブ中継します。
 岡本さんより。「入院中の人にこそ、シンポを届けたいです。youtubeなので、gmailアカウント作る→youtubeに自分のチャンネルをつくる、の一手間かければ、誰でもコメントを書き込めます。
 ライブ中継は、ユーチューブ上にJCILのチャンネル開設!
https://www.youtube.com/channel/UCI6-e5VLCdHitOssT0s9qaw/featured?view_as=subscriber&fbclid=IwAR0mTg9my8i01wEnKhEoXPKdD_pprN27A083ZZkad6VxNPxuQ6HoYl2-Az8

◆「筋ジストロフィー患者の自立生活考える 病院と映像つなぎ議論  京都新聞社 2018年12月24日 22時39分
 写真→病院と会場を映像でつなぎ、患者から病院での暮らしぶりを聞く参加者(京都市南区・京都テルサ)
 ご覧ください。→https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181224000093

 「筋肉が徐々に動かせなくなる難病、筋ジストロフィー患者のよりよい暮らしを考えるシンポジウムが24日、京都市南区の京都テルサで開かれた。長期入院を余儀なくされている患者が全国で約2千人に上る中、自立生活を実現する方策を当事者や支援者らが議論した。
 4年前に国立病院機構刀根山病院(大阪府豊中市)を退院した兵庫県西宮市の高橋雅之さん(56)は、自立した生活を送る醍醐味を「好きな時に好きな場所に行ける。大分県の湯布院でリフト付きの温泉に入れたことが一番の思い出」と語り、「障害があるというだけで自立できないのはおかしい。強い意志があれば自立できる」と呼び掛けた。
 国立病院機構宇多野病院(右京区)など病院と会場を映像でつなぎ、入院中の患者の暮らしぶりを伝える試みも行われた。看護師不足や誤嚥(ごえん)性肺炎の危険性を理由に、病棟内での移動や食事が制限されている実態を患者3人が訴えた。
 宇多野病院の梶龍兒(りゅうじ)院長らを交えた質疑応答で、「なぜ安全管理が必要なのか」との質問に、梶院長は「責任を負いたくないという医療者側の保身があった。患者さんの自己決定が最優先されるべきだ」と強調し、自立生活への移行に前向きな姿勢を見せた。
 シンポは日本自立生活センター(南区)などでつくる実行委員会の主催で、市民ら約130人が聞き入った。」【 2018年12月24日 22時39分
 ご覧ください。→https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181224000093

◆筋ジストロフィー患者たちが講演
 NHK 12月24日 19時43分
 https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20181224/2010002596.html

 「全身の筋肉が次第に衰えていく難病「筋ジストロフィー」の患者たちが医療支援を受けながらできるだけ自立した生活を送るための方法などについて意見を交わし支え合おうというシンポジウムが京都市で開かれました。
 筋ジストロフィーは全身の筋肉が次第に萎縮して衰え体を動かすことが難しくなる難病で、きょう京都市で開かれたシンポジウムには、医療支援を受けながらできるだけ自立した生活を目指す患者やその家族、それに医療関係者などおよそ130人が集まりました。
このうち、3歳のときに発症し、先月から京都市内で1人暮らしを始めた植田健夫さん(43歳)は、食事のメニューを自分で考えスーパーで食材を選ぶことにも喜びを感じるなど生活は充実しているとして、「観光地を探索したりカフェを訪れたりして、生活を楽しみたい」と目標を語りました。
 一方で、人工呼吸器のマスクの交換など入院しているときに比べると苦労する点は多く、ヘルパーなどまわりの人たちにとっても負担が大きいのが課題だと報告し、参加した医療関係者などはメモをとるなどして熱心に聞いていました。
 主催した団体は、今後、患者から聞き取りを行い支援態勢を充実させる方法を探っていきたいとしています。」

「入院17年 人工呼吸器の筋ジス男性が京都で自立一人暮らし」,2018年12月16日 19時20分 京都新聞社
 https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181216000088

■中島孝先生・梶龍兒先生への筋ジストロフィー当事者からの質問
 ※中島さんの講演の後に(12時前?)読んでもらって答えてもらいます。

(1)デュシェンヌ型は平滑筋も機能低下するので常に全身管理が必要です。なので在宅を希望しても病状的に難しいとか無理とかいうドクターがいると聞きます。私は、そもそもデュシェンヌ型患者の地域に受け皿がないと言いきられました。先生にお聞きします。 「デュシェンヌ型の患者は死亡退院するしか選択肢がないのでしょうか?」 また、「在宅で生存し続けるためには何が必要でしょうか?」 医学的観点からお聞きしたいです。

(2)病棟だと、準夜深夜は患者40人に対して看護師の人数が4人と限られています。ナースコールも頻繁に鳴るのでなかなか来てもらえない時もあり、深夜帯の朝は排泄介助食事介助で忙しくて必要な介助を受けられないのが今の現状です。地域で自立生活をしている人には一対一でヘルパーがついています。なんでこんなにも差があるのでしょうか。看護師の人数増やせないでしょうか?

(3)新潟病院は患者何人に対して、日勤、準夜、深夜看護師は何人ですか? 新潟病院は地域生活に理解ありますか?長期入院患者で、家族に負担かけずに地域移行をした人はどれくらいおられますか?今までで印象深い地域移行のケースを言える範囲で教えていただけますか? これは地域移行は無理だろうと思うケースはありましたか?また何故そのように思いましたか?

(4)筋ジス病棟に長期入院している人で、セカンドオピニオンを利用された方を見たことがあります
か?

(5)筋ジス患者は、筋ジス病棟でしか長期療養できないのでしょうか?病院や医師とうまくいかない場合、他の病院に転院することは可能でしょうか?どのような条件がそろえば可能でしょうか?

(6)主治医によるドクターストップというものは、どれほどの強制力があるものなのでしょうか? 普通食を毎日食べていたのに、誤嚥性肺炎の危険性があるからということで、急に鼻注での栄養摂取のみになってしまいました。食事制限がいつどのような状態になったら解除されるかもわかりません。食事制限の解除を希望しても、医師がほとんどとりあってくれません。患者はこうした場合、医師の指示に従うしかないのでしょうか?

(7)自立生活を望む入院当事者に対して、自立生活に消極的・否定的な主治医もたくさんおられます。患者は主治医を変えてもらうことはできないのでしょうか。また、その後の関係性も考慮して、対立することなく主治医に考えを改めてもらうことはできないでしょうか?

(8)どうしたら病院からの地域移行を進めることができると思いますか。病院側の課題と、地域側の課題について思っていることを教えてください。

■立岩 真也 2018/12/15 『病者障害者の戦後――生政治史点描』,青土社 文献表
 +『不如意の身体――病障害とある社会』刊行記念セール

◆「あとがき」

 「好事家になることは、人生の時間の使い方としてわるくない。きちんとした蒐集家は、なにか大きなことを言いたがる人物の多くよりよほどよい。ただ、『現代思想』にさせてもらった、そして今も続いている、数年にわたった連載は、生き死にの実際にもすこし関わっている。昨年あたりから、京都・大阪・兵庫で、旧国立療養所から出たいし出られる人が出られるようにしようとする動きがあって、私もその動きに少し関わってもいる。十二月二十四日には日本自立生活センター(JCIL)が主催して、私たちのセンターも関係するシンポジウムが開催される。そうしたことごとに間に合わせようと思ってこの本を作った。連載に書いた文章をただ並べればよいかと最初は思ったのだがそんなことはなかった。苦労した。それでもたいへん不格好なものなってしまったが、あと何年もかけて、何倍の倍の厚さの、誰が買ってくれるかわからない本にするよりよい思って、作業をいったん終わらせた。」

◆「序」より

 「長く続いた連載を本にしようと、もとの連載の原稿を整理していたら――結局それは、収拾のつかないおそろしい作業になってしまったのだが――何箇所かで古込和宏が出てくる。連載を単行本にするとき、どこまでもとの、そのときどきの記述を残すか。そんなところでも迷う。結局整理したが、どういう具合に出てくるか。初めに記しておく。
 以下が初出のようだ。「国立療養所――生の現代のために・十一 連載一二二」、『現代思想』二〇一六年四月号に書いたもの。

 存じあげない、たぶん四〇台のデュシェンヌ型の筋ジストロフィーの方からメールで原稿を送っていただき、HPに掲載し連載で紹介した。匿名を希望されているので、(匿名)[2016]と表示する。一般に、(今どき)病院は「地域移行」に反対ではないが――そして経営が絡んで、強く求め、それを受け入れざるをえないことも一方ではあるのだが、筋ジストロフィーに関しては――身体の状態がよくない危険だということ、家族の同意が得られない(だから難しい)といったことが言われることがある。前者について。危機的な状態になることはありうる。(デュシェンヌ型の)筋ジストロフィーについて、自発呼吸の困難への対応はなされているが、心臓の機能については難しい。ただ、救急車と、病室での対応と、どちらがどの程度違うかといったことはわかった上での決断であれば、それを受け入れない理由はない。後者については、むろん「筋」としては不当である。ただ、その不当なこ△008 とが言われることは多いようだ。
 とにかく普通人はわざわざものを書いたりしない。そんな余裕はない。四巻本を出せる人(たち)とそうでない人(たち)と違うのだ。そんななかでは、横田弘はわりあいものを書いた方の人だった。その人との対談(横田・立岩[2002a][2008])を含む本が横田・立岩・臼井[2016]。


 そんなふうに書いてあるが、まったく何も知らなかったわけではない。話はいくらか聞いていた。その後、「高野岳志/以前――生の現代のために・二一 連載一三三」(二〇一七年五月号)、本書では第5章282頁に出てくる。なぜ連載(→本書)を書いているかの理由の一つとして古込のことを挙げている。それは誇張ではあって、そんなことがなくても国立療養所を巡って延々と書いていたはずではあるが。そして翌月、「高野岳志――生の現代のために・二二 連載一三四」(同年六月号)、本書では第5章308頁。大人がただそこから退院するというだけのことに病院の許可がいるのは普通にまったくおかしいと思うが、という問いに対する返答を引用している。そして、「埼玉と金沢で――連載一四六」(二〇一八年六月号)でその人に関係することを少しまとめて書いた(第5章4節・382頁)。
 私はその人に直接会ったのは二度きりで、話したのもその時だけだ。その一度めは、多人数がいる会議室に本人を移動させることができない(その手前の、ベッドからの車椅子への移乗の際の看護者の人手が確保できない??)とのことで、短い挨拶の後は、同じ病棟内の会議室にいる私も含め七人ほどだったかと、六人部屋から出られない古込は、スカイプで交信する(させられる)ことになった記憶がある。二度目はその病院を出た後で、インタビューさせてもらった(古込[201801])。それ以外にとくに覚えていることはなく、まるきり貢献もせず、つきあいもなく、格別の思い入れ他はない。ただ、その連載をしている間はすくなくとも生きていてもらわないと格好がつかない、という、まったくもって身勝手△009 なことは思った。病院を出た後、一時体調を崩して入院となったが、今はまたなんとかなっていると聞く。本書では唐突に思えるだろう、第5章4節3・4「懸念については」「別の懸念について」は、何もしていない私と違い彼にまじめに関わった二人にインタビューをして(平井[2018]、田中[2018])、思ったことから書いた。」

 
 
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◆2018/12/15 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1073931831853015040
 「「筋ジストロフィー・クリスマス・シンポジウム――筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm これから毎日知らせていきます。まずは、金沢さんから、古込さんの報告→http://www.arsvi.com/2010/201812…

◆2018/12/15 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1073933647781085185
 「「京都・大阪・兵庫で、旧国立療養所から出たいし出られる人が出られるようにしようとする動きがあ…る。十二月二十四日には日本自立生活センター(JCIL)が主催して…シンポジウムが開催される。そうしたことごとに間に合わせようと思ってこの本を作った。」→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm

◆2018/12/16 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1074086614626783232
 「12/24【企画趣旨】「全国の旧・国立療養所筋ジストロフィー病棟には、今、2千人程度の人たちが長期入院していると言われます。…病棟患者にとっても、医療者にとっても厳しい環境なのでしょうか。一方、地域に出て、自立生活をはじめる当事者もあらわれはじめました。…」→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm

◆2018/12/16 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1074198496847159298
 「12/24古込和宏報告末尾「施設や病院での生活に疑問や閉塞感を感じ自分の生き方に疑問を感じるなら行動を起こし、迷いながらも行動し続けてください。施設や病院の職員の方には、「ここで生活していればお金の苦労をしない」とか「地域で生存するのは難しい」などといった…」http://www.arsvi.com/2010/20181224f…

◆2018/12/17 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1074576536525713408
 「12/24「筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」ライブ中継。岡本さんより「入院中の人にこそ、シンポを届けたいです。…gmailアカウント作る→youtubeに自分のチャンネルをつくる、の一手間かければ、誰でもコメントを書き込めます。ユーチューブ上にJCILのチャンネル開設!→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm

◆2018/12/18 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1074922225008992256
 「ありがとうございます。関連情報→http://www.arsvi.com/ts//2018b3.htm この本は、狭義の医療史というよりは、とくだんに医療の中に入る必要のなかった人たちが医療施設と括られるものには入って出られなくなったその歴史を書いた本だ(本でもある)ということになるかもしれません。」
 ▽くまざわ書店 武蔵小金井北口店@kbc_koganei
 「【新刊】『病者障害者の戦後』立岩真也(青土社)国立療養所という、この国最大の病・障害の現場にまつわる膨大な言説を収集し、筋ジストロフィー症や重症心身障害、サリドマイド禍、スモン病など、政策の課題ともされてきた病・障害の現代史を、真っ向からつぶさに描きあげてゆく、唯一無二の医療史。」

◆2018/12/19 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1075169362107981825
 「「『夜バナ』(渡辺一史[2003])は読んだという。ただそれを読んで、古込はこんなのはやってられないと思う。おもしろい話・本であることと、そうして生きていける、生きていくことに役立つこととは違う。古込の反応はまったく当然の反応だ。」『病者障害者の戦後』p.386→http://www.arsvi.com/ts/2018b3.htm

◆2018/12/19 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1075177190537420802
 「『こんな夜更けにバナナかよ』→http://www.arsvi.com/b2000/0303wk.htm この本最初に紹介したのは私だと思っていて、それはすこし自慢してよいことだと思っています。この本の「背景」を知ってもらいたくもあり今度の本書きました→『病者障害者の戦後』→http://www.arsvi.com/ts/2018b3.htm #夜バナ」

◆2018/12/20 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1075727286932987904
 「12/24「筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」於京都。おいでください。金沢の古込和宏さんは、京都には来ないことに→スカイプで参加ということになりそうです→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm 本日小泉さんと渡邉さんと打ち合わせ。琢さんからは本いただく。それはまた。」

◆2018/12/20 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1075729770812325890
 「「この時期にはまだ、そして多くの場合には今も、家族がどうであろうと施設の側が〔本人が施設を出ることを〕止めることは本来はできないはずだという認識が自明なのものとして存在してはいなかった(いない)ようだということだ。」『病者障害者の戦後』p.309- 古込和宏頁→http://www.arsvi.com/w/fk03.htm

◆2018/12/21 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076041953756700672
 「「筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」〜私のほうでつくっているもの→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm 私午前の部で司会のようなこと&午後少し話&パーティ出ます・本売ります→http://www.arsvi.com/ts/sale2018.htm
 ▽Taku Watanabe@takutchan
 「今年のクリスマスイブ(24日月祝)は、筋ジスクリスマスシンポジウムへ!
新潟と京都の旧国立病院院長が筋ジス病棟入院患者の質問に答えるコーナーもあるかも。今後の地域移行や病棟内のQOL改善についても考えます。
シンポ後パーティは残り10名ほど。お申し込みはお早めに! https://www.facebook.com/events/273730…

◆2018/12/22 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076310704871751684
 「ライブ中継もあります。こちらにも情報あります→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm 筋ジストロフィー→http://www.arsvi.com/d/md.htm
 ▽なかたつ@tatuya_nakanisi
 「〜筋ジス病棟と地域生活の今とこれから〜
「筋ジストロフィー・クリスマス・シンポジウム」のお知らせ
日時 2018年12月24日(月・祝) 11:00〜16:30
場所 京都テルサ東館2階セミナー室
参加費 500円
※要約筆記あり。点字資料・手話通訳の〆切12月14日(金) 連絡先は添付チラシ参照」

◆2018/12/22 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076456203641794560
 「「高野岳志の父はこれは支援者による「そそのかし」だとする。これは特定の思想の持ち主による煽動である。そしてその人たちは途中で投げ出し逃げ出すかもしれない。そうしたら困るのは本人である。整理するとこんなふうになる。/それはまったくの言いがかりとは言えない。」http://www.arsvi.com/w/fk03.htm

◆2018/12/22 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076465337871196160
 「明後日12/24、「シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」、於:京都テルサ→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm 筋ジストロフィーの人たちが国立療養所に収容されるようになったいきさつについては新刊『病者障害者の戦後――生政治史点描』(立岩真也、青土社)」
 ▽安藤道人@dojin_tw
 「「これから全国の病院から筋ジストロフィーの人たちがどんどん退院するかもしれない。病院はぼくたちにとっての牢獄ではなく、安全な出入り口であってほしい」>17年入院の筋ジストロフィー男性、京都で始まった一人暮らし(京都新聞) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=2018121… @YahooNewsTopics」

◆2018/12/23 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076624822489145345
 「関連して(その記事にもお知らせある)明日12/24「筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」於京都→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm
 ▽Masami Fujii@mick_fujii
 「「病院はぼくたちにとっての牢獄ではなく、安全な出入り口であってほしい」
無責任に評価してはいけないが、とても背中を押される記事です。
 17年入院の筋ジストロフィー男性、京都で始まった一人暮らし https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=201812… @YahooNewsTopics」

◆2018/12/23 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/1076645633287569408
 「明日12/24「シンポジウム・筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」→http://www.arsvi.com/ts/20181224.htm「午前、(旧)国立療養所新潟病院中島院長、宇多野病院院長梶院長も来て話されます。私その部分の司会のようなことをするだろうと。[…]センターのフェイスブック→https://www.facebook.com/ritsumeiarsviにもいま」」

◆2018/12/23 「12/24「筋ジス病棟と地域生活の今とこれから」――「身体の現代」計画補足・551」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/2214567175476924

 

■第33回国際障害者年連続シンポジウム 〜筋ジス病棟と地域生活の今とこれから〜
『筋ジストロフィー・クリスマス・シンポジウム』

【日時】2018年12月24日(月・祝)11:00(10:30開場)〜16:30 【場所】京都テルサ 東館2階セミナー室
    〒601-8047 京都市南区東九条下殿田町70
    JR京都駅(八条口西口)より南へ徒歩約15分
    地下鉄九条駅4番出口より西へ徒歩約5分
    https://goo.gl/maps/VDF5VPSD4qQ2
【参加費】500円 (申込不要)
【情報保障】要約筆記あり。点字資料・手話通訳ご希望の方は12/14(金)までに下記へご連絡ください。
【連絡先】京都市南区東九条松田町28メゾングラース京都十条101 日本自立生活センター(JCIL)気付
     Tel: 075-671-8484  Fax: 075-671-8418
     mail: jcil@cream.plala.or.jp

【講演・報告】
医療者:中島 孝氏(独立行政法人国立病院機構新潟病院病院長)
地域生活の筋ジス当事者:古込和宏氏(金沢)、植田健夫氏(京都)、高橋雅之氏(西宮)
研究者:立岩 真也氏(立命館大学先端総合学術研究科教授)
【インターネット中継】
「筋ジスクリスマスシンポ」で検索!
当日、Facebookページ https://www.facebook.com/xmas.symposium/ で中継サイトを
お知らせする予定です。
(カンパ歓迎)

【クリスマスパーティーのご案内】
会場:Cafe Lounge 凛(京都テルサ内)
時間:17:15〜19:15
会費:4,000円ほど
要予約(上記連絡先までご連絡下さい)
先着35名まで

【企画趣旨】
 全国の旧・国立療養所筋ジストロフィー病棟には、今、2千人程度の人たちが長期入院していると言われます。独立行政法人化して、病院の体制や入院患者のQOLはどうなっているでしょうか。看護師による虐待の報道もありましたが、今の筋ジス病棟患者にとっても、医療者にとっても厳しい環境なのでしょうか。一方、地域に出て、自立生活をはじめる当事者もあらわれはじめました。地域生活にも医療的ケアや介護体制などの様々な課題があります。筋ジストロフィーの患者たちがどのように豊かに生きていくのかについては、まだまだ多くの人にとって手探りの状況です。
 今回のシンポジウムでは、当事者、医療者、支援者、研究者たちが集まって、筋ジストロフィーの人たちのよりよい暮らしの実現に向けて、筋ジス病棟や地域生活の現状や課題を考えていきます。
(この「国際障害者年」連続シンポジウムは、国際障害者年のテーマ『完全参加と平等』を推進するにあたり、国連決議「あらゆることに関して企画の段階から決定まで、心身障害者の参加が重要である」との趣旨を基に、現実に社会環境より多大な不利を受けている障害者からの発言を中心に、そのときのテーマに添った専門家と討議を進めるものであります。)

【講演・報告者プロフィール】
●医療者 中島孝氏(独立行政法人国立病院機構新潟病院病院長)
専門は神経内科学、特に神経筋疾患緩和ケア,Bioinformaticsなどの臨床研究に携わる。PMDA専門委員。難病を抱えながらも「ふつう」に幸せに生きていけるようなナラティブ(物語)に基づく医療の大切さを説きつつ、ロボットスーツHALの研究開発にも取り組んでいる。
●当事者
古込和宏
  医王病院(金沢)で長期入院後、2017年金沢市内で自立生活開始 [原稿]
・植田健夫氏
  宇多野病院(京都)で長期入院後、2018年11月京都市内で自立生活開始
・高橋雅之氏
  徳島病院、刀根山病院(大阪)で長期入院後、西宮市内で自立生活
●研究者 立岩真也氏(立命館大学先端総合学術研究科教授)
専攻は社会学。障害者自立生活運動や難病に関わる著者多数。近著に『不如意の身体――病障害とある社会』(青土社、2018年11月刊)、筋ジス病棟の歴史を描いた『病者障害者の戦後-生政治史点描‐』(青土社、2018年12月刊)。
 
主催:国際障害者年連続シンポジウム運営・実行委員会
協力:日本自立生活センター、メインストリーム協会
後援:京都府、京都市、京都府社会福祉協議会、京都市社会福祉協議会、(公財)京都新聞社会福祉事業団 他

チラシPDFはこちらから。
http://www.jcil.jp/symp/2018_12_24.pdf


UP:20181215 REV:20181216, 17, 25, 30, 31, 0105
こくりょう(旧国立療養所)を&から動かす  ◇日本自立生活センター(JCIL)  ◇筋ジストロフィー  ◇植田 健夫  ◇古込 和宏  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究 
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