02/03尾上浩二土曜講座講義の前に
立岩 真也 2018/02/03
立命館大学土曜講座,於:立命館大学衣笠キャンパス
◇立岩 真也 2018/02/03 「02/03尾上浩二講義――「身体の現代」計画補足・471」
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/2005817796351864
みなさんこんにちは。今月の3回の企画はこの大学の生存学研究センターの企画ということになっております。私はセンター長の立岩真也と申します。今月の企画やそれに関連する情報も含め、センターの活動については、インターネットを「生存学」で検索すると私たちのサイトが出てまいりますので、ご覧いただければと思います。
さて、今日最初に話させていただくのは、センターからの挨拶というだけではありません。先月末から今月にかけて、仙台(東北)のほうで不妊手術を受けた女性が提訴するという報道がいろいろなメディアで報道されています。優生手術について、私たちはずいぶん前から問題であると考えていたのですが、なかなか、この件で自分みずから提訴する――それ自体が想像すれば困難であることはよくわかりるます――方が現れにくいい中で、なかなか多くの人に知られることはことはなかったのです。この度の提訴があってようやく多くの報道がなされています。
まず、優生保護法下における、まず優生保護法という、不幸な子孫が生まれることを防ぐ法律というものが後になって反省され、否定されるわけだけれども、そのときはその法律があったのだからよかったのか、合法ではあったのかもしれないが、それはよかったのか、ということもあるでしょうし、もう一つには、優生保護法の法律のもとでも、規定にはずれることもなされている。そういったことが歴史的に明らかにならないまま忘れさられようとしている部分もあります。われわれの研究センターは、未来を志向しつつも、過去においてどういったことが行なわれてきたのかということを明らかにしておく、記録しておく、それもまた重要な使命だと思っております。
それに関係して、京都からも遠くない兵庫県神戸市に兵庫県立こども病院というのがあるのですが、そこができた時、そもそものいわれというのが、兵庫県の「不幸な子どもが生まれない運動」というのが1970年代にあった。それが、その運動の移転を期に作られた記念誌に、名誉院長という方が、みずからが、兵庫県がしたことを賛美するという文章(「兵庫県立こども病院誕生当時のこと」)を書かれていて、それが問題になり、私は障害学会という会長もつとめさせられていて、その立場でその名誉院長という方に「公開質問状」というものを出し、その回答を今日、回答そのものはずいぶん前に出されたようですが、まわりまわってこちらにやってきて、それを今日みて、コピーしてまいりました。今日遅くに入ってこられた方は、私の質問状とその小川恭介という方の回答を受け付けが受け取られたかと思います。この講義が終わった受け付けのテーブルの上に置いてあります。その回答の中味は、解説するまでもない、たいへん残念なものでありました。読んでいただければと思います。
今日の尾上さんのお話もそういったことにも関連するものになると思います。では尾上さん、よろしくお願いいたします。