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星加良司『障害とは何か』の1の01

「身体の現代」計画補足・443

立岩 真也 2017/11/29
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/1982310555369255


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『現代思想』2017年12月号 特集:人新世――地質年代が示す人類と地球の未来・表紙   星加良司『障害とは何か――ディスアビリティの社会理論に向けて』表紙   立岩真也編『社会モデル』表紙   榊原賢二郎『社会的包摂と身体――障害者差別禁止法制後の障害定義と異別処遇を巡って』表紙

[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 『現代思想』2017年12月号の特集は「人新世――地質年代が示す人類と地球の未来」
http://www.arsvi.com/m/gs2017.htm#12
私の連載は第140回。「星加良司『障害とは何か』の1」。分載していくが、全部を紹介することはない。雑誌買ってください。ただ、立岩真也編『社会モデル』
http://www.arsvi.com/ts/2016m2.htm
の購入者には、この回の原稿を収録した増補版を無償で後日提供します。またお知らせします。

「■検討に際して
 社会と総称されるものの部分部分(市場、家族、政治、…)の境界について考えることをしたいと思っているので、長く留まるつもりはないのだが、身体の方から社会を見ていくことも必要だと思ってはいる。その際の見立てについて、道具立てについて書いている。その歴史篇が一段落もしないまま理論篇ということになっている。
 議論は多くはない。少ないなかで、星加良司と榊原賢二郎の著書がある。それらを検討すると予告して――とくに星加についてはそのことを言ったのは二〇一〇年だった★01――そのままになっている。理屈を言おうという営みは、多く徒労に終わるのであるが、あってよいとは思う。議論がないことを本人たちも不満に思っている★02。いささか回り路ということにもなるのだが、両者についてこれから計四回ほどを費やす。まず星加の『障害とは何か――ディスアビリティの社会理論に向けて』(星加[2007]、以下頁数のみ表示)を検討する。
 その積極的な主張に対する私の評価の要点だけを述べれば簡単である。星加は「不利益の集中」によって「ディスアビリティ」を規定しようとする。一つ、それは無理である。一つ、なぜその「同定」が必要と考えたのか、わからない。私には必要であるとは思われない。基本的に以上につきる。ただ今回はその手前から始める。
 その本は、力作であるとともに、このごろ、いやだいぶ前から、ものごとを「学的」に、あるいは狭くは「社会学的」に語る時の兆候を示しているように思われる。その手つきのようなものが気にかかる。例えば、これはかなり以前からあるものだが、「二項対立」に代えて「関係」を言うといったしぐさがある。そして次に、「構築」を言うことによって「本質主義」を回避しようとする。そうした主義が流行した後、私たちはどのぐらい賢くなったのかと思う。」

★01 「「社会モデル」・2――連載・59」(二〇一〇年十月号)中の「やはり問題は規範的な問題なのである」に付した註。
 「星加[2007]がこのことを正当に指摘している。星加は、私と同様に、問題は事実の水準の問題ではないこと、原因という事実の水準の問題でないこと、この部分に錯誤があると指摘する。基本的に私が星加と同じ立場を取ることは本文に述べた。ただ、英語で「のせいで(due to)」という言葉が使われる場合、それはただある事象が生起する(あるいは生起しない)原因・要因を指すだけではないだろう。なすべきことがなされない(あるいはなされるべきでないことがなされる)「せいで」しかじかが起こってしまう(あるいは起こらない)といった使われ方もされる。例えば本連載前々回の最後に引いたマイケル・オリヴァーが示す例もそのように解することはできる。ただその上で、どこに問題の核心があるのかについて曖昧さの残る記述・主張がなされてきたことは問題にされてよいと(私も)考える。/それとともに、星加は立岩[2002]における社会モデルの把握について批判をしている。本文に述べることはそれに対する応答でもある。星加の論の紹介とその検討は別途行なう。」
★02 『障害学のリハビリテーション』(川越・川島・星加編[2013])の序章は川島聡と星加による。学術的な論争があってしかるべきであると述べた後、次のように続けられる。
 「ところが、少なくとも日本に限って言えば、障害学の内部における論争と相互批判の類は乏しい。誤解をおそれずに言えば、微温的な仲間内の集まりで、行儀よく住み分けをして、相互不干渉を決め込んでいるようですらある」(川島・星加[2013:6])。
 私が今になってこんなことを書いているのは、基本的には私における優先順位によるのだが、そのことに関わらなくもない単純な無知もある。私は右記した本のことを今年になるまで知らなかった。


 生存学研究センターのフェイスブックにあるこの文章と同じものは
http://www.arsvi.com/ts/20172443.htm
にもある。


UP:2017 REV:
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究 
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