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『精神』ver1.2/松山善三

「身体の現代」計画補足・345

立岩 真也 2017/04/19
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1877282885872023

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立岩真也編『与えられる生死:1960年代』表紙   立岩真也『精神』表紙   立岩真也・杉田俊介『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』表紙   立岩真也『青い芝・横塚晃一・横田弘:1970年へ/から』表紙 
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 最初に一つ、文集『精神』ver.1.2本日リリース。表紙を作ってもらった。
http://www.arsvi.com/ts/2016m3.htm
これについてはまた別途紹介します。売り物です。さて以下は、松山善三1961「小児マヒと闘う人々」の最後の部分。松山
http://www.arsvi.com/w/mz01.htm
は「名もなく貧しく美しく」「典子は、今」といった映画で知られている。私はどちらも観ていないのだが、これらの映画があること、後者の公開が1981年でそれはまだ私が映画を観ていた時期のことであり、それが公開されて話題になっていたことは知っていた。『現代思想』での連載の一回、「七・二六殺傷事件後に 2」
http://www.arsvi.com/ts/20160031.htm にこの人は出てくる。どうしてかは、この文章、『相模原障害者殺傷事件』に収録されたのでどうぞ。「一日も早く、社会へ、家庭へ復帰しようと努力する姿は、感動なくして見ることはできない。しかしこうした感動とは、一日も早く無縁でありたい。衆知をあつめてこの問題にあたることが、人間の、人間としての勝利を永久なものとするだろう。」といったあたりもどこかで引用しているはず。1960年代はだいたいそういう時代だった。
 04/22(土)日本社会福祉学中部地域ブロック部会主催2017年度春季研究例会研究例会 、「相模原障害者 殺傷事件から問い直す『社会』と福祉」での講演「道筋を何度も作ること――7.26殺傷事件後」
http://www.arsvi.com/ts/20170422.htm
松山の文章の全文は『与えられる生死:1960年代――『しののめ』安楽死特集/あざらしっ子/重度心身障害児/「拝啓池田総理大学殿」他』(立岩真也編、2015)
http://www.arsvi.com/ts/2015b1.htm
にあり。フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20172345.htm
にもある。


 「CPはもちろん、肢体不小自由児の子を持つ母親の悩みは、施設が少ないということではない。治療対策が完全でないということでもないようだ。社会の人々が暖かい眼で子供を、そして子供の病気を理解してくれないという点にあるようだ。
 ロスアンゼルスに、肢体不自由児の施設が、はじめて作られた時、医師たちは施設の周囲を塀で囲んで、好奇な眼から患者を守ろうとした。しかし、その時、塀をつくることに真先に反対したのは、患者たちであった。「見られるより見たい」(傍点筆者)という患者たちの、積極的な姿は、病いと闘う人の強い意志を示している。患者たちは今、手押し車に乗って、病院内はもちろん、国道のへりまで出かけて、往来する車や人々を眺めている。そして、進んで、健康人と接触を持とうとする。
 ニューヨークのラスク研究所の所長のドクター・ラスクは「不幸にして肢体のマヒに襲われたなら、マヒによって失われたのは何かを考えなくてはならない。自分にはあと何が残されているかを考えて生きることが人間の偉大さを立証するものだ」といっている。
 CPの花田氏も「CPの治療は、自分でそれを克服するより他にない。使えるところをどんどん使えば、その部分は、その部分の能力以上の働きをしてくれる」といっている。
 将来、小児マヒはなくなっても、脳性小児マヒは依然として残るだろう。昨今、小児マヒに示された一般の関心が、なぜもっと大きな肢体不自由児全体の問題としてとらえられないのか。日本人の熱しやすく冷めやすい心象を見るような思いがする。更に身体障害者すべての問題として、彼らの生活がとりあげられる時、国家的な視点と規模において、はじめて基礎的な対策が決定するだろう。
 生産にたずさわるプライドと喜びを、一日も早く彼らのものにしてあげたい。整肢療護園はもちろん、全国、どこの施設でもよい。そこを訪ねた人々は、異様な感動を持ちかえるだろう。施設の中に脈々と波うつものは、偉大な人間の意志そのものである。小児マヒやCPは、たしかに恐ろしい。しかし、どんな恐ろしい病気も人間の心までむしばむことはできない。一日も早く、社会へ、家庭へ復帰しようと努力する姿は、感動なくして見ることはできない。しかしこうした感動とは、一日も早く無縁でありたい。衆知をあつめてこの問題にあたることが、人間の、人間としての勝利を永久なものとするだろう。△121
(筆者・シナリオ・ライター)」


UP:201704 REV:
松山 善三(1925/04/03〜2016/08/27)  ◇病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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