川口有美子『末期を超えて――ALSとすべての難病にかかわる人たちへ』(川口[2014])は
http://www.arsvi.com/b2010/1412ky.htm
たいへん細切れにして以下引用しているのは『現代思想』2017年2月号(特集「ビットコインとブロックチェーンの思想――中央なき社会のゆくえ」)に掲載された連載第130回を分載しているその第20回。
http://www.arsvi.com/ts/20170130.htm
は、その第130回に対応した文献リスト。以下に「リスト◆」とあるものもそこにある。
フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20172319.htm
にもある。
「■複数の存在、に由来する不在
[…]
A・C(の一部)・Dに過去に、人によっては一生、深く関わってきた社会福祉、医療・医学の(難病)看護学の方面の人たちがいて、医療や社会福祉(学)の歴史を語る大きな勢力であってきた。難病看護(学)の中心人物であってきた川村佐和子へのインタビューが川口[2014]に収録されている。そうした動き、動きの輝かしさを象徴するのが「朝日訴訟」であったりする。『患者運動』の著者でもある長宏もその運動の中心人物の一人であり、その「患者運動」がこのような場にあることは知っておいた方がよい。Bにおいて肯定的に語られる「拝啓池田総理大臣殿」の周辺については少し書いたが、ここでも一定の距離感をもった方が、そのうえで支持するならした方が、よいかもしれない。
そしてこの流れは一方で一定の凝集力を維持し、批判されるようなことがあると、それに対して批判・非難を行なうことにもなる。公害や薬害、それに関わる裁判では分断・分裂が生じやすいのだが、こんなところでも「正史」の語られ方には一定の注意を払っておいた方がよいだろう。
そして同時に、その人たちの一部は批判勢力であり続けたのでなく、政策とつながりその中心に位置づいた。たしかにその人には根性があって、その気持ちに変わりはなかったのかもしれない。志を維持しつつ、「正義」の側に一貫していながら、体制のなかに入っていく。その人たちが作り、そして語り伝えている難病政策、看病看護(学)…がある。リスト◆に一一点の著作をあげた。
そしてBは「人間(性)」に依拠し、政治的には中立な立場をとろうとする組織として現れた。それでも、原因究明と克服はもちろん支持されるのであり、研究と医療という大きな流れについてそう大きな違いはないし、福祉制度の拡大・維持という要求の内容においても違わない。互いに敵対する必要もない。そしてその組織の会員数は多い。知的障害児・者の親の会、精神障害者の家族会の関係者を含めればもっと多い。他方の野党の方にいた運動も、要求の実現や政策への参画もその一因となって、その政治色は薄れていく。それらがどのように、協調したりしなかったりしてやってきたのかということである。」