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政策としての難病、の研究

「身体の現代」計画補足・313

立岩 真也 2017/02/15
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1846445162289129

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『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』表紙   大野更紗『シャバはつらいよ』表紙   『現代思想』2017年2月号 特集:ビットコインとブロックチェーンの思想――中央なき社会のゆくえ・表紙   『ALS――不動の身体と息する機械』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 以下に出てくる渡部沙織(大野 更紗)
http://www.arsvi.com/w/ws02.htm
は、『生の技法』の文庫版(第3版)の解説も書いてくれている。この第3版、文献紹介含めけっこう書き足されている。値段も安くなっていますし、お買い求めください。
 『現代思想』2017年2月号(特集「ビットコインとブロックチェーンの思想――中央なき社会のゆくえ」)に掲載された連載第130回を分載しているその第13回。
http://www.arsvi.com/ts/20170130.htm
は、その第130回に対応した文献リスト。
 フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20172313.htm
にもある。


 「■政策としての難病、の研究
 仕分けられたり束ねられたりするその様相を見る必要がある、全体を見ながら部分を描く必要があると述べた。「難病」――以下煩雑なので「」を外す――はその一つの部分である。
 難病自体が行政的な区分である。筋ジストロフィーがそこに入っていなかったのは、難病という名称で括られていなかった時に政策が始まったことによる。またスモンが入っているのも不思議に思える。そして政治側の設定した範疇にはないが、民間の動きには腎臓病の団体が入っている。難病に関心のある人にしても、制度としての難病だけを見ても結局見えてこないところがあって、それがなかなかやっかいだ。私自身はその難病に関心があるわけではない。ただそれを一部に含んだ複雑な過程・構造には関心がある。
 難病政策に関するあるいは言及のある研究文献は少ない。学位論文をもとにした著書に『医療の政策過程と受益者――難病対策にみる患者組織の政策参加』(衛藤幹子[1993])がある。他に『難病患者福祉の形成――膠原病系疾患患者を通して』(堀内啓子[2006])がある。前者にはまず、当時の関係者への聞き取りから初めて得られた情報があり、貴重な部分がある。医学者他が果たした役割を調べ出し、政治過程が丁寧に記述されている。ただ、その研究はその後に継続されたわけではないようだ。そして他に重要な業績がない状態が続いた。学術論文、学位論文であったりするから質が保たれているかといえばそうではない。うまくいかない事情の一つには、後で略述する幾つかある流れの一つを、自覚的でなくそのまま継承してしまうことがある。ある立場をとること自体には問題はない。ただ知ってのうえでの方がよいということである。
 研究がまたなされようとしているのはようやく、わりあい最近のことになる。著書に『困ってるひと』(大野[2011])、『シャバはつらいよ』(大野[2014b])のある渡部沙織(大野更紗)が研究を進めている。修士論文に「「難病」の誕生――「難病」対策と公費負担医療の形成」(渡部[2015])、他に渡部[2014b][2016])、大野名で大野[2013][2014a])がある。」


UP:201701 REV:
『生存学の企て』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究  ◇身体の現代:歴史
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