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医療社会学的にコレクト/でないもの

「身体の現代」計画補足・305

立岩 真也 2017/01/31
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1840378792895766


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『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙   『現代思想』2017年2月号 特集:ビットコインとブロックチェーンの思想――中央なき社会のゆくえ・表紙   『造反有理――精神医療現代史へ』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 立岩[2002→2015]は『看護教育』という雑誌に本を紹介する文章を連載していたその2002年の時のものが『精神病院体制の終わり』
http://www.arsvi.com/ts/2015b2.htm
に収録されたということ。この『精神病院体制の終わり』にはこうして本の紹介をしている部分があって、役に立つ人にはかなり役に立つはずです。
 『現代思想』2月号、特集「ビットコインとブロックチェーンの思想――中央なき社会のゆくえ」に掲載されている連載第130回を分載している。
http://www.arsvi.com/ts/20170130.htm
だいぶかかるので2月号買ってください。役に立つはずです。文献(のリンク先含め)これから足していくので時々見てください。&抜けている本たくさんあると思います。教えてください→tae01303@nifty.ne.jp(立岩)。

 フェイスブックに載せているこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20172305.htm
にもある。


 「■医療社会学的にコレクトなもの/そうでないもの
 医療社会学という領域があり、障害学というものがある。それぞれに実証的な対象をもってなされている研究の方が多いのではある。ただ、まず前者について、一定の分量をもったものがこの国で多くないことに対する愚痴を以前に述べたことがある――「ある程度の深さと幅をもった分析がなされるためには、やはり一つの主題について一冊の本が書かれないと、と思う。ただ、そうした本は日本で書かれたものにはまだなかなか見あたらない。/何冊か概説書のようなものは出ている。むしろ、概説書のようなものしか出ていない」(立岩[2002→2015:307])――が、その状態はあまり変わっていないように思う。教科書の類はバランスのとれたものがいくつもあり、論文集のようなものも種々ある。ずいぶん前の本だからずいぶん前までの文献しかあがっていないが、進藤雄三の『医療社会学』(進藤[1990]、第三版一九九五、cf.立岩[2002→2015:305])といった役に立つ本もある。ただ単著、まとまった本は少ない。
 その文章を書いた時にも詳しく書かれた本がまったくなかったわけではない。『実践の医療人類学――中央アメリカ・ヘルスケアシステムにおける医療の地政学的展開』(池田光穂[2001])があった。そして後に出た本では『覚醒剤の社会史――ドラッグ・ディスコース・統治技術』(佐藤哲彦[2006])がある。
 全体として本になるものは増えている。それには博士論文を書籍にすることが割合広く行なわれるようになったことが関係しているだろう。不妊といったジェンダーに関わるもの、所謂先端医療に関わるものがある。ハンセン病、伝染病といった社会統制、社会防衛、差別…に関わるものがある。以前に幾つか紹介した顔かたちに関係するものがある。これらはみな社会(科)学が踏み込むに好適な部分である。たんなる病と言えない部分があるものを捉え、それが病気とされ医療の対象になるさま(医療化)がどんなことなのかを描こうとする。これらの出版物のリストは藤原信行らが作っている医療社会学のページ(藤原[2010-])等にある。」


UP:201701 REV:
『生存学の企て』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究  ◇身体の現代:歴史
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