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精神病院体制は続き相談支援はだめな現況は如何に?

立岩 真也 2017/09/04
於:山梨県甲府市

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■ツィッター(→HP)等で種々お知らせ→「立岩真也」で検索してください→フォローなどしていただけると有り難いです。

◆2017/04/23 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/856114585798979584
 「「まずいま起こっている「精神保健福祉法「改正」関連」の動きについては以下。…さて、文集?『精神』を昨年作って…このたび表紙ができて、そしてもう一つ「施設/脱施設/病院/脱病院…」を追加した。そのうち青土社刊の本の一部に組み込むが…」http://www.arsvi.com/ts/20172349.htm

◆2017/04/26 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/857035261883990016
 「「現在は、地域・在宅・福祉…はまったく否定されず、共生だとか様々よいことがいくらでも言われながら、その中で、既得のものを確保しようという努力がなされている。その分いささか複雑になっている。だからこそ、過去を辿る意味もあるということだ」http://www.arsvi.com/ts/20172350.htm

◆2017/04/26 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/857062620280479747
 「「日本精神科病院協会(日精協)」会長の山崎學が…支援してきた安倍晋三…らの党が与党となり安倍が総理大臣他になったこと等を素直に寿ぐ…社会的需要に応える自らを世界一だと正当化し、「欧米かぶれ」他の批判者たちを罵倒する…」http://www.arsvi.com/ts/20172352.htm

◆2017/04/27 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/857538358024609792
 「「晋精会」という――これもひどくわかりやすい名前の――精神科医による安倍の後援会が活動している…「安倍〔晋三〕首相から国民にきちんと理解してもらえるような政策を発信するよう要望された」ことになっており…日精協の山崎學会長は…」http://www.arsvi.com/ts/20172353.htm

 ……

◆2017/08/05 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/893807801981517824
 「「その都度その人の手・指をそのチューブから(やさしく)取りのけることも強制ではある。二つの行ないに違いがないとは言わない。ただ両方とも強制であることはわかっておいた方がよい。」http://www.arsvi.com/ts/20162204.htm→『相模原障害者殺傷事件』p.32 その私は「精神科医療の身体拘束を考える会」のよびかけ人でもある。http://www.arsvi.com/d/m2017.htm

 ……

*以下2017/07/21の時◇に使ったものと同じ、使い回しの使い回しです。その時はわりあい聞いていただけたように思います。その場にいらした多くの人たちは事業所などやっている・勤めている人たちで、今回のお客さんはまた違うところで働かれているのかなとも思いますが、乞ご容赦。なおその時もこの「資料」に沿ってということではなく、詳しくはこれを、という本の広告のようなもの。
◇2017/07/21 「精神病院体制の終わり、へ」(講演)
 全国精神障害者地域生活支援協議会結成20周年記念大会 於:横浜市
*「立岩真也」で検索→2017/09/04に行くとこれと同じものがあります
 →http://www.arsvi.com/ts/20170904.htm。リンク先読めます。

◆2016/12/09 「拙速で乱暴な仕組み」(『報告書――再発防止策の提言』※を受けて)
 『京都新聞』2016-12-9朝刊:3

※相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム 2016/12/08 『報告書――再発防止策の提言』 〔全文〕
※相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム 2016/09/14 『中間とりまとめ――事件の検証を中心として』 〔全文〕

 「この事件の容疑者が精神科に措置入院させられたことから出発してしまい、精神医療の対応のあり方の問題が主とされてしまっている。だが憎しみや攻撃に対し、精神障害という捉え方、精神医療という対応がよいかどうか、報告書を読んでも、この相模原での事件に限っても少しも明らかでない。この事件に限らないならなおさらだ。この事件への対応策から始めて、一般的な仕組みをこんなに短期間につくるというのは、拙速で乱暴と言う他ない。
 それでも何もしないより「支援」した方がよいと言われるかもしれない。だが提案されている策には「強制」措置としての措置入院が組み込まれている。強制を長引かせる「支援」もおおいにありうるということだ。強制が必要な場合つまり本人が嫌がっても無理やり従わせるべき場面があることを私は認めるが、それを「支援」といった聞こえのよい言葉で曖昧にしてはならない。しかしそれに多くの人は気がつかない。気づかないようになっている。容疑者は人を殺すのがその人のためだと言った。その容疑者と同じ錯誤がある。今回の報告書の大きな問題点はここにもある。
 医療は本人の苦しみを和らげるためにあるはずだ。その仕事をするはずの医療者・支援者が、結局、社会から人を引き離し監禁する役割を果たすなら、その人たちは支援する側にいるはずの人たちとして信用されなくなるだろう。
 また、予測が困難なものを医療によって予測できるとし、予測が外れると批判される。その結果、さらに厳しく、いくらかでも可能性があるなら取り締まり対象にしてしまおうということにもなる。予測が当たらないなら、普通に考えれば、別の手を取るべきだとなるはずなのに、逆により大きな期待が医療にかけられてしまう。その罠(わな)から報告は逃れられていない。
 今回の事件は殺傷事件の前に言葉による暴力が振るわれている。一つに、その振る舞いを現行犯として対処するやり方がある。そして一つ、優生思想といった主張にまともに取り合うことだ。今世界の各所で起こっていることは、憎悪と隣り合わせの正義と憐(あわ)れみによって生じている。その問題は思想の問題として正面から向かうべきだ。
 そして同時に、社会に対する不満や不安を抱えている人に向き合い、それを和らげるようとすることは可能なはずだ。ただそれは、支援の名のもとでの、予想に基づく曖昧な強制の一環としてでなく、きちんと非難し批判することはした上で、なされるべきことだ。こうして何が必要で有効かを一つ一つ検討するのでなく、多くの人・組織が「総合的」に関わればなんとかなるといった策を示すというのは、結局、それでもうまくいかないということになり、さらに厳しい取り締まりを呼び込むことにもなる。もとからきちんと考えていくことだ。そんなのんきなことを言っていたら間に合わないとの非難は当たらない。繰り返すが、殺傷の前に現にあった言葉の暴力に対処することはできたはずだからである。」(全文)

『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙   立岩真也『精神』表紙   立岩真也・杉田俊介『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』表紙   立岩真也『加害について』表紙   『造反有理――精神医療現代史へ』表紙

■立岩 真也 2016- 『精神』 \500 →Gumroad TXT&HTML

 □もらったものについて・12
 2014/04/25 『そよ風のように街に出よう』86:44-49
 □もらったものについて・13
 2014/12/25 『そよ風のように街に出よう』:87
 □『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』――連載・116
 2015/10/01 『現代思想』43-(2015-10)
 □今般の認知症業界政治と先日までの社会防衛――連載 117
 2015/11/01 『現代思想』43-(2015-11)
 □病者障害者運動研究――生の現代のために・6 連載 118
 2015/12/01 『現代思想』43-18(2015-12):16-29
 □『造反有理』書評へのリプライ
 2016/09/10 『障害学研究』11:271-283
 □七・二六殺傷事件後に
 2016/09/01 『現代思想』44-17(2016-09):196-213
 □国家・権力を素朴に考える
 2016/10/10 『精神医療』4-84(159):58-73
 □「施設/脱施設/病院/脱病院 生の現代のために・19 連載・131」
 2017/03/01 『現代思想』45-6(2017-3):16-27
 □『精神病院体制の終わり』書評へのリプライ
 2017/05/31 『解放社会学研究』30:110-118

■立岩 真也 『加害について』(2016・期間限定版) \300 Gumroad TXT&HTML

 □生存の争い――医療の現代史のために・9
 20030101 『現代思想』31-1(2003-1) →抜粋 ※『現代思想』この号売り切れ
  □裏切ることについて
  □様々な場での争い
  □争いを誘発するもの
  □危険/確率
  □適度な距離にある無知と歪曲
  □この年と近過去
  □註
  □文献
 □加害のこと少し――生の現代のために・8 連載・119
 20160101 『現代思想』2016-1 関連情報→http://www.arsvi.com/ts/20160119.htm
  □社会防衛が護るもの
  □やがて社会防衛が一部で否定される
  □基本的には加えることがないこと
  □それでもどちらがよいかと考えることはできる
  □免責と免責されても残るもの
  □範疇・確率
 □七・二六殺傷事件後に
 20160901 『現代思想』34-17(2016-09):196-213

■立岩真也・杉田俊介 2017/01/05 『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』,青土社

□T 一つのための幾つか 立岩真也
 □第1章 精神医療の方に行かない
  □1 本章に書くこと
  □2 事件後述べたこと
  □3 脅威に対してまず言われたこと
  □4 加えて言わねばならないこと
  □5 確率
  □6 自傷には関わる余地があること
  □7 他害に関わらなくてよいこと
  □8 現行犯として刑事司法が対応すべきこと
  □9 しなくてよいと言ってもすると言う人たちはいるのだが
  □ 註
 □第2章 障害者殺しと抵抗の系譜
 □第3章 道筋を何度も作ること
□U 優生は誰を殺すのか 杉田俊介
□討議:生の線引きを拒絶し、暴力に線を引く 立岩真也+杉田俊介


■立岩真也 「引くべきところからは引くこと(再度)、他」
 2016/10/13,第59回日本病院・地域精神医学会総会,シンポジウムU「精神保健福祉法体制からの転換」,於:練馬文化センター
 →2017 『病院・地域精神医学』(日本病院・地域精神医学会

 紹介していただいた立岩です。ホームページ(http://www.arsvi.com/)を私たちやっていて、見ていただこうかと思ったのですが、ここはWi-Fiが飛んでないみたいでつながらないので、なしということになります。さっき紙を配り歩いていたのが私でして、配ったのはレジュメではなくチラシ、広告です。その話はまた後でします。
 今回、精神保健福祉法がテーマということですが、私は法律のことは何もわかっていない。ですから、ここにいること自体が間違っている感じもするんです。ただ、ありていに言って、医療に関する法律は今の法律がよいかどうかは別として、必要だろう、福祉に関する法律も必要だろう、ただ精神という括りで2つにまたがったような法律がそもそもいるかを考えたとき、普通に考えたらいらないだろう、ということは言えると思います。今日は法律に関してはこの雑駁なこと以外は申し上げません。別の話をしたいと思います。

□より長いものが別にあること
 今は2016年だと思いますけれども、2013年に略称すると精従懇(精神保健従事者団体懇談会)というところで話しました(立岩[2013/11/23])。それから14年に病地学会の大会が仙台であってお話させていただきました。どちらでも同じことを話したはずで、要するに、どれだけ仕事をしないようにするか、医療の仕事、病気の仕事というものをどうやって削減していくかというふうに話を立てなきゃいけない。それがなんで難しいのかということを考えなきゃいけない。難しいことを難しくなくするためにどうしたらいいのか、ということを考えなきゃいけない。ということを、そういった仕事で毎日忙しくされている方に言うのも失礼かなと思いながら、でも楽になるならいいでしょうという感じでお話しました。
 ちょうどその頃に書いた本が、一つは『造反有理――精神医療現代史へ』(立岩[2013/11/13])です。これは2013年の精従懇の集まりに間に合わせて出したんです。病地学会がなんであるのかにもふれています。精神医療改革はうまくいかなかったわけで、今もうまくいっていないわけですけれども、でも変えなくてはという人たちがなんで現れて、どんなことをやったかを書いた本です。
 そのあと『精神病院体制の終わり』という本が2015年(立岩[2015/11/13])。十全会病院というでっかい病院が京都にあります。この病院は、1970年代、80年代と一貫して問題にされているんですよ。だけれどもなくならない。実は私の関係者である病院に入院した人がいて、その2つ目、3つ目の転院先の病院・施設をどうしましょうかという話のなかで、ソーシャルワーカーから十全会の病院を選択肢の一つとして提示されまして。やっぱり京都においては、いまだに十全会というのは、現実的な「最後の病院」ということになっているんだなと思いました。そういったものが、どうやって今に生き続けているんだろうという話を書いた本です。
 今日、重たいので、そういうものは1冊ずつしか持ってきませんでした。その代わりに、これはPCで読めるディスクで、これだと軽いので、後ろのほうで売っております★01。皆さんにお配りしたチラシにどんな文章が入ってか書いてあります。今日、これから時間もないし、雑な話になります。もっと詰めた話は、ここに収めているファイルの中で一定しているつもりです。私としては、そういったものを見ていただきたいです。それから、余力があったら本屋さんで本を買っていただければと思います。

□病院化とそのまま停滞していることについて
 さて、先ほどから話に出ていますけれども、何で精神病院がこんなにいっぱいあって、こんなに人が入っているのかという話です。ちゃんと答えるのはけっこう難しいと思います、ただ、まず、増えた要因と減らない要因は分けて考えたほうがよいと思っています。増えた要因はの一つは、戦後がーっと増えるわけですけれども、精神疾患ゆえにというよりは、ある種の生活困窮者、身寄りがないという人たち、お金がない人を、お金をかけずに暮らさせる場所が病院になり、病院側がそういう人たちを収容することによって利益を得ることがあった、その中でがっと増えていったという理解は、一つにはありうると思っています。これは、これから検証すべきところなので、これ以上しませんけれども。
 減らない要因というのは、ちょっと別に考えたほうがよくて。それは、やはり一つには、いっぺんできたものを減らしたくないという業界側の要因は大きいだろうと思わざるを得ない。
 別の連載で、今、国立療養所についての連載を長々とやっているんですけれども(→立岩[2018])、その国療が、かつて何十万人っていう結核療養者たちを収容します。ただ、結核は戦後治る病気になってきました。ではそれで国療はなくなるかっていうとなくならない。代わりに、重症心身障害児の人たち、それから筋ジストロフィーの人たち、そういう人たちを受け入れていって、存続を図るといったことが、起こる。精神病院に関してもそういうことがあった。いったんできたものを減らしたくない。それは病院によっても同じではない。ちゃんと真面目な病院はそうでもないんだけれども、業界の中では、大きくて質は良くないんだけれども経営的には回っているところが大きな声を持っているという状態が続いているんだろうと思います。
 なんで減らないのかという問いの答の一つが、もしそれだとすると、業界の力をいかにして弱くしていくのかっていう話をしなきゃいけないだろうと思うんです。この5年、10年、もっと長い期間見てみても、例えば、日精協(日本精神科病院協会)という業界団体がどういうふうに動いてきたかは、わかる。端的にいえば、認知症の人たちを、新たな顧客として受け入れるということをあからさまにやってきて、そのためにお金も使い、政治家も動かしてきた。これは明らかなんですよ(立岩[2015/11/13:11ff.])。そうすると、それに対してどんな介入の手立てがあるのか、そんな順番でものを考えなければいけないということは言えるだろうと思っています。
 法律をどうするかも大切なんだろうけれども、自分たちの業界をどういう舵取りしていくのか。この学会は少数派であるとしても、どういう形で業界に介入していくのかを、この学会の使命として考えなければいけないんじゃないかと思います。これは俗な意味での政治的な、ポリティカルな話ですけれども。

□他害から基本的に撤退すること
 もう一つは、理屈として、医療というものはいったいどこまで、なぜどこまでどんなことをするのか、同時にどういうことをしちゃいけないの、考えるという仕事も他方ではある。
 このたび、7月26日に、相模原でたくさんの人が殺されるという事件が起こって、それはすぐさま精神医療の話に結び付けられてしまった。そんなこともあって、『現代思想』という雑誌に、その事件のことについて、9月号と10月号と、あわせて140枚くらいの原稿を書いたんです(立岩[2016/09/01][2016/10/01])。精神医療に関係するその一つ目の原稿を、このディスクに入れてあります。ですから、それを見ていただければと思います。ああいうことが起こって、そして精神医療と結びつけられたがゆえに、考えざるを得ないところがあって、それで一つめの原稿を書きました。
 そこで書いたのは非常に単純なことです。「自傷他害」って、僕ら何となく四文字熟語として語るけれども、自傷と他害ってやっぱり違うんじゃないのということです。
 もちろん本人的には、自分を害してしまうことと他人に手を振るっちゃうこととが、連続してというか、一緒に起こることは多々あるわけです。ただ、それはそれとして、やっぱり普通に別のものと考えるべきであるだろう。
 まず自傷について。私は、パターナリズムというと、あらかじめ悪い言葉のように思われるわけだけれども、そしてそれには十分な根拠があるんだけれども、しかし、そのパターナリズムとを全面的に否定しないという立場です。例えば、うちの親なんか今そうですけれども、放っておくと自分についている管を抜いてしまう。放っておけば死んじゃう。そうするとある種の拘束をする。それは最低限において認めざるを得ないということはある。それは、医療っていうものが人の命を救う、簡単に言えばそういう仕事である以上、ときと場合によっては、本人の意思というものを超えても対応すべきこと、あるいは、ないときに対応すべきこと、これは認めざるを得ない、場合によっては積極的に認めるべきだと思います。
 けれども他害というものを考えたときにはどうか。もちろん他を害することがよいということではないです。やられるのは人で、それは私であったりするのだから、やってられねぇ、暴力振るうなということで、それに対して何かをする、何かの対応策をとる、これは正当なことだと思います。ただ、それを医療としてやるのかどうかは全然別の話です。医療というのもが、建前であれ何であれ、本人の命のためになされることだとすれば、他方の他害を防ぐ行為は他人を守るための行為です。そうすると、他人を守るために本人に不利益を与えることを、医療の名において行なっている可能性があるんですね。そうすると、やられる本人は、もしかすると、この人は俺の命を救いたい、健康にしたいということじゃなくて、他人を守るために俺にこういうことをやっているんじゃないかっていうことが当然起こりうるわけだし、実際起こるんです。そうすると、それは、医療に対する不信を必ず生む。
 ゆえに、原則的に、医療は他害を防ぐという行為から撤退するのが、すっきりしていてよろしいと、論理的な筋としてまず考えてみる。そのうえで、いかにそれが難しいのかという順番で考えたほうがいいんじゃないかっていうのが、僕の考えです。でも、やっぱり暴力振るうやついるだろう。それはどうするんだっていうときに、それは基本警察がやればいいんじゃないの、医療の方は私は知りませんって言ったほうがいいんじゃないか。そしてそう言えなくなっているとすれば、何だと。
 今回の事件に私たちやりますって言うわけです。それは、認知症を私たちやりますっていうのと基本的には変わらないじゃないかと思う。そういう仕事は自分たちでもできますという話が、良心的なというか、そういう人たちから発せられてしまうというところの危うさみたいなものを、精神医療科に関わる学会というものも考えなければいけないんじゃないかと思うのです。例えば、医療観察法のときに、精神神経学会は基本反対したけれども、でも私たちもやることあるよねっていうスタンスで当初やるわけだす。そこはもっとすっきりと、この件に私どもは関わりませんというふうに言ったうえで、じゃあそこから照らすと、医療に関する決まりというのはどうなっているのかってやったほうが良かったのかもしれないとか、そういうことも考えられるんじゃないかと思います。

□「相談支援」なるものに対して
 ということで、一つ、力学として我々が精神病院体制からいかに逃れられないか、結局できてしまったものを守りたいという部分があるだろうと言いました。この利害は特殊な利害なんです。社会全体の利害ではないんです。ですから、社会を味方につければ、改革は可能なんですよね。だけれども、政治過程の中で一定の力というものを業界が持っていて、それと政治家が結託したりなんかして、それで現状が維持されているんだとすれば、それを変えるということ。それからもう一つは、理屈としていったい精神医療というものは、どこまでのことをやるべきなのか、あるいはやらないほうがいいのかということを素朴に考え、素朴に答を出し、でも現実は難しいんだけれども、それを現実の中にどうやってはめていくかということを考えるべきだという話を簡単にしました。
 残りあと5分くらいなので、もう一つ。今の話は病院の話、医療の話でしたけれども、さっき小木さんが言った、地域の話です。こっちの話は、実は『精神病院体制の終わり』という2冊目の本でしています(立岩[2015:113ff.])。僕ら誤解しているところがあって、というか、現場にいらっしゃる方はひしひしとわかっているんだろうけれども、世間が誤解しているところがあって。地域移行とか地域の支援とかが世の中で進んでいるんじゃないかというイメージがあるんだけれども、実はそうではないという話です。つまり、例えば相談支援、地域移行に関する相談支援というものが、看板としては大きく出てきて、みんな名前とかは知るようになってきているんだけれども。それが、今機能しているかっていうと、していない。むしろ、機能しないほうに向かっていると、現実を見れば判断したほうがいいんだろうと思います。これも、政府がたんにお金を減らしたがっているからだと理解することもできるだろうけれども、それだけではなくて。これも難しいですけれども、例えば福祉全般でいえば、ケアマネジメントというものが、2000年の介護保険の導入に向けて取り入れられた。そして、そういったモデルが、最初はたぶん身体の障害のほうだったんだろうけれども、それがだんだんと膨らんでいるというのが、今現在なんですね。そういった中で何が起こったかというと、要するに、相談支援、地域移行、ケアマネジメント…が、一緒くたにされたうえで、介護保険的なケアマネジメント、もっと言えば要介護認定の書類書きというような仕事が、ケアケアマネジメントであり相談支援であるというような、ある種の思い込みと、そして現実ができてしまった。その中で、むしろ今までソーシャルワーカーが、ソーシャルワークという名のもとにやってきた、地べたを這いずり回るような地域での実践というものができなくなっていて、オフィスで紙を書くことが相談支援というものに置き換わってしまったというのが、ここ10年、20年の間に起こってしまったことだと書きました。
 そういう状況に対して、地域で福祉に携わっているソーシャルワーカーの人たちは、ちゃんと怒らなきゃいけないというのが、私が思うことです。私たちの仕事の本義といったものは、紙書いて、計画書なるもの作って、渡す、そんなところにはないともっときちんと言うべきだと思います。特に精神という領域に関わってくると、計画なんか立ちっこない部分もあるわけですし。そんなことを自分たちはやりたいわけじゃなくて、そのために学校に行ったわけでもなくて、実際そんな仕事をしてきたのではないということを、ちゃんとはっきり言う。ソーシャルワークというのはいろんなことをやってきて、その中には私は賛成できないこともあるけれども、でもやっぱり、ソーシャルワーカーの一種の心意気というものはあったわけですよ。そういったものがすり減らされ、なくされているという現状に対して、業界の人は業界の人として、きちんと自分の仕事がもっとましなものだっていうことを言う、そういうことが必要だと思っています。
 ということで、最初の二つの話のあと、三つ目、病院の代わりに地域だという、その地域というものが、やれているようでちっともやれていないということを話しました。逆に言えば、そこのところを変えていけば、もっとましになるだろうという話でもあったわけです。ということで、たぶんちょうどの時間だと思いますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

□註
★01 この学会があったこともあって作った『加害について』『精神』の他『私的所有論 英語版』『私的所有論第2版 電子書籍版』『人間の条件――そんなものない』等々を収めたディスクを大廉売した。会場限定だったので現在は通常価格。「立岩真也」で検索→http://www.arsvi.com/ts/0.htm→「直売」をご覧ください。

□文献
立岩真也 2013/11/13 『造反有理――精神医療現代史へ』、青土社
―――― 2013/11/23 「病院と医療者が出る幕でないことがある」、第7回 精神保健フォーラム「変われるのか? 病院、地域――精神保健福祉法改正を受けて」 主催:精神保健従事者団体懇談会 於:大手町サンケイプラザ→立岩[2015/11/13:230-247]
―――― 2015/11/13 『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』、青土社
―――― 2016/10/01 「七・二六事件の後に」、『現代思想』2016-9(特集「精神医療の新時代)→立岩・杉田[2017:17-45](改題:「精神医療の方に行かない」)→立岩・杉田[2017]
―――― 2016/11/01 「七・二六事件の後に・2」、『現代思想』2016-10→立岩・杉田[2017/01/05:46-92](改題:「障害者殺しと抵抗の系譜」)→立岩・杉田[2017]
―――― 2018 『(題名未定)』、青土社
立岩真也・杉田俊介 2017/01/05 『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』、青土社

 ※2017/09/04においては、その催の性格上、以下はなしです。DISC5枚はもってきておりますが。

On Private Property, English Version
On Private Property, English VersionKyoto Books

日本語版第2版のHTMLファイル(たくさんリンク付・PC等ですぐ読めます)同包されています。1000円。→Gumroad
本日だけ!DISC 1000円 『私的所有論』(日本語版HTML&英語版ePUB 紙本\1800(+税→以下略))+『人間の条件』(2010, TXT&HTML 紙本\1500)/『所有と国家のゆくえ』(TXT 紙本\1200)/『自由の平等』(2004, TXT 紙本\3400)/『社会モデル』(TXT&HTML \400)/『精神』(TXT&HTML \400)/『加害について』(TXT&HTML \200)/『自己決定/パターナリズム』 (HTML \300)…みんなはいってます→\9200(+税)→1000円
 本買っていただいた方はDISC無料!


UP:20170903 REV:20170904
病者障害者運動史研究  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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