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引くべきところからは引くこと(再度)、他

立岩 真也 2017/08/20

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立岩真也 2016/10/13 「引くべきところからは引くこと(再度)、他」
第59回日本病院・地域精神医学会総会,シンポジウムU「精神保健福祉法体制からの転換」
10:00〜 於:練馬文化センター http://59-tokyonerima.sakura.ne.jp/

 この時の報告の全文は以下に再録されています。
立岩 真也 2016- 『精神』Kyoto Books \500 →GumroadHTML

『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙   立岩真也『精神』表紙
  立岩真也・杉田俊介『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』表紙   『造反有理――精神医療現代史へ』表紙

 紹介していただいた立岩です。ホームページ(http://www.arsvi.com/)を私たちやっていて、見ていただこうかと思ったのですが、ここはWi-Fiが飛んでないみたいでつながらないので、なしということになります。さっき紙を配り歩いていたのが私でして、配ったのはレジュメではなくチラシ、広告です。その話はまた後でします。
 今回、精神保健福祉法がテーマということですが、私は法律のことは何もわかっていない。ですから、ここにいること自体が間違っている感じもするんです。ただ、ありていに言って、医療に関する法律は今の法律がよいかどうかは別として、必要だろう、福祉に関する法律も必要だろう、ただ精神という括りで2つにまたがったような法律がそもそもいるかを考えたとき、普通に考えたらいらないだろう、ということは言えると思います。今日は法律に関してはこの雑駁なこと以外は申し上げません。別の話をしたいと思います。

■より長いものが別にあること
 今は2016年だと思いますけれども、2013年に略称すると精従懇(精神保健従事者団体懇談会)というところで話しました(立岩[2013/11/23])。それから14年に病地学会の大会が仙台であってお話させていただきました。どちらでも同じことを話したはずで、要するに、どれだけ仕事をしないようにするか、医療の仕事、病気の仕事というものをどうやって削減していくかというふうに話を立てなきゃいけない。それがなんで難しいのかということを考えなきゃいけない。難しいことを難しくなくするためにどうしたらいいのか、ということを考えなきゃいけない。ということを、そういった仕事で毎日忙しくされている方に言うのも失礼かなと思いながら、でも楽になるならいいでしょうという感じでお話しました。
 ちょうどその頃に書いた本が、一つは『造反有理――精神医療現代史へ』(立岩[2013/11/13])です。これは2013年の精従懇の集まりに間に合わせて出したんです。病地学会がなんであるのかにもふれています。精神医療改革はうまくいかなかったわけで、今もうまくいっていないわけですけれども、でも変えなくてはという人たちがなんで現れて、どんなことをやったかを書いた本です。
 そのあと『精神病院体制の終わり』という本が2015年(立岩[2015/11/13])。十全会病院というでっかい病院が京都にあります。この病院は、1970年代、80年代と一貫して問題にされているんですよ。だけれどもなくならない。実は私の関係者である病院に入院した人がいて、その2つ目、3つ目の転院先の病院・施設をどうしましょうかという話のなかで、ソーシャルワーカーから十全会の病院を選択肢の一つとして提示されまして。やっぱり京都においては、いまだに十全会というのは、現実的な「最後の病院」ということになっているんだなと思いました。そういったものが、どうやって今に生き続けているんだろうという話を書いた本です。
 今日、重たいので、そういうものは1冊ずつしか持ってきませんでした。その代わりに、これはPCで読めるディスクで、これだと軽いので、後ろのほうで売っております★01。皆さんにお配りしたチラシにどんな文章が入ってか書いてあります。今日、これから時間もないし、雑な話になります。もっと詰めた話は、ここに収めているファイルの中で一定しているつもりです。私としては、そういったものを見ていただきたいです。それから、余力があったら本屋さんで本を買っていただければと思います。

■病院化とそのまま停滞していることについて
 さて、先ほどから話に出ていますけれども、何で精神病院がこんなにいっぱいあって、こんなに人が入っているのかという話です。[…]


■他害から基本的に撤退すること
 もう一つは、理屈として、医療というものはいったいどこまで、なぜどこまでどんなことをするのか、同時にどういうことをしちゃいけないの、考えるという仕事も他方ではある。
 このたび、7月26日に、相模原でたくさんの人が殺されるという事件が起こって、それはすぐさま精神医療の話に結び付けられてしまった。そんなこともあって、『現代思想』という雑誌に、その事件のことについて、9月号と10月号と、あわせて140枚くらいの原稿を書いたんです(立岩[2016/09/01][2016/10/01])。精神医療に関係するその一つ目の原稿を、このディスクに入れてあります。ですから、それを見ていただければと思います。ああいうことが起こって、そして精神医療と結びつけられたがゆえに、考えざるを得ないところがあって、それで一つめの原稿を書きました。
 そこで書いたのは非常に単純なことです。[…]

■「相談支援」なるものに対して
 ということで、一つ、力学として我々が精神病院体制からいかに逃れられないか、結局できてしまったものを守りたいという部分があるだろうと言いました。この利害は特殊な利害なんです。社会全体の利害ではないんです。ですから、社会を味方につければ、改革は可能なんですよね。だけれども、政治過程の中で一定の力というものを業界が持っていて、それと政治家が結託したりなんかして、それで現状が維持されているんだとすれば、それを変えるということ。それからもう一つは、理屈としていったい精神医療というものは、どこまでのことをやるべきなのか、あるいはやらないほうがいいのかということを素朴に考え、素朴に答を出し、でも現実は難しいんだけれども、それを現実の中にどうやってはめていくかということを考えるべきだという話を簡単にしました。
 残りあと5分くらいなので、もう一つ。今の話は病院の話、医療の話でしたけれども、さっき小木さんが言った、地域の話です。こっちの話は、実は『精神病院体制の終わり』という2冊目の本でしています(立岩[2015:113ff.])。僕ら誤解しているところがあって、というか[…]

■註
★01 この学会があったこともあって作った『加害について』『精神』の他『私的所有論 英語版』『私的所有論第2版 電子書籍版』『人間の条件――そんなものない』等々を収めたディスクを大廉売した。会場限定だったので現在は通常価格。「立岩真也」で検索→http://www.arsvi.com/ts/0.htm→「直売」をご覧ください。

■文献
立岩真也 2013/11/13 『造反有理――精神医療現代史へ』、青土社
―――― 2013/11/23 「病院と医療者が出る幕でないことがある」、第7回 精神保健フォーラム「変われるのか? 病院、地域――精神保健福祉法改正を受けて」 主催:精神保健従事者団体懇談会 於:大手町サンケイプラザ→立岩[2015/11/13:230-247]
―――― 2015/11/13 『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』、青土社
―――― 2016/10/01 「七・二六事件の後に」、『現代思想』2016-9(特集「精神医療の新時代)→立岩・杉田[2017:17-45](改題:「精神医療の方に行かない」)
―――― 2016/11/01 「七・二六事件の後に・2」、『現代思想』2016-10→立岩・杉田[2017/01/05:46-92](改題:「障害者殺しと抵抗の系譜」)
―――― 2018 『(題名未定)』、青土社
立岩真也・杉田俊介 2017/01/05 『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』、青土社


UP:20150924 REV:
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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