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『加害について』

立岩 真也 20160930- Kyoto Books

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立岩真也『加害について』表紙

Kyoto Booksから販売される「電子書籍」(委託販売分除く)の売り上げは「自前」での研究−言論活動の仕組みを作るために使われます。
Kyoto Booksから販売するものの売上げの全額を寄付することにしました(2022/12/24〜)→「寄付お願い・提案」。どうぞどうかよろしく。

※Ver.1.0:2016(114kb) Ver.1.1:20230104(158kb) 158k bytes→約80000字強・400詰約200枚
 300円。Gumoad経由で販売。
 問い合わせ→立岩:http://www.arsvi.com/ts/0.htm/tae01303@nifty.ne.jp

※やがて書籍の一部に組み込もうと考えていますが、それには暫く時間がかかりそうなので、まずは初出時の原稿のまま提供するものです。(2016)
※その原稿の一つを改稿して『不如意の身体』の第6章としましたが、その章も含めてここに収録することにしました。(2023.1)。本書末尾に収録されているその文章を読んでいただけるとよいかと思います。また『不如意の身体』もよろしくです。


■■生存の争い――医療の現代史のために・9
立岩真也 20030101 『現代思想』31-1(2003-1) →抜粋
 ※『現代思想』この号売り切れ
■裏切ることについて
■様々な場での争い
■争いを誘発するもの
■危険/確率
■適度な距離にある無知と歪曲
■この年と近過去
■註
■文献

■■加害のこと少し――生の現代のために・8 連載・119
立岩真也 20160101 『現代思想』2016-1
関連情報→http://www.arsvi.com/ts/20160119.htm
■社会防衛が護るもの
■やがて社会防衛が一部で否定される
■基本的には加えることがないこと
■それでもどちらがよいかと考えることはできる
■免責と免責されても残るもの
■範疇・確率

■■七・二六殺傷事件後に
立岩真也 20160901 『現代思想』44-17(2016-09):196-213
関連情報→http://www.arsvi.com/ts/20160030.htm
■事件に関わり二つ書くこと
■事件後述べたこと
■脅威に対してまず言われたこと
■加えて言わねばならないこと
■確率
■自傷には関わる余地があること
■他害に関わらなくてよいこと
■現行犯として刑事司法が対応すべきこと
■しなくてよいと言ってもすると言う人たちはいるのだが
■註
■文献

■■『不如意の身体――病障害とある社会』第6章「加害のこと少し」
立岩 真也 2018/11/30 『不如意の身体――病障害とある社会』,青土社,481p. ISBN-10: 4791771192 ISBN-13: 978-4791771196 [honto][amazon][kinokuniya] ※
■1 厄介であること
■2 社会防衛が護るもの
■3 やがて社会防衛が一部で否定される
■4 基本的には加えることがないこと
■5 それでもどちらがよいかと考えることはできる
■6 免責と免責されても残るもの
■註


gumroadでの広告文

※HTMLファイルで提供します。Ver1.1(2023/01/04)160k bytes→80000字強・400詰約200枚 関連情報→http://www.arsvi.com/ts/2016m1.htm 300円(売上げの全額を寄付します)
■生存の争い――医療の現代史のために・9 20030101 裏切ることについて|様々な場での争い|争いを誘発するもの|危険/確率|適度な距離にある無知と歪曲|この年と近過去|註|文献
■加害のこと少し――生の現代のために・8 連載・119 20160101 社会防衛が護るもの|やがて社会防衛が一部で否定される|基本的には加えることがないこと|それでもどちらがよいかと考えることはできる|免責と免責されても残るもの|範疇・確率|註|文献
■七・二六殺傷事件後に 20161001 事件に関わり二つ書くこと|事件後述べたこと|脅威に対してまず言われたこと|加えて言わねばならないこと|確率|自傷には関わる余地があること|他害に関わらなくてよいこと|現行犯として刑事司法が対応すべきこと|しなくてよいと言ってもすると言う人たちはいるのだが|註|文献
■『不如意の身体――病障害とある社会』第6章「加害のこと少し」 20181130 厄介であること|社会防衛が護るもの|やがて社会防衛が一部で否定される|基本的には加えることがないこと|それでもどちらがよいかと考えることはできる|免責と免責されても残るもの|註


 
 
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■■生存の争い――医療の現代史のために・9
立岩真也 20030101 『現代思想』31-1(2003-1)
 ※『現代思想』この号売り切れ

■裏切ることについて
 「このようになし崩しの連載が許されるのだろうかと思いながら書いているこの文章は、昨年の二月号の特集「先端医療」のために書かれ始めた。四月号・六月号とその続きが書かれ、さらに八月号からは、毎月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という全身の筋肉が徐々に動かなくなる病気にかかった人たちに起こったことを書いてしまっている。その人たちが書いたものから引用を連ねている。
 許されれば、ただそれを続けていければよいと思っているのだが、ここでは、既に書いてあった分を後にまわして、すこし別のこと、記述することの位置について書く。
 それは直接には、締切を過ぎた二〇〇二年十二月五日の朝、十二月三日に[…]」
■様々な場での争い
 「「普通」の病や障害であれば、必要なことはたいていは取ってくるべきものを取ってくるだけだから、その運動は比較的単純ではある。深刻な対立は内部に生じない。そして人々も、その人たちが生きていけるように誰かが何かした方がよいというぐらいの抽象的な文言についてはたいてい反対はしない。その運動家が嫌がらせの電話を受け取るといったことはあまりない。同情されたりすればなおさらで、そのような輩は死ねばよいと言ってくる人はそうはいない。
 比べて、精神障害の場合にはやっかいだ。その事情は次の項に記すが、精神障害者をめぐる運動はずっとそのやっかいさにつきまとわれてきた。[…]」
■争いを誘発するもの
 「「問題は誰がなおしたいかということです。身体病の場合は主として本人がなおしたいのであり、精神病の場合は主として社会がなおしたいのです。」(吉田[1974]、小沢[2002:89]に引用)★02
 極端な言い方ではあり、いくつか留保するところはあるが、大筋では外れてはいない。精神病・精神障害について起こる問題はこのことを巡るものだ。自分がしてほしくないことをする。だからなにもしてほしくないこともあるが、生活も苦しいし病もつらいから、そうときっぱりとは言えない。
 そんな中で、なんにでも反対するから社会の理解が得られないのだ、政治的・反社会的な言動は慎むべきだ、慎重にすべきだといった忠言あるいは諌言、非難あるいは反感が現われる。他方には別の、反対の側からのと言ってよいかもしれない反対がある。すなわち、議論の場に乗ること、政策に参画すること、政府から受け取ること等への反対、反感がある。[…]」
■危険/確率
 「これらの問題が必然的に起こる。それは先に吉田が述べたことに関わっている。ではそれをどのように考えればよいのか。
 この度の法案に反対する人たちは、しばしば、権利ばかりを言い犯罪の被害者のことを見ることのない輩である、と言われる。しかし、そもそもそんなことはないというだけでなく、そう言われれば、ときに脅迫的に言われれば、そのように言われることをどう考えるかを、またそう言われることと自分との距離を考えざるをえない。
 政策を批判する側が言ってきたのは、なされるのが「社会防衛」だということだ。もちろんそれはそのとおりだ。しかし残るのは、「社会防衛」はいけないのかという問いである。社会を害から守る、それだけの意味であれば、それはよいと言うしかないではないか。とした場合にどんなことがさらに言えるのかだ。
 例えば、池田小学校の子どもたちが殺されたのはお前(たち)のせいだといった非難が精神障害の人の権利のために活動している人に対してなされるし、また、日頃「社会運動」にすこしも関わりをもたない人にも、つまりは同類がそうした非道なことを行なったのであり、おとなしく病院にいればよいのだという類いの非難が投げかけられる。これはこれで十分につらいことだ。それはさすがに卑怯なことだと大方の人は言うとしよう。しかしその卑怯さを差し引けば、被害を減らそうとすることに理はあるのではないか。そしてその人たちは、大きく「社会」とは言わないかもしれない――以前と比べると、この部分にいささかの変化が見られるかもしれない。常に被害者はどうなるのかという問いが出される。放置しておけばさらに被害が出るではないかと言う。[…]」
■適度な距離にある無知と歪曲
 「だから大切なことは争われていることの中にある。しかしそれを知らない。紆余曲折や内部での争いや矛盾を知ること。かろうじてフェミニズムが、その自らの中での争いの跡を残し留め、その上で議論を続けていると言えるかもしれない。それは例えば、公害反対、環境保護、地球環境問題と言葉を変えもしてきたきた運動においてはどうだろうか。すくなくともここで述べている領野については、なにもないわけではなくにしても、まだどうしようもなく少ない。[…]」
■この年と近過去
 「考えてよくわからないことはたくさんある。しかしならばまず知ることではないか。そのことだけを述べた。二〇〇二年にも多くのことが起こったし、それはすべてその後に続いている。その一つが、結局その中身にふれることはできなかったのだが、この度の「予防拘禁法案」とも称される法案をめぐる動きである。
 もう一つは、HIV・エイズのことだ。[…]」
■註
■文献

※唯のテキストファイル&HTMLファイル(便利です)で提供(10/11)。2ついっしょにダウンロードできます。2つで200円。テキストファイルだけ既に購入の方には無料で新しい2つを入手できますとの連絡が行っているはずです。来なかったら連絡をください。


UP:20161003 REV:20161005(200), 20170419(300), 20230104
精神障害/精神医療  ◇7.26障害者殺傷事件  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇『現代思想』連載(2005〜)  ◇『現代思想』 
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