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横田弘の批判

「身体の現代」計画補足・261

立岩 真也 2016/11/18
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1806752792925033

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『現代思想』2016年10月号 緊急特集:相模原障害者殺傷事件・表紙    横田弘・立岩真也・臼井正樹『われらは愛と正義を否定する――脳性マヒ者 横田弘と「青い芝」』表紙    『現代思想』2016年11月号</a> 特集:大学のリアル――人文学と軍産学共同のゆくえ・表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 今年出た本に『われらは愛と正義を否定する――脳性マヒ者 横田弘と「青い芝」』(横田弘・立岩真也・臼井正樹、生活書院、2016)。
http://www.arsvi.com/b2010/1603yh.htm
「七・二六殺傷事件後に 2」
http://www.arsvi.com/ts/20160031.htm
でも事件と事件に対する反応についてふれた。

 フェイスブックに載せるのと同じこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20162261.htm
にもある。


 「■横田弘の批判
 あれも言われこれも言われる、架空対談形式で話が連ねられる花田の文章に比べ、その十年後の横田弘の批判ははっきりはしている。

 「一九六〇年、日本の人民がある程度目を開こうとした安保改定阻止の運動を恐れた国家は、所得倍増計画なる幻想を人民にふりまき、その幻想だけを追い求めていった人びとは、自分の周囲から幻想に追いつけないものを排除しようとし始める。作家の水上勉氏が当時の首相に宛てた「拝啓総理大臣殿」という一文こそ形は違え、ナチス・ドイツに障害者抹殺の口実を与えた父親の運動と全く一致するものなのである。これを受けた国家は、一九六五年社会開発懇談会が、
@心身障害者は近時その数を増加しており、障害者は多く貧困に属しているので、リハビリテーシヨンを早期におこなって社会復帰を促進せよ。/A社会で暮らすことのむずかしい精薄については、コロニーに隔離せよ。
と答申し、これを基として全国コロニー網の拡充、徹底した社会からの隔離政策・肉体的抹殺へと方向づけていった。
 彼らは口を開けば生命の尊重と言い、身体障害者の福祉を叫ぶ。だからこそコロニーは必要なのだと言う。しかし現実に立って眺めた場合、コロニーなるものが実は「うば捨て山」の発想と全く同じであり、しかも、公立でありながら、民間が請け負うという最も安上りなやり方で行なわれる棄民政策にしかすぎないのである。
 先にあげた作家の水上勉氏が次のような言葉を語っているのを私たちは注目しなければならない。
 「今の日本では、奇形児が生まれた場合、病院は白シーツに包んでその子をすぐ、きれいな花園に持って行ってくれればいい。その奇形の児を太陽に向ける施設があればいいがそんなものは日本にない。いまの日本では生かしておいたら辛い。親も子も……」
 「私は、生命審議会を作ってもらって、そこへ相談に行けぼ、子どもの実状や家庭の事情を審査し、生死を決定するという風にしてほしいのです。」
 「白いシーツに包んで花園へ」なんという恐しい言葉だろう。白いシーツに包むということは。花園へ運ぶということは。身体障害者は生きるな、生きてはいけない、という健全者の論理を見事に美化したものなのである。私たちは白いシーツという言葉の意朱を確認し、それを根底からくつがえさなければならない。」(横田[1974:36-38→1979→2015:60-61])

 「今の日本では…」の引用は私も先月号他幾度か紹介・引用したさきの『婦人公論』での座談会における水上の発言の一部。それに対する花田の文章が、様々を言っており、幾つかは愚痴に聞こえるのに対して、ここで言われることははっきりしている。
 この時期以来について、後の人たちのある部分は、このような語り口で、つまり「体制」の問題として捉えることになる。社会・国家・体制…の都合によって政策が遂行されていると言う。本連載でもかつて述べたように、社会保障・社会福祉政策を「懐柔策」であると捉える捉え方はより以前からあるのだが、より積極的な介入策として捉える。近代・資本制・経済優先…社会にとって機能的であるというのである。
 ただどこまでそのように言えるかという問題はある。これはいくらか理論的な問題であり、そして実証の難しい問題でもある。だから私は、考えて議論を建て直していく必要があると思ってきた。ただこのように天下国家を言う横田たちが実際に具体的に向かいあったのはまずは障害児の親の会だった。その場面での争いがある。」


UP:201611 REV:
病者障害者運動史研究  ◇身体の現代:歴史立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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