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花田春兆の不満

「身体の現代」計画補足・260

立岩 真也 2016/11/16
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1806464799620499

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『現代思想』2016年11月号</a> 特集:大学のリアル――人文学と軍産学共同のゆくえ・表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

「生の現代のために・16――連載・127」
http://www.arsvi.com/ts/20160127.htm
分載の3回め。 載っているのは、『現代思想』11月号、特集は「大学のリアル――人文学と軍産学共同のゆくえ」。
http://www.arsvi.com/m/gs2016.htm#11
 フェイスブックに載せるのと同じこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20162260.htm
にもあって、そこからは9月号、10月号の紹介ページにもリンクされている。
花田さんがどういう方であるか、そんなに存知あげているわけではないのだが、それでも説明するのがよいのではあろうが、略。関係するページ
http://www.arsvi.com/w/hs04.htm
だけいちおう。花田さんのことを一番よく知っている研究者はたぶん荒井裕樹さん
http://www.arsvi.com/w/ay08.htm
です。

 ※ここで紹介している花田さんの文章の全文を『与えられる生死:1960年代――『しののめ』安楽死特集/あざらしっ子/重度心身障害児/「拝啓池田総理大学殿」他』
http://www.arsvi.com/ts/2015b1.htm
に収録した。この資料集は随時増補している(説明は上記ページ)。最新のものを未入手の人は連絡ください。お送りします。

 「■花田春兆の不満
 これらに当時数少なく批判的なのが花田春兆だった。「「切捨て卸免のヒューマニズム」では、『婦人公論』の座談会での水上勉氏の発言に触れましたが、その原稿が印刷所でもたもたしている間に、当の水上氏は、条件によっては重度障害の新生児に安楽死を与える生命審議会の設置に救いを求めようという座談会の発言から、鮮かに転進(?)して、重症児をなんとしても生かしていこうとする親の立場からの発言を、「拝啓・池田総理大臣殿」として『中央公論』に公開し、翌月の同誌に総理の代理の黒金官房長官の「拝復・水上勉殿」を書かせ、間髪を入れず、その「拝啓」を巻頭に載せた評論集『日本の壁』を出版して了ったのです。」(花田[1963/10])
 座談会(石川他[1963/02])と、それを批判する「切捨て卸免のヒューマニズム」(花田[1963/06])は先月号で紹介した。花田は、同人誌『しののめ』に比して大手の出版業界の動きが早いことを嘆いた後、座談会での発言からの転身(転進)にあきれ、有名人ゆえにその発言が注目されることを嘆く。そしてその書簡の文章が、『日本の壁』(水上[1963/06/05])所収の他の文章に比しても、水上にしてはできのよい文章でないことを言い(私もそう思い、そのことを先月号に記した)、水上が死んでも相続税を払わねばならないから金が(二分脊椎の)娘には残らないことを言う。「拝啓」についてはそれで終わり、島田療育園――水上の訪問記が水上[1963/08]――になかなか職員が集まらないことを日本人の宗教心が少ないことに求めている大臣に対し、人を集めるのが大臣の務めだろうと言い、女性週刊誌『J』掲載の女性脳性まひ者の手記(『週刊女性』に載ったその文章が実は花田が書いた文章であることもやはり先月号で述べた)に対する批判に反論する。批判といってもそんなところなのではある。
 この時期、「重心」の施設への支出が始まり、また国立療養所が受け入れるようになる他に、新しい施設も構想される。国立コロニー建設の動きがあり、実際に作られる。それは一九世紀から二〇世紀にかけて欧米諸国で作られた巨大なものに比べればさほどでもないが、大きな施設ではあった。その施設とその設立についての文献はいくらかあり、そこに起こった事件についての文献も運営者によるもの(遠藤[2014])他いくらかあるが、ここでは、次の横田による批判に出てくるから、また花田がこれも批判しているから、それが計画され実現されたことだけを、まず記しておく。
 花田は施設を作ることには賛成する。親の会他の建設要求に対してそれは国家の義務だと言えないと厚生省が応じたことを捉え、当時構想された専門の部署まで設置された「国民休暇村」といったものを作るのはむしろ義務でないが、こちらは責務のはずだとする。そして近くに小さいものをたくさん作った方がよいこと、医療設備・機器に金をかけることはないこと、北浦がありがたいこととしてあげていた森繁久彌、伴淳三郎、秋山ちえ子らの「あゆみの箱」の運動、有名ではあるが見識があるわけでない人たちの発言が大きく取り上げられることに不満を述べる。国立への移管によって二重に退職金が発生することへの疑問、等を言う(花田[1965/11])。」


UP:201611 REV:
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