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自傷/パターナリズム(事件後に9)

「身体の現代」計画補足・203

立岩 真也 2016/09/09
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1773537692913210

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『私的所有論  第2版』表紙    『現代思想』2016年9月号 特集:精神医療の新時代――オープンダイアローグ・ACT・当事者研究…・表紙    『弱くある自由へ』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 「自傷と他害とは、普通、おおいに異なる。」それは普通そうでしょ。しかしこれは四文字熟語になってしまっている。というわけで分けてみましょう。という単純な話。
 特集:精神医療の新時代――オープンダイアローグ・ACT・当事者研究…、という、現在発売中の、『現代思想』9月号に、連載の代わりに書いた「七・二六殺傷事件後に」を分けて載せていて――とても長くかかるから『現代思想』買ってください――その10回め。目次や文献表は
http://www.arsvi.com/ts/20160030.htm
 文中の「最初の本」とは『私的所有論』。英語版+日本語版セットで1000円という電子書籍をあと10日ほどで出す予定。紙版と合わせてどうぞ。
http://www.arsvi.com/ts/2013b1.htm
予約してくれたら発売日にお知らせします。
パターナリズムについては
http://www.arsvi.com/d/p03.htm

 フェイスブックに載せるのと同じこの文章は
http://www.arsvi.com/ts/20162203.htm
にもある。

 「■自傷には関わる余地があること
 自傷と他害とは、普通、おおいに異なる。この異なる二つを「自傷他害」と始終つなげて使うというのは明らかに乱暴なことだから、普通に二つに分ける。
 そのうえで前者について。常に本人の「自己決定」のとおりに常にするべきだとは言えない、パターナリズムが正当化される場面があると、最初の本以来ずっと書いてきた。それらで書いてきたことは「自傷」「自殺」を念頭においてのことだった。あるいは直接にそのことに関わってだった。パターナリズムについては[1999][2003]他に書いた★10。他の著書の一部にも書いているし、また安楽死尊厳死という主題について書いた[2008][2009]、立岩・有馬[2012]で述べてきた。それらに書いてきたことを繰り返さない。障害ゆえに判断を過つからパターナリズムを、と主張する――この場合には比較的パターナリズムが正当化されやすい――のではなく、意識が清明で理性的な判断としてなされている場合になお言えることを述べてきたつもりだ。(このたびの事件についても、その水準で議論がなされるべきだと私は考えるし、そのことはさきの共同通信配信の文章でも記してある。)そして医療において救命義務はあるだろう。とすればそのことをもって、ときに本人の意に反することを医療者が行なうことは正当とされる。」

 「★10 [1999]等書店で入手できなくなっているものがある。関連する文章を集めて電子書籍にすることを考えている。[2009]はテキストファイルで、立岩・有馬[2012]は試験的にEPUB・キンドルの電子書籍版「でも」提供している。」


UP:201608 REV:
7.26障害者殺傷事件  ◇『現代思想』2016  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇身体の現代:歴史
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