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ハンセン病療養者運動のこと(国立療養所・3の3)

「身体の現代」計画補足・164

立岩 真也 2016/06/11
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1737067053226941

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 ハンセン病については更新を怠っている以下の頁がある。
http://www.arsvi.com/d/lep.htm
 『現代思想』6月号(特集:日本の物理学者たち)
http://www.arsvi.com/m/gs2016.htm#06
に掲載されているのは「国立療養所・3――生の現代のために・13 連載・124」。 数字が多くてもうしわけありません。以下はさらにその回
http://www.arsvi.com/ts/20160124.htm
(文献表もそちらに)のその3。


 「ハンセン病者の「生活世界」のことはようやくいくらか書かれるようになって、それはそれでよいことではあったが、各療養所やその全国組織の運動についてはあまり書かれたことがなかった。そのことはずいぶん前から気になっていて、市野川容孝との対談(市野川・立岩[1998])でそのことを言っている★03。対談の時に読んでいた文献は、全国ハンセン氏病患者協議会編[1977]、全生園で研究会を行なった時に入手した全国ハンセン病患者協議会[1988-]。とくに後者はたいへん興味深いものと思った。それから一五年以上が経った。そのかん研究はなくはなかったようだが、もっとなされたらよいと思う★04。この連載の第九八回で以上を述べた。
 全療協の運動は日患同盟から多くを学んだとも言われる。日患同盟、全療協、全医労は、しばしば運動において共闘してもきた。その人たちにの果たした役割は確かにあった。ただ一九六〇年代前半、結核の代わりに国立療養所に新たな入所者をもたらしたのは、筋ジストロフィーにしても重症心身障害児にしてもその親の会であり、その組織とその運動の仕方は異なるものである。そうした動きも含め、六〇年代前半の変化がどのようであったのか、またどのように捉えられていたのかを見ていく。

★03 「立岩 いろんなかたちでためらわれるものがあった。この間ハンセン病のもと患者さんの話を聞いたんだけど。僕は七〇年代以降のことを言い過ぎたかもしれないけど、結核療養の患者さんとかハンセン病の患者さんの団体っていうのは、非常に劣悪な状況の中で果敢な闘争を展開されてきた団体であるんですよ。そこの中で何はともあれ多くのものを勝ち取ってきたっていう意味では、決して五〇年代、六〇年代に何もなかったということじゃないのね。ただ、[…]
 ようやく「らい予防法」はなくなったんだけど、少なくともある時期、予防法撤廃っていうふうにストレートにはいけなかった部分っていうのはやっぱりあって。基本的に差別法だけど、その中で自分たちがともあれ生きていける保障をしてる法律でもあるっていう認識が患者さん自身にもあったから、ある意味でしょうがなかったし、僕らがとやかく言うようなことでもないと思うんです。ただやっぱりある種の、たとえばその不妊手術のことについては言い澱んでしまうっていう部分があった。
 そのあったこと、あったときの空気みたいなものも含めて、やっぱりはっきりさせられるところはさせなきゃいけないし、はっきりさせた上でじゃあどうするんだってことを、非常に何というか、場合によっては疲れることだけれども、考えるしかないんじゃないか。そういうことを始めさせたのが七〇年代の運動だったのかな。」(市野川・立岩[1998→2000:170-172])
★04 例えば、内藤・山北編[2014]に「脱施設化は真の解放を意味するのか」(有薗[2014])が収録されている。その論文は、四節あるうちの第三節が「国立ハンセン病療養所における患者運動」で、全患協についての言及がある。そこには、その組織が与えられたもの(療養所という施設とその中での暮らし…)を「守る」闘いをしたことが書かれていて、有益である。ただたんに、とても短い。その内部には、またその外部との間には様々があったのであり、すくなくともその一端は、今でも入手できなくはない機関誌の縮刷版を見てもわかるところがある。他に、らい予防法と全患協〜全療協の運動について川崎[2011]、『全療協ニュース』について川崎[2012]、ハンセン病と結核の患者運動の双方について川崎[2015]、等。おおむね史実が順番に列記され、解釈については藤野[2001]等が援用される。」


今回のHP版は
http://www.arsvi.com/ts/20162164.htm


UP:201606 REV:
『現代思想』  ◇『生存学の企て』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇身体の現代:歴史
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