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英国障害学/リーズ大学

「身体の現代」計画補足・161

立岩 真也 2016/05/30
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1732973283636318

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『生存学』3・表紙    立命館大学生存学研究センター編『生存学の企て――障老病異と共に暮らす世界へ』・表紙    『生存学』1・表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

「生存の技法/生存学の技法――障害と社会、その彼我の現代史・1」からどんなふうに「研究」をやっていくか、の話の続き。
http://www.arsvi.com/ts/20110003.htm
これは『生存学』3号に掲載されている。
http://www.arsvi.com/m/sz003.htm
創刊号
http://www.arsvi.com/m/sz001.htm
はほぼ売り切れだが、この号はまだ買えます。

コリン・バーンズ氏については
http://www.arsvi.com/w/bc01.htm
2010年に先端総合学術研究科の集中講義に来ていたたいた。その時私が書いた短文集が英語・コリア語に訳されている。
http://www.arsvi.com/a/20100920.htm#5
アリソン・シェルドン氏については
http://www.arsvi.com/w/sa12.htm

 「■英国のこと
天田:「障老病異」の研究が「全く足りない」状況にあるため、過去五〇年分のぐらいの基本的な資料・史料としてのデータベースを作成しているということですね。
 そのようなデータベースの作成とともに国際連携・国際情報発信をしているわけですが、では、二〇一〇年にバーンズさん、シェルドンさんとの国際企画や日韓国際企画をやってみた上での率直な感想というか、そこでの意義や成果を簡単に説明してくれますか。
立岩:英国の障害学については、その中身はいくつか翻訳も出ていますから、読んでいただければあの人たちが何をしているのかはだいたいわかると思います。ですからそれはここでは述べませんが、彼らが大学に予めあった組織というよりは、ディスアビリティ・スタディーズ・センター(Center for Disability Studies)という組織を自分たちで作り、立ち上げ、運営しているという点は立派なものだというか、学ぶべきものがあると思いました。予算やどういうふうに運営しているのかといった具体的なことについてはうかがうことはまだできてないんですけれども、少なくとも当初きちんとしたまとまったお金がどこからかついたわけではなくて、出版活動にしても何にしてもかなりの部分は手弁当でやり、それから調査に関して拠出されるファンドをとりながら今までやってきている。一個一個の論文がそんなに素晴らしいことを言っているかと言えば、必ずしもそうでなかったりはするんだけれども、でも、そういう「場所」を持ってやっているというのは頑張っているなと感じています。まあ、私たちもこの『生存学』を値段のついた本として出版社から出してもらい、売り歩いたりして努力はしているわけですけれども。
天田:これは後でも話題にする【学問の組換】の「障害学生支援」に関わりますが、リーズ大学や韓国の幾つかの大学では障害者本人たち・当事者たちはどういう形で勉強し、研究しているのか、そしていかに周囲が支援し、予算を調達してやっているのでしょうか。予算や制度の部分は詳しい部分はわからないということでしたが、わかる範囲でリーズ大学あるいは韓国の幾つかの大学での現況はどうなっているのかを教えてください。
立岩:英国は、全体として、そんなに医療にしても介助にしても、レベルがすごく高いというわけではおそらくないんだと思うんです。地域間格差もかなりあるはずです。ただ、リーズ大学のその関係で学ぼうとすれば、学生生活をやっていく上では支障ないような支援というか環境というか、そういったものはできている、そのようには聞いています。その実態がどの程度のものなのかというのは、それはそれこそ調べないとわからないけれども、そこで大学生やっている分には障害もってやっていけるという体制は整っているようですね。
天田:大学生・大学院生をやっていく分には「そこそこやっていける」ということですが、例えば、立命館大学大学院先端総合学術研究科(以下、先端研と略す)には様々な障害や病気の当事者やその家族、あるいは彼/女らを支援する人たちが実にたくさんいますが、リーズ大ではそうした人たちはどのぐらい在籍しているのでしょうか。この点は、彼の地での「障害学」がいかほどの「幅」の人たちが集まって研究が進められているかという意味で重要なポイントだと思うんですよ。特に、「学」のプログラムを立ち上げたり、組織化していく時に重要な点であり、その「学」の「物言い」を一定程度規定するように思いますが。
立岩:そうですね。それは行ってみないとわからない。来年からダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣生として、先端研の院生である安田真之さん(論文に安田[2011])が行くから、調べてきてもらおうか。」


今回のHP版は
http://www.arsvi.com/ts/20162161.htm


UP:201605 REV:
『生存学の企て』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇身体の現代:歴史
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