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予告(生の現代のために10)2

「身体の現代」計画補足・123

立岩 真也 2016/02/24
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1694551464145167

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『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』表紙    『現代思想』2016年2月号 特集:老後崩壊――下流老人・老老格差・孤独死…・表紙    『現代思想』2016年2月臨時増刊号 総特集:辺野古から問う・表紙   
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 今回(このファイスブックの載せたこの回)のHP版
http://www.arsvi.com/ts/20162123.htm
に表紙が載っているのは連載の第120回が載っている『現代思想』2月号他だが
今回から、2月末発売の3月号に載る連載第121回の関係の2。
第120回から書いていくものを大幅に組み替えるなりして、一つにまとめようと思った。それで文献表もそれ用に別立てのものを作り出した。
http://www.arsvi.com/ts/20160120b.htm
また『現代思想』連載3月号分(連載第121回)用のページ
http://www.arsvi.com/ts/20160121.htm
には、(いまのところとくに難病系の、医療・看護系の)書きものに紹介されてあってよい制度についての記述がないことを示す引用を集めてある。足していくつもり。


 「■何を述べるか(予告)
 […]
 まず言っておきたいその一つとは、この国で「難病」と呼ばれる人たちの長い時間は、障害者運動やそれが得てきたものと切り離されることによって損をしてきた、生きるための資源を得られず、苦労したり死んでしまったりしたその時間だったということだ。使えるものを知らせるために[1990]他を書いてきたのだが★01、その使えるものが使えることを、とくに知らせる立場にいるはずの人たちが知らせてこなかった。そしてそれには、単純に知らなかったということもあるのだが、それだけでない事情があるようだ。その状況はいくらかは変わってきた。けれど、それにしても過分な時間がかかってきた。ALS(筋萎縮性側索硬化状)に関わる人たちのことについては幾度か述べきてた([2004])★02。そしてその跡が別にたどれるのが筋ジストロフィーの人たちだったと思う。私はうまくいってこなかったその事情を傍で見てきた者だが、私より上や同じぐらいの年頃の人たちでそのことを書いてきた人は研究者としてはいない。他方、その過去があって現在があることを現在の人たちは知らない。「ケア」についての書きものはおびただしくあるが、そんな部分の記述はない。それはよくない。そこで新たに知ったことを含め、背景を含めて見ていくのだが、最低限の引用だけしていってもそれなりの分量になる。そこで、今回はどんな筋で言えそうか、その概略を示す。より詳しく述べるのは次回以降になる。(1)から(4)まで4つ、それぞれ数回を要するはずである。」

 ★01は前回紹介した。
 「★02 「ケア」についての書きものはおびただしくあるが、使える制度が普通の書籍その他で紹介されていない。例外的に自立生活情報センター編[1996])が出されたことがあり、これは役に立つ本だった。他に現代書館には『How to 生活保護』(東京ソーシャルワーク[1996]、以後かなりの頻度で改版されている)があって、この手の本としては先駆的であったとともに、実際に役に立つ。生活保護については本が一冊あるとちょうどよく、読者もいるのだろうが、介助に関わるその都度の制度を書籍にしていくのは難しいかもしれない。だいたいのところについては各所でその存在を知らせ、あとはHPでというやり方がよいように思うようになった。その準備をしている。
 そしてこたしかにの約二十年、本格的にはおおよそこの十年、使う人たちは増えてきた。ただ依然として、多くの「窓口」において、また看護職やケア・マネジメントをする人たちにおいて、知られておらず、伝えられておらず、使われていない。
 それは多くの部分についてはたんなる無知に発することであり、であるからその無知を取り除き、たんに進めていけばよいことではあって、それで十分とも思われる。そのことを機会があれば、その度に幾度も繰り返して書いてきたし、これからも書いていくだろう。 そんなわけで立ち入った解説はしないが、「生命倫理的」なことを書くようなところでも、そんな主題については長いものをもう書いているから、そちらに委ねて、何が実際に使えるかを伝えようとしてきた([2009][2016]他)。
 そしてもう少し広く、「難病政策」についてもおおむね言うべきことは定まっている([2014b])。ただ現在がこのようであるのについてはそれなりの因縁があるように思われる。前回からの続きものはその因縁について書こうということでもある。」

自立生活情報センター 編 1996 『How to介護保障――障害者・高齢者の豊かな一人暮らしを支える制度』、現代書館
川口有美子・小長谷百絵 編 2009 『在宅人工呼吸器ポケットマニュアル――暮らしと支援の実際』、医歯薬出版
―――― 2016 『在宅人工呼吸器ポケットマニュアル――暮らしと支援の実際 第2版』(仮題)、医歯薬出版
東京ソーシャワーク 1996 『How to 生活保護―暮らしに困ったときの生活保護のすすめ』、現代書館
立岩真也 2009 「人工呼吸器の決定?」、川口・小長谷編[2009:153-166]
―――― 2012 「共助・対・障害者――前世紀末からの約十五年」、安積他[2012:549-603]
―――― 2014a 『自閉症連続体の時代』、みすず書房
―――― 2014b 「そもそも難病って?だが、それでも難病者は(ほぼ)障害者だ」、難病の障害を考える研究集会
―――― 2016b 「人工呼吸器の決定?」、川口・小長谷編[2016]


UP:201602 REV:

立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇身体の現代:歴史
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