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「『与えられる生死:1960年代――『しののめ』安楽死特集/あざらしっ子/重症心身障害児/「拝啓池田総理大学殿」他』2

「身体の現代」計画補足・121

立岩 真也 2016/02/18
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1692585454341768

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◆立岩真也 編 2015/05/31 『与えられる生死:1960年代――『しののめ』安楽死特集/あざらしっ子/重症心身障害児/「拝啓池田総理大学殿」他』,Kyoto Books \1000
http://www.arsvi.com/ts/2015b1.htm
を、回(のHP版)
http://www.arsvi.com/ts/20162120.htm
に続き今回
http://www.arsvi.com/ts/20162121.htm
紹介。今回も目次載せます。
 集録したものの中で有名なのは水上勉1963/06「拝啓池田総理大臣殿」,『中央公論』1963年6月号、という文章だろう。概説書、たぶん教科書の類にも載っている。ただ中身を読んだことのある人は多くないのではないか。そして、それに対する「返事」も。
 水上には当時二分脊椎の娘さんがいて、ということがあって(その人が成人していて大学に入って、についてのエッセイもある)、その「拝啓」で、流行推理小説家としての自らの所得税が高いことをぼやきながら、「重症心身障害児」――といっても現在のこの言葉とここで使われているのと、いささかずれはあるのだが――に対する国の対応を求めている。それが重症身心障害児対策を開始・前進させたとされる。その水上はその2月後の同じ雑誌にはその施設として先駆的なものであった(今もある)「島田療育園」を訪問して記事を書いている。と同時に、同じ年の「拝啓」の4月前の『婦人公論』では、ベルギーでサリドマイド児を親が殺した事件、裁判の報道を受けて行なわれた座談会で(ここでも島田療育園の小林提樹と同席している)で、以下のような発言もしている。
 「今日のように薬が悪魔的になり、空からいろいろなものが降ってくる時代になって、健康であっても奇形児が生まれてしまうのなら、法律もやはり発達して、赤ちゃんを殺して、それが有罪か無罪かということも規定しなくてはいけないと思います。私は中学一年生に入ったときに、人間はなんのために生きるか、ということを校長先生がおっしゃった。社会にプラスするものになるということにその意義があるのだ。それがないということは、生きる資格がないということです。水頭症の子どもとか、脊椎破裂の子どもというものは、仁木さんもいらっしゃいますが、やはり足が不自由であっても、社会にプラスすることができるので生きる権利がある。それさえでき得ないと判断された場合には、人の範疇に入らないのではないかと私は考えます。」
 こんな具合になっていることをどう考えるかである。例えば花田春兆は「お任せしましょう水上さん」という文章を書いている(『しののめ』51)。
 ちなみにここに出てくる「仁木さん」は二木悦子。
http://www.arsvi.com/w/ne05.htm
 推理小説家。胸椎カリエスの障害があった。夫は二日市安(後藤安彦)。

 ◇目次 ■の印のついているものは全文集録

■序 立岩真也

■1961/07/13 「重身障者をもつ父として」,『朝日新聞』1961-7-13 東京夕刊: 2(投稿・「声」欄)
■松山 善三 1961/09 「小児マヒと闘う人々」『婦人公論』46-11:116-121
■1962/04/30 『しののめ』47 特輯・安楽死をめぐって
■1962/07/09 「私を殺してほしい」,『女性自身』5-27:41-44
■1962/07/10 「「女性自身」に抗議 西宮市肢体障害者協会"身障者をべっ視"」,『朝日新聞』1962-7-10大阪朝刊:11
■花田 春兆 1962/09 「ケンカする気じゃあないけれど」,『しののめ』48
■石川 達三・戸川 エマ・小林 提樹・水上 勉・仁木 悦子 1963/02 「誌上裁判 奇形児は殺されるべきか」,『婦人公論』48-2:124-131
■花田 春兆 1963/06 「切捨御免のヒューマニズム」,『しののめ』50
■水上 勉 1963/06 「拝啓池田総理大臣殿」,『中央公論』1963年6月号,pp.124-134
■黒金 泰美 1963/07 「拝復水上勉様――総理にかわり、『拝啓池田総理大臣殿』に応える」,中央公論』1963年7月号,pp.84-89
■水上 勉 1963/08 「「島田療育園」を尋ねて――重症心身障害の子らに灯を」(特別ルポ),『婦人倶楽部』1963-8:198-202
■1963/08/03 「捜査は見合わせる 「女性自身」の福祉法違反問題 "雑誌類の扱"」,『朝日新聞』1963/08/03東京夕刊:7
■花田 春兆 1963/10 「お任せしましょう水上さん」,『しののめ』51
■花田 春兆 1965/11「うきしま」,『しののめ』57
□花田 春兆 1968/10/20 『身障問題の出発』,しののめ発行所,しののめ叢書7:目次
□花田 春兆 1974/08/05 『いくつになったら歩けるの』,ミネルヴァ書房  『しののめ』47特集についての記述を採録

■立岩 真也 2012/12/24 「『生死の語り行い・1』出てます――予告&補遺・6
■立岩 真也 2012/12/27 「『生死の語り行い・1』出てます・続――予告&補遺・7」
■立岩 真也 2015/06/03 「解説」(抄),横田弘『障害者殺しの思想 第2版』,現代書館(初版:1979,JCA出版)

■文献表
■索引


UP:201602 REV:

立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇身体の現代:歴史
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