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障害者の自立支援と<65歳>問題

立岩 真也 2016/04/17 於:神戸市,あすてっぷKOBE 13:00〜
http://www.city.kobe.lg.jp/life/community/cooperation/asuteppu/

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※これからなにか書きます(〜ある程度書きました)。が、まずは
◆安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 20121225 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』,生活書院・文庫版,666p. ISBN-10: 486500002X ISBN-13: 978-4865000023 [amazon][kinokuniya] ※
 の第11章「共助・対・障害者――前世紀末からの約十五年」は読んでおいていただければと。

※制度の実際については、
重度訪問介護(重訪)
介助・介護
 を見てください。そこ(「重訪」の頁)から、介護保険受給資格者であっても介護保険のサービスを一律に自立支援法(いまは障害総合支援法)のサービスに優先させないとの通達(2012/03/30)にリンク。

※介護保険には要介護認定があり、他方はそう細かなものはない。このことについては『弱くある自由へ』以来幾度か書いているが、『差異と平等』第1章4「決める必要(あまり)があまりないこと」がこのことについて、より進んだ?検討をしており、どのような仕組みが可能かについて述べている。そしてこの問題は、理論的には過剰な/過少な必要の表出という問題であり、『自由の平等』で検討している。

※最新情報(2016):介護保険の自己負担が(これまで総合支援法下でのサービスについて自己負担のなかった人について――ということだろうと)0に(65歳まで障害ヘルパー利用者)
 http://www.kaigoseido.net/topF.htm

※高齢者(である障害者)と(高齢者でない)障害者について別立ての制度にすることの正当性は基本的にないことも随分前から幾度か書いています。見つかったら知らせます。

※たくさん供給・支出すると足りなくなるという話についても幾度か。足りなくない。(時間あたりの単価は、「障害者用」制度の方が低くされているが、だからそちらの制度でだいじょうぶという話をしたいわけではない。もっときちんと払っても大丈夫。)『良い死』第3章など。

『弱くある自由へ』表紙   自由の平等   『良い死』表紙   『差異と平等――障害とケア/有償と無償』表紙   『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

※立岩(tae01303@nifty.ne.jpまで連絡いただければ、当日、ある本はなんでももっていきます。2割引。


◆以下主催者による広告 [Word](地図有)

 障がいをもつこと、老いること
 ――障害者の自立支援と「65歳」問題(介護保険優先の規定)――

 日 時: 4月17日(日)13時〜16時30分(受付12時45分)
 場 所: あすてっぷKOBE セミナー室1
 講 師: 松村敏明さん「障害者から<65歳>問題を考える」
      立岩真也さん「障害者の自立支援と<65歳>問題」
      浜渦辰二さん「障がいをもちながら老いることと、
   老いるとともに障害をもつことの間」     
 進 行: 藤本啓子(患者のウェル・リビングを考える会 代表)   
 参加費: 500円  定員:90 名  申し込みが必要です。  
 その他: 車椅子の方はスペースの関係上、その旨お知らせ下さい。
      ( 介護者は1名まで参加費不要)     

     主催 患者のウェル・リビングを考える会   代表 藤本 啓子 
        http://www.geocities.jp/well_living_cafe/
     共催 大阪大学 <ケアの臨床哲学>研究会   代表 浜渦 辰二
        http://www.let.osaka-u.ac.jp/~cpshama/clph-care/clph-care.htm
        <ケア>を考える会 京都・岡山    代表 林 道也   
        http://care-kyoto.jimdo.dom/ http://okayama-care.jimdo.com/
     協賛 合同会社 オリーブ ヘルパーステーション オリーブ

 お申し込みは、患者のウェルリビングを考える会(藤本)まで
   ハガキ:〒654-0054  神戸市須磨区行幸町1丁目1?37?605
  E-mail: cafe_well_living@yahoo.co.jp FAX 078-735-6750(?不可)
  参加の可否は、定員オーバーでお断りする以外は特にお返事致しません。

  講師プロフィール(敬称略)
  
  松村敏明   NPO法人 えんぴつの家 理事
大阪大学文学部哲学科卒業、29年間中学教師。
         神戸・心身障害者をもつ兄弟姉妹の会 元代表

  浜渦辰二   大阪大学「ケアの臨床哲学」研究会 代表
         6年前に「ケアの臨床哲学」研究会を立ち上げ、海外調査の
         経験も豊富で、海外(主にヨーロッパ)のケア事情に詳しい。

  立岩真也   立命館大学先端総合学術研究科 教授
         専攻は社会学。著書は障害者の問題、ALS、尊厳死などを扱った
         もの多数。新刊『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』


        JR神戸駅、高速神戸駅(阪急、阪神)から北へ徒歩10分
        神戸市営地下鉄「大倉山駅」から南へ徒歩5分

■cf.

◆2016/04/06 「シリーズ 変わる障害者福祉 第2回“高齢障害者”65歳の壁」
 NHK http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2016-04/06.html

◆小井戸恵子 2016 「障害者議員による政策関与活動の意義と課題」,日本福祉大学大学院国際社会開発研究科国際社会開発専攻2015年度修士論文
 第2章 障害者政策への障害者の参画の現状と課題:過去の論点の分析
  2-3 制度とニーズのギャップ:65歳問題と重度訪問介護の事例

 「国の方針により介護保険制度が創られ社会福祉法が改正されたあとの波は障害者施策の枠組みに急激な変化を起こしている。障害者の生活問題や課題も多様化してきているが、その声はどこまで届いているのであろうか。
 障害者福祉では、障害者自身の生活確保のための運動展開の実態が制度化に影響を及ぼしている。例えば、2010年1月に国は自立支援法の廃止を約束し、訴訟における弁護団の主張を今後の障害者施策に生かすことを約束し、基本合意の締結に至ったことなどは運動による成果である。しかしながら、20103年4月に施行された障害者総合支援法は、廃止されるはずだった障害者自立支援法の骨格を維持したままであり、基本合意の履行の約束は未だに果されていないのが実情である。
 さらに、国策の影響の下、自治体は65歳をむかえた障害者に介護保険でサービスを受けるよう個別に説得している現状がある。2016年施行の障害者差別解消法では、地域間格差や障害種別格差の是正から安定した予算の確保などが示されているが、生活ニーズの多様化に各地の事業実施は追いついていくのであろうか。上でもふれたように、生活の獲得を目指した障害者による活動は現在の運動へとつながっている。しかしながら、運動をしてきた障害者や障害者議員の高齢化に伴い、介護保険制度や重度訪問介護の実体験が身近なニーズ課題となっている。このような背景を持つ@65歳問題とA重度訪問介護を、障害者の参加・参画の事例としながら、生活現場における制度とニーズのギャップについて論じる。

   2-3-1問題の所在
@65歳問題
 寺田(2008)は、「障碍理解とか何とか言っている一方で、障碍者をめぐる社会状況や制度は、ある面で年々生きにくいものとなっている。私たち夫婦も65歳になった途端に障碍者ではなく高齢者だとして介護保険に追いやられてしまった」と、東京青い芝の会の運動の中で、外出や自治活動の自由など、さまざまな改善を勝ち取ってきたことを振り返りながら65歳問題に関して記している。寺田たちのあとに続くように、「障害者の尊厳の尊重」や「障害者の完全参加と平等」、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」などが謳われ、障害者の運動が多様に展開され制度がつくられてきた。ところがこれらの運動と相反するように、総合支援法第7条には「65歳以上の障害のある人と(中略)原則として介護保険を優先すること」が定められている。「原則として」と書かれている条文の情報を得られている障害者は極一部である。
 2014年9月の「きょうされん」の報告『介護保険優先原則による利用者への影響調査の結果』では、厚生労働省からの通知の解釈・実施が市町村により異なること、障害のある人やその家族に周知徹底していないと思われること、従前から障害福祉を利用している65歳以上の人には認める、などが報告されている。この内容から、行政いわゆる自治体ごとの判断に委ねられているところが大きく、「生活様式は自己選択・決定のもとで確立されるべきである」と運動してきた理念が無視されていると言えよう。
 2015年12月14日障害者政策委員会の障害者部会と厚生労働省(以下厚労省)との議論の中でも、「自治体ごとに取り扱いが大きく異なることに対して改善を図るべき」との意見が出されているが、厚労省からは「自治体に周知徹底を図る」ことや「実態把握に努める」との回答が得られたにすぎない。寺田が記している「障碍者理解とはいうけれど」という現場の嘆きは改善の兆しはなく足踏みをしたままである。
 上で述べた現状と向き合うためには、運動により勝ち得てきた制度が社会状況から改悪され、「一人ひとりが普通に暮らせないことは差別である」ことを再確認した運動の展開が必要であろう。しかしながら、この65歳問題について、全国自立生活センター協議会(JIL)などの運動体内部において話し合いはあるものの、組織としての対応は行われていない。その理由として、障害者個々人が説得しなければならない相手が国ではなく各自治体であることに加えて、交渉力のある障害者はこれまでに勝ち取ってきた介護の時間数を認めさせることができることで妥協していることが考えられる。そこには、障害者個々人の力や生活環境の違いから、声なき声を持ったまま実態を受け止めざるを得ない障害者間の格差がみられる。
 政治的に見ても自治体の財源難が続く状況下にあることは周知のことであろう。そのような環境を受け止めざるを得ない障害者がこれまでどおり地域で生きて行こうとしている。障害者側もこのような障害者の実態把握を運動の視点に置きながら、冷静かつ客観的な視座から政策執行側と向き合う努めを成し得ることで、官民が一緒になった情報の共有化が図られる時代を迎えているのではなかろうか。」

◆2014/09/24 「障害者に"65歳の壁" 実態明らかに」
 https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/500/197885.html


UP:201602 REV:20160414
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