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障害者支援・指導・教育の倫理
立岩 真也
2016
金生 由紀子・渡辺 慶一郎・土橋 圭子 編 2016/12/10 『新版 自閉スペクトラム症の医療・療育・教育』,金芳堂
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■金生 由紀子・渡辺 慶一郎・土橋 圭子 編 2016/12/10
『新版 自閉スペクトラム症の医療・療育・教育』
,金芳堂,320p. ISBN-10: 4765316963 ISBN-13: 978-4765316965
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※初校
■現況とそこで倫理を問うことについて
拙著に『自閉症連続体の時代』(みすず書房、2014)がある。そこで一つ、本人が自閉スペクトラム症――編集方針に従いDSM−5に則る――だと「発見」し名乗ること、自閉スペクトラム症は「脳機能障害」だとしたことがどんな意味をもつかを検討した。まず、なんだかわからなかったのがわかった気になった人がいた。そして、家族要因説から逃れられ、家族が自責の念にとらわれることがなくなった。本人も仕方のないことだとして免責を得ることができた。かえって身体への介入を防止し、社会に理解を求め自らも無駄を省くことにもなる穏当な処世術でやっていくことに一方ではたしかに結びついた。これらはよいことだった。ただ、それには各々問題・限界があることを述べた。第一に、その同じ対応術の習得が、周囲のために、そして本人たちに(そして家族に)偏って大きな度合いで求められてしまうことにもなりうる。第二に、生理的なメカニズムがわかっていないから介入がなされないということは、わかれば身体への直接的な介入に道を開くことにもなるし、実際、どこまでがわかっているかと別に、効果は見込まれるとして薬物等は使われている。なされることは、現実には部分的で乱暴なことであり、空想的には全面的で乱暴な人間の改変策になりうる。第三に、その範疇化とそれへの対応が定型化されることは、必然的にではないが、仕分けられ型通りの処遇ですませられることにつながることがある。ではどうしたらよいのか、それを検討した。ここではその一部に述べたことを略述する。より詳しい記述・説明については拙著をあたってほしい。
こうした事実(を記すこと)と「倫理」はどのように関係するか。例えば十全に検証されているとは言い難い脳障害説は、事実の水準にある。その説は今のところしかじかしても無駄だという話に結びつき、過度の介入を防ぐ機能を果たしている。親や本人の責任が問われないことにもなった。このように、事実認識が変わることでどうするかが変わるということはたしかにある。しかし仮に「効く」方法がわかったらどうなるか。原因あるいは処方の実現可能性如何とは別に、どのようにすべきか考える必要がある。事実(の変化)に実践が間違って動かされてしまう危険もある。それを防ぐためにも「べき」を考える必要がある。
拙著で考えたのも、事実認識の変化がもたらした(まず肯定的に捉えられた)ことの確認の上で、しかしその上でも残る問題についてであり、ではそれをどうするかということだった。ここではその「ではそれを」の部分だけを、ごく短く、記すことになる。規程の紙数のこともあり、以下かなり時間がかかり苦労したのだが、言い尽くせないことも、短すぎてわからないだろうところもある。不要に難しく感じることもあるかもしれない。ずっと短いものとして、『おそい・はやい・ひくい・たかい』(ジャパン・マシニスト社)90号特集「暮らす・学ぶ・働く 「発達障害」を身近に感じたとき」所収の岡崎勝との対談「まわりにいる人が楽になる、力をぬくための心がまえ」等があり、そうした文章をHPに掲載してある(「立岩真也 障害者支援・指導・教育の倫理」で検索)。これらそして拙著で補っていただければと思う。
なおここでは発達障害という言葉は使わない。それが何であるか私にはわからないからでもあり、「発達」の「障害」と言うのがよいのだろうかとも思うからでもある。また私が本に書いて少し知ったつもりになっているのは主には自閉スペクトラム症の人たちのことに限られる。そしてautismという言葉に特段「症」という意味はないはずだ。それで以下字数の節約のため「自閉圏」あるいは「それ」という語を使う。
■病・障害にある成分
■自閉圏はどう捉えられるか
■なすべきことの実現は可能でありそれは自閉圏の出現が示している
■基本的に同じことが現場についても言える
■もとからなくすことは正当化されない
■分けることについて
■教育・療育
■マニュアルの使い方
UP:201701 REV:
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『生存学の企て』
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立岩 真也
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Shin'ya Tateiwa
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病者障害者運動史研究
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身体の現代:歴史
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