HOME > Tateiwa >

今般の認知症業界政治と先日までの社会防衛・1

「身体の現代」計画補足・79


立岩 真也 2015/10/26

Tweet
last update:2015


『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙    『造反有理――精神医療現代史へ』表紙
[表紙写真クリックで紹介頁へ]

 『現代思想』(青土社)に長い続きものをさせていただいている(11月号に載るのが第117回)。その連載から今度の本もいれて5冊の本が出ている。その5冊目が『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』。
http://www.arsvi.com/ts/2015b2.htm
 明後日辺りには書店に出るはずの11月号(「大学の終焉」という特集号)では「今般の認知症業界政治と先日までの社会防衛」というものにした。最近出たその本を広告しつつ、一つそれと直近のことに関わることを知らせ、そしてわりあい長い歴史の中にどう位置づくのかについて考えてみようとした。青土社にとっても不利益なことではないと思うから、何回かに分けてそれを分載し、いくらかを加えていく。
 ついでに一つ。以下に「全家連」
http://www.arsvi.com/o/zkr.htm
について今回は書けないと述べている。実際書けなかったのだが、とくにその1960年代から1970年代について知りたいと考えている。資料などいけだけると有り難く存じます。

 「■『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』
 一つ、病や障害と呼ばれるものにある複数の契機をさしあたり分けて考えるのがよいこと、一つ、各々について得失の両方を考えるべきこと、その際、本人と複数の関係者(における得失)を分けて考えるべきだと、それだけを示そうと言った。そして前々回は、一つめの五つ契機の四つめ、「異なり」について、顔の異形に関わって書かれた本の幾つか他を紹介した。
 大きくはその話の一部ではあるのだが、前回、今もう発売になっている『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』の一部を紹介した。以下「本」と記す場合はそれを示す。今回はその続きになる。それは、前段に述べたこと、単純でもあり、また――例えば、痛みやできないことが、本人にとって、周囲の人(それを家族とそれ以外等々と分けることもできる)にとって、また医療や福祉の提供者にとってどんな意味・得失をもたらすかといった具合に――掛け合わせるなら、総数は少し数の多くなる――例えば五×四なら二〇となる――話をなぜしようとしているのかを説明することでもある。
 まず、一九七〇年当時、さきの一つめ、すくなくとも五つには分けられるとした契機がないまぜになって、そして病とされるものに関わって「社会防衛」がまったく無防備に語られていることを見ておく。それは『造反有利――精神医療現代史へ』(前書とする)そして今度の本において、六〇年代中盤に大きな変化があったとする通説が必ずしも当たらないとしたことに関わる。これは続きのある話だが、ここでは引用を一つだけして、後は別の回に残す。
 そして次に、認知症に関わる直近の「政治過程」について述べる。それは本では第4章「認知症→精神病院&安楽死、から逃れる」に続く部分だが、最初に繰り返した二つの中では二つめ、そのうちの本人でなく関係者の得失、さらにここでは精神医療の供給者、むしろ経営者たちの利害に関わって起こったことを述べることであり、またそれと認知症の、本人というより、その人に関わる人々の利害がどう関わるかを見るということでもある。今回はおおむねこのことを述べる。そして「不祥事」の類も含め、できごとをどのように扱うか、書いていくかについて、いくつか補足する。
 さらに、関係者の大きな部分である家族(会)、具体的には既に消滅した「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」が自らを語る時、さきの二つめ、複数の関係者の差異をないことにしてことが捉えられ、同時に、自らが行なってきたことの一面が語られてないでいることを見ておく。ただ今回は触れられず、やはり別の回になる。
 前書は、たいがいうまくはいかなかったがそれでもなされたことを書いておこうというものだった。それはすくなくとも、ときに明確な自覚のないことはあったが、こうして一緒くたにされていたものを分離しようという動きではあった。このことは確認できたと思う。では、その上で、代わりにどうしたものか。前書でも基本的なことの幾つかは述べたが、今度の本はより「前向き」の話をした。具体的にもっと詰められたらとは思ったが、それは別の人たちの方が適していると思うから、ごく基金的なことだけを述べた。そしてそれは、前々回まで述べて途中になっている議論から導かれるものでもある。ただ、その全体を記してからでないとわからない話ではない。今度の本はそれだけのものとして読めるものになっている。以下、その上で補足する。その一部は、やがて――今度の本でも前書でもほぼふれなかった「精神」関係の本人たちの動きに関わる、共著の――別の本に組み込まれるだろう。」


UP:20151026 REV:
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)