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資料集・1(被差別共闘/楠敏雄)←『そよ風』

「身体の現代」計画補足・59

立岩 真也 2015/09/08
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last update:2015

 『そよ風のように街に出よう』という雑誌がある。
http://www.arsvi.com/m/s01.htm
上の頁に出てくるが、私はそこに2007年から「もらったものについて」という題の連載をさせてもらっている。いつものようにいつのまにか連載になったもので、とくにこの連載はとりとめがなく、そのときどきのことと過去のことを、行ったり来たりしながら、紹介している。まとめて一つにと言っていただいたりすることもあるのだが、どうもこれは、どうにも整理のしようのないもので、まとめるなら、新たに書くぐらいの手間がかかりそうだと思っている。
 その最新号が8月20日に出た。この雑誌、とても大切な雑誌であってきたと思うのだが、もうしばらくで終わりにするということらしい。このFBをやっているセンターの「売り」の一つは、この雑誌のバックナンバーがそろっていることであると私は思っているのだが、誰か持ち出してそのままになっていないだろうか。心配なので確かめたことはないのだが、確かめてみた方がよいのかもしれない。
 その号に掲載されている私の「もらったものについて」は第14回。
http://www.arsvi.com/ts/20150014.htm
 今回引用するのはその一部。
そしてこの文章のリンク付のHP版は
http://www.arsvi.com/ts/20150099.htm

 「実際、ほんとに〔障害者運動△が〕騒ぎ出したのは今度再刊されたその『障害者殺しの思想』になった文章が書かれ、『母よ!殺すな』になった文章が書かれた時期、またその『母よ!殺すな』に収録された短いしかし重要ないくつかの文章が『CPとして生きる』というパンフレットになって「学習会」などに使われたという時期だと私は考えてきたし、今もそう考えている。ちなみに今手元にある『CPとして生きる』は、以前紹介した椎木章さんから寄贈していただいたもので、それはこのリボン社から出た複製版だ。そこには「この複製版は、神奈川・青い芝の会の横塚さんとリボン社の話し合いの元、実現しました。従って、他のいかなる団体・個人も、複製・転用はできません。発行責任はリボン社です。」といったことが書かれている。
 ではその前はどうだったかということになる。

 □資料集・1(被差別共闘/楠敏雄)
 それをきちんと調べるだけの余裕はない、それは別の人(たち)の仕事だと思ってきた(し、やはり、今もそう思っている)。ただ、実際にはなかなかやってもらえない。「優生学」という名前が公然と存在し、学者たちがそれを論じていた(唱えていた)もっと古い時期についてはそこそこの研究はあるのだが、それより後、そしてなんでもかんでも――というと言いすぎだが――「優生思想」だとする障害者たち他による批判が始まる前の時期についてあまり書かれたものがないように思ってきた。
 そこで――だったのかどうか、定かでないのだが――とりあえず、その当時の、当時はそこそこ話題になった記事やら座談会やらをそのまま収録した資料集を作ることにした。
 資料集を作る試みは初めてのことではない。幾つか作っている。(「立岩真也」で最初に出てくる私の頁の左上「本」をクリック→そこの「報告書」のところ。)最近では二つ作った(そのことをさきの引用の☆02に簡単に紹介した)。その二番めが紹介しようとしたものだが、一つめについてもついでに。
 この二つは電子媒体だけで提供している。それ以前に作ったものは、PCのプリ△046ンターで印刷して、簡易製本機(熱で背表紙の裏――というのも変だが――の糊を溶かしてくっつけるというもの、商品名としては「サーマバインダー」等がある)で一つひとつ作って売っていた。。二〇〇三年の介助時間上限問題〜自立支援法にかけての資料集などは、けっこうその時は売れた。ただ最近の二つは数が出るものとは思われなかったので、紙版での提供はしていない。電子書籍といってもいくつかの方式があるのだが、私が作ったのはHTMLファイル。つまりはホームページを見ると出てくるあれと同じもの(で文字だけのもの)。すると横書きになるわけで風情には欠けるのだが、とりあえずいいかなと思ってそうした。おもしろい、と本人は思っているのだが、なかなか売れないものだ。よろしかったらどうぞ(「立岩真也」で最初に出てくる私の頁の上「販売します」)。
 その一つめが、昨年末出した「被差別統一戦線」「被差別共闘」について、そして楠敏雄(一九四四〜二〇一三)について。『身体の現代・記録(準)――試作版:被差別統一戦線〜被差別共闘/楠敏雄』という題にした。被差別統一戦線・被差別共闘は、被差別部落解放運動と他の種々の反差別運動とがいっしょにやっていける可能性が七〇年代に一時――と言ってよいのかわからないのだが、たぶんそんな感じだと思う――模索されたその動きだ。その『被差別統一戦線』の一号と二号、『被差別共闘』の五・六・七号の全文を収録している。飛び飛びではあるが七五〜七六年と短い期間に出たものだ。私が入力したのではない。どなたかがその「全文」を入力してくださって、それを私にくださった。まったく恩知らずなことに、どういういきさつでどういう方からであったか記憶にない――心あたりのある方はお知らせください。とにかく手元にCDのディスクがあった。それを自分だけというのもよくないと思って収録した。
 青い芝の会神奈川県連合会の『あゆみ』もそうなのだが、おもしろいのは、討論の部分だ。兵庫青い芝関西青い芝の会連合会等の設立・運営に関わりつつ抜けたり壊したりした鎌谷(古谷)正代といった人も発言している。とくに関西の場合、部落解放運動や在日の運動と障害者運動との関係は強い。同時に、これらの差別の各々はどこまでも同じであるとも言えないようにも思える。どうなっているのか。おもしろい、と思う。が、誰かそれを主題的に研究したという話を聞かない。それで、研究やったらよい書いたらよいと身の回りにふれまわっているのだが、そういう「未来の人たち」のためにも、と思って集めて作った。
 おまけに、本誌の河野秀忠が本誌八六号に寄せた「新・私的「障害者解放運動」放浪史 一四」から、「映画「何色の世界?」上映あぴいる」(七五年?)の一部を引用したりしている。「七〇年代後半に突入した今、社会的位相を被差別統一戦線にもとめながら、ふみつけられたまんじゅうからアンコがとび出すように、自らを生きた政治過程に登場させているのです。」というくだりだ。河野さん――が書いたんでは、と思うが――らしい文章だ。
 そして楠敏雄(一九四四〜二〇一四)について。じつはさきにあげた機関誌にも楠は登場するのだが、それ以前、楠は、龍谷大学で大学闘争・全共闘運動に関わり、「新左翼」のセクトに関わり、やがてそこを抜けたりするのだが、そのほぼ同じ時期、水平社宣言、部落解放運動に影響を受けたことを幾度か書いたり話したりしている。そんなことも含め、またこちらの大学院に楠のことを研究している院生(岸田典子)もいるものだから、楠の追悼集会のために作成された文集(二種類ある、ちなみに原稿を期日までに届けられなかった私の文章はない)他から、年代順に彼の足取りをたど△047 れるようにしてみた。
 本来は統一戦線・共闘と楠と、この二つは分けた方がよかろうが、まずは二つ合わせて七〇〇円ならどうだろうということで作ってみた。おもしろい、と思うのだが、なかなか売れないものだ。買ってくださいませ。」


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立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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