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死を見つめる本・良い死の本:死生本の準備4

「身体の現代」計画補足・20

立岩 真也 2015/02/15
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1561264260807222

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▽第17回からしばらくは『生死の語り行い・1』(立岩真也・有馬斉、2012)に当初収録するつもりでできなかった関連する本の紹介――そのもとは『看護教育』での連載、そして本への収録を計画していた時に作った本のリストやその解説である――をしていく。そのうちハイパーリンクがたくさんついた電子書籍『(題未定)』で出版予定。まずは、『生死の語り行い・1』――に出てくる本には重要な本が多いから――を読んでおいてもらえれば。△

『生死の語り行い・1』表紙

 今回は本のリストだけ。だが、それを作ってみたのについては、現代において「死は隠されている」「タブーになっている」という「定説」があるのだが、それは――むろんいつからを「現代」を言うかといったことがあるのだが――本当か(疑わしいと私には思える)という疑問が一つ、そしてもう一つ、隠さないと何(か)が見えるのかという疑問が一つある。
 後者は前回記したこととすこし関係がある。前者については、例えば『現代思想』に掲載されのちに『生命の臨界――争点としての生命』(松原・小泉編[2005])に収録された大谷いづみの「いのちの教育」に隠されてしまうこと――「尊厳死」言説をめぐって」には次のようにある。

 「ここ数年、「いのちの教育」「死の教育」に取り組んでいる人々が口々に触れるのは、「死が病院に隔離されてタブーになった現代に、死をとりもどすこと」である。わたしが高校「現代社会」の授業で初めて「脳死・安楽死・尊厳死」を取り上げたのは1980年代後半のことだから、このテーマを取り上げてきた者としては、かなり早い部類に入るのだろう。だが、取り上げた当初から現在に至るまで、「タブー」を破った、というように思ったことは一度もない。
 そもそも、高校時代にカレン・アン・クインラン事件の報道を目の当たりにし、判決の出た1976年の文化祭のイベントで、「安楽死、是か非か」のディベイトを体験しているのだ。」(大谷[2003→2005:91])

 前置きは終わり。死を「見つめる」といった題のある本は以下。

・『愛は死をみつめて』(Wertenbaker[1957=1958]、原題はDeath of a Man)
・『死を見つめる心』(岸本英夫[1970])
・『死と向かいあう看護』,川島書店 1800 d(大段智亮・石川左門・土橋洋一[1974])
『しんぼう――死を見つめて生きる』(川口武久[1983])
・『死をみつめる仕事』(猪瀬直樹[19870820])
『死をみつめる心』(若林一美[1987])
『安らかに死ぬということ――死と向き合い、最後の人生を豊かなものにするために』(Outerbridge & Hersh[1991=1993]、原題はEasing The Passage
・『死を見つめて生きる――続・愛をこめいのち見つめて』(柳澤桂子[1988])
・『老いと死をみつめて――老いの生き方Q&A』(Deeken, Alfons編[1989])
『脳死と臓器移植――見えざる死をみつめて』(名古屋弁護士会編[1991])
『死と直面する――"死"をとらえ直すことによって、新しい"生"が見えてくる』石川左門他[1992])
・『安楽死――生と死をみつめる』(NHK人体プロジェクト編[1996])
『ガン専門医が見つめた 病むということ 死ぬということ――生命場は永遠に生きる』(帯津良一[1995])
『人間らしく死にたい!――在宅死を見つめて20年』(鈴木荘一[1998])
・『死とむきあうための12章』(日本死の臨床研究会編[1999])
『死をみつめ、今を大切に生きる』(日野原重明編[2002])
『思想の死相――知の巨人は死をどう見つめていたのか』(仲正昌樹[2007])

 「美しい」「良い」等が死と結びつけられる題名をもつ本として以下(安楽死・尊厳死――euthanasia も直訳すれば「良い死」ということになるだろう――という題のものは別途紹介するから、ここでは省く)★01

『安らかに潔く死ねる法』(上埜吉雄[1982])
・『より良き生と死のために医療をささえる死生観』(橋本行生[198811])
『安らかに死ぬということ――死と向き合い、最後の人生を豊かなものにするために』(Outerbridge & Hersh[1991=1993])
『よく死ぬことは、よく生きることだ』(千葉敦子[1987])★02
『美しく老い、美しく死ぬ――地域医療実践の場から』(宮原伸二[1994])
『潔く死ぬために――「臨死学」入門』(ベッカー, カール・デーケン, アルフォンス・福間誠之・柏木哲夫・河野博臣[1995])
・『素晴らしい死を迎えるために――死のブックガイド』(加賀乙彦編[1997])
『美しいままで――オランダで安楽死を選んだ日本女性の「心の日記」』(ネーダーコールン 靖子/秋岡 史 解説・編[2001])
『仏教「死後の世界」入門――美しく生きて美しく死ぬ』(ひろさちや[2002])
『よき死の作法』(高橋隆雄・田口宏昭編[2003])
『美しく死ぬ――そのための上手な生き方』(宮原伸二[2005])
『満足死――寝たきりゼロの思想』(奥野修司[2007])
・『良い死』(立岩真也[2008])
『より良く死ぬ日のために』(井上治代[2010])
『医師が教える幸福な死に方』(川嶋朗[2012])

■註

★01 良い死を語ることが人にその良い死を期待させ拘束してしまうことの懸念を巡る記述もある。例えば著書『続・病院で死ぬということ――そして今、僕はホスピスに』(山崎[1993b])をもとにしたテレビドラマ(一九九四年六月『真昼の月』)について、『僕のホスピス1200日』に収録されている山崎章郎の文章より。
 「そのドラマを観た作家の評論が載っていた。/それは主人公である若い女性患者が、「死を悟り、受け入れることが、安らかな死のあり方」とする医師の信念を受け止め、お手本のような死を、期待されたように死んでいく様子が痛々しく、とてもかわいそうだったというものであった。
 […]この評論に対しては、一言僕の意見を言わせていただきたいと思う。[…]僕が言いたいのは、『真昼の月』の主人公であった患者さんの死の場面が感動的であったのは、自分の気持ちを素直に出し、それを率直に受け止めて支えていこうとする関係が、患者さんとその周囲の人との間に成立していたからで、決して作為的なものではなく、自然なものであったということなのである。」(山崎[1995:180-182]、この文章が収録されている章の題名は「立派な死、美しい死はあるのか」)
 山崎の『病院で死ぬということ』(山崎[1990])はベストセラーになった。今から二五年前のことだとあらためて思ったが、その時にはすでに山崎の本に書かれていることはわりあい新規なことではなかった――けれともこの本は特別に売れて読まれたのだが。私も1991年か1992年か日本社会事業大学で非常勤講師をしていた折、その新入生ゼミといった名称のコマ――その大学では1年生にそうした授業があり、それは常勤の教員が担当するものだったが、私が担当した2年間、今は九州大学にいる安立清史さんがサバティカルでその代理を私がつとめたのだった――でみなとその本を読んだ記憶がある。
 山崎にはその後、いま一部を引用した『続・病院で死ぬということ――そして今、僕はホスピスに』(山崎[1993a])、『ここが僕たちのホスピス』(山崎[1993b])、『がんの苦しみが消える――ホスピス・緩和ケア病棟ガイド』(山崎[1994])、『僕のホスピス1200日――自分らしく生きるということ』(山崎[1995])、共著書に『ホスピス宣言――ホスピスで生きるということ』(山崎・米沢慧[2000])。(米沢慧の著書の書評を書いたことがある。別途紹介する。)本文にもあげた『安らかに死ぬということ――死と向き合い、最後の人生を豊かなものにするために』の共訳者でもある。
★02 千葉敦子『乳ガンなんかに敗けられない』(千葉[1984]□)、『ニューヨークでがんと生きる』(千葉[1986]□)。一九八七年に亡くなる。その年に『よく死ぬことは、よく生きることだ』(千葉[1987a]□)『「死への準備」日記』(千葉[1987b]□)、デーケンによる追悼文には次のように書かれている。  「千葉敦子さんは、一九八七年七月九日午前七時四十五分(日本時間午後八時四十五分)ニューヨークのスローン・ケタリング記念病院で亡くなられた。このニュースは、すぐ日本に伝えられ、ほとんどの新聞で、翌日の夕刊の社会面のトップに大きく報道された。<0216<  朝日新聞は、さらに七月十一日付朝刊の、天声人語や家庭面でも、彼女の死の意義を分析している。  当時の『朝日ジャーナル』誌上に連載されていた「死の準備」日記に注目しておられた方は別として、なぜいま、このフリー・ジャーナリストの死に関心が集まるのかと、唐突に感じられた方もあったろうし、ああ、とうとう彼女も、と改めてガンの恐ろしさに眉をひそめた方もおられたのではないだろうか。  しかし、私のこの連載の題名となった「死への準備」という言葉の、日本での種まき人の一人として、深く彼女の死を悼むとともに、改めて彼女の生と死の遺したものは何であったのかを、問い直してみたいと思うのである。」(デーケン[1987→1995a:216-217]□)
■ここまでの「死生本の準備」

◆2015/02/09 「死/生の本・2増補(小泉義之の本)――「身体の現代」計画補足・19」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1557205197879795
◆2015/02/03 「死生学の本――「身体の現代」計画補足・18」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1554364208163894
◆2015/01/31 「死/生の本・1増補――「身体の現代」計画補足・17」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1553411651592483

■そこまでの「「身体の現代」計画補足」

◆2015/01/30 「いまさら優生学について――「身体の現代」計画補足・16」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1552887091644939
◆2015/01/08 「不定型な資料をまとめ出したこと――「身体の現代」計画補足・15」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1542932532640395
◆2014/12/20 「不定型な資料を整理し始めたこと〜横田弘1974――「身体の現代」計画補足・14」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1532834723650176
◆2014/12/10 「安楽死・日本・障害者の運動(予告)――「身体の現代」計画補足・13」
 [English]https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi.en/posts/1500472513573729
 [Korean]https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi.ko/posts/674499219334578
◆2014/11/27 「韓国の人たちと・続――「身体の現代」計画補足・12」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1522712254662423
◆2014/10/12 「これからの課題としての障害者運動と在日・被差別部落…解放運動との関わりに関わる研究――「身体の現代」計画補足・11」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1502938869973095
◆2014/10/06 「尾上浩二さん・広田伊蘇夫さんからのいただきもの――「身体の現代」計画補足・10」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1500213176912331
◆2014/10/01 「『そよ風のように街に出よう』/『季刊福祉労働』――「身体の現代」計画補足・9」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1498119143788401
◆2014/09/28 「『精神医療』という雑誌――「身体の現代」計画補足・8」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1496630793937236
◆2014/09/26 「資料について、の前に書いてしまったもの幾つか――「身体の現代」計画補足・7」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1495845864015729
◆2014/09/21 「「レア文献」――「身体の現代」計画補足・6」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1493567090910273
◆2014/09/06 「『現代思想』9月号特集:医者の世界・続/勧誘――「身体の現代」計画補足・5」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1484426548490994
◆2014/08/31 「『現代思想』9月号特集:医者の世界+『流儀』――「身体の現代」計画補足・4」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1479236585676657
◆2014/08/29 「今のうちにでないとできないこと(『造反有理』前後/広田伊蘇夫文庫)――「身体の現代」計画補足・3」
 https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1477360962530886
◆2014/08/28 「調査について(『生の技法』の時)――「身体の現代」計画補足・2」
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◆2014/08/27 「『自閉症連続体の時代』刊行他――「身体の現代」計画補足・1」
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UP:20150209 REV: 

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