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安楽死尊厳死についてのコメント
立岩 真也
『東京新聞』2014/11/07朝刊
※いまゲラが来ました。のちほどお知らせ。
◇の部分が立岩が送った部分
明日の新聞で、尊厳死についての記事を予定しております。
アメリカ人女性、ブリタニー・メイナードさんが自ら命を絶ったニュースを踏まえ、国内での議論を振り返る内容です。
■今回のアメリカ人女性の行為について、どう思うか。
◇「安楽死を推進する大きな資金をもつ団体が関わっている。(その団体を批判する人たちもいる。)そうした状況や背景が報じられないのは残念。」
次の候補
◇「毎日人が思うことは揺れる。だが、死にたくないと言えばその間は生きられとしても、死にたいと言えばすぐに実現してしまう。彼女はそんな場所で(オレゴン州で)死んだということだ。」
■日本のいわゆる「尊厳死法案」についての見解と問題点
◇「(医師が薬を盛るにしても自分で飲むにしても)今回の積極的に死に至る行為に対して、日本で主張されるのは処置の差し控えや停止で違うと主張されている。だが本質的な違いはない。」※
※※」
※止めればあるいは始めなければ確実に死ぬ行為の停止・不開始は、死に至らせる(不作為も含む)行為だと言えるから。
※※実際、実際各国でも尊厳死は当然とされたうえで、それと本質的な違いはないからとしてより積極的な行為の是認が主張され、実現されてきた。(日本はかろうじてそうして滑っていく手前のところでとどまっている。)
■日本国内では、尊厳死の是非など「命のあり方」の議論は、十分になされているか。
◇「(少なくとも)四〇年ほど議論はある。ただ(いわゆる)終末期医療に途方もない金がかかる(から早く死させるのも仕方ない)といった誤解はむしろ大きくなっている(と感じる)。」
■3番目の質問と関連しますが、今回のアメリカ人女性の行為は、日本国内での議論の呼び水になると思うか。
◇「まともな議論につながることを望んでいる。でないと、自分で決めたから当然だとか可哀そうだから(とか↑や負担が大きいから)仕方がないといった単純な話で終わらせられてしまう。」
◇「(難しいテーマだと一過性の話題で終わる可能性は高い。ただ)こんなことが繰り返される中で、普通に考えれば当たり前でないことが当たり前にされてくことが心配だ。」
字数ですが、各質問50文字ずつを目安に頂ければ幸いです。
字数を制限する趣旨ではないのですが、コメントをどれだけ盛り込むのかがこれから決まっていくので…
頂いたコメントを組み合わせたり、抜粋したりしたりして使わせて頂くことになるかと思います。[…]
コメントに至るまでの記事では
・オレゴン州の法律の確認
・ブリタニーさんの行為の確認(尊厳死や安楽死ではなく、自殺ではないか)
・日本尊厳死協会の見解と、法案の進展具合
などについて、触れております。
◇↑について。
※(「自己決定」にもとづく、「普通の意味」での)安楽死もさらに尊厳死も(幇助された)自殺だと言えます。(それに対して下記のPASは最後の一服他を「自分で」というのが違いです〜がどう考えても本質的な違いはない。)ので今回のことが、「尊厳死や安楽死ではなく、自殺」というのはあまり正確ではない(正確に対置されるものではてない)のですが、こういう話は短くするとさらにかえってわけわからなくなりますので…。
「本人は自殺ではないと言っていたが、行われたのは(オレゴン州が認めている)医師によって幇助された自殺(PAS = Physicians Assisted Suicide)であり、自殺としか言いようがない」とは言えるだろうと。
※尊厳死協会は今回の事件(で主張されたこと)と自分たちの主張が異なることを言うでしょうし、実際言っています。(昔は違いましたが。)しかしその間は連続的であることは上記したとおり。
また尊厳死協会の理事長さんはこないだ「死の権利協会世界連合 シカゴ大会2014」というのに出てその理事になっておられます。そこでは「持論」を展開されたようですが、そこでは認知症の人たちが主な話題になったそうで(これが「終末期についての自己決定」という図式にあてはまりにくいのは容易にわかります)、この組織は全体により積極的な主張を展開している団体でもあるようです。
cf.
◇安楽死・尊厳死:2014→
http://www.arsvi.com/d/et-2014.htm
※以下はメールには記さなかった部分。
その協会の副理事長の文章にはいささか驚かされる。(いつも…。しかしそれにも(私は)慣れてしまったのかもしれないのだが。それにしても。)
引用あるいは紹介予定。
※その方もたしか書かれている「朝日新聞デジタルアピタル」は、それにしても、いくらかより多様で、そして(書き手の署名のある文章はその書き手に責があるといえばそれまでかもしれないが〜そうも思わないが)もうすこし事実・論理に即することを考えるべきではないか。br>
■記事全文
「米の尊厳死 日本へ波紋は」,中日新聞』2014年11月7日朝刊
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20141107160301674
「慎重論根強い中 法案提出の動きも…
画像:医師から処方された薬を服用し、自ら死を選んだブリタニー・メイナードさん。家族提供=AP
米国の女性(29)が「尊厳死」を予告して自ら死を選んだ行為が、論議を呼んでいる。女性が住んでいたオレゴン州では尊厳死が法的に認められ、米国内では患者の意思を尊重する声がある一方、反対する意見も出ている。日本でも、議員連盟が法案提出を目指す動きがあるが、影響はあるのか?。(白名正和)
□合法の州に転居
亡くなったブリタニー・メイナードさんは、結婚直後の1月に脳腫瘍と診断され、4月に余命半年と宣告された。住んでいたカリフォルニア州から、「Death with Dignity Act」(尊厳死法)があるオレゴン州に転居した。1997年、米国内で初めて尊厳死を認めた法律で、「active euthanasia」(積極的安楽死)も認めており、メイナードさんは1日、医師から処方された薬を服用して命を絶った。
米国内ではワシントン州やモンタナ州などでも同様の措置が認められている。国内で「痛みや苦しみのない形での死」を容認する声がある一方、「自殺を助長する」という反対意見も少なくない。
日本ではまったく許されていない。日本で医師が患者を死なせる目的で薬の処方や投与をしたら、殺人か自殺ほう助の罪に問われる恐れが強い。
終末期医療における患者の意思尊重法案:日本でも、法制定を求める動きはあるが、日本尊厳死協会職員の高井正文さんは「今回の米国のケースは、私たちが使う『尊厳死』とは意味合いが異なる」と指摘する。「病気で苦しむ前に死ぬと決めて実行したメイナードさんの行為は、尊厳死よりも安楽死や自殺の方が近いだろう」という解釈だ。
□薬投与は対象外
協会は尊厳死を「不治かつ末期の病態になったとき、自分の意思で延命措置を中止し、人間としての尊厳を保ちながら迎える死」と定義する。延命措置を断った結果の自然死のイメージで、積極的な薬の投与などは認めない。
日本学術会議が2008年にまとめた終末期医療のあり方に関する報告書では、尊厳死を「過剰な医療を避け、尊厳を持って自然な死を迎えさせることを出発点として論じられている概念」と定義。一方で、薬物などを投与して患者の生きる期間を短くする狭義の安楽死は「医療行為の範疇(はんちゅう)を逸脱する」として議論の対象から外した。
日本尊厳死協会などが要望し、超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」が2012年に法案をまとめている。「終末期医療における患者の意思尊重法案」だ。
だが、12年は衆院選、13年は参院選があり、法案は国会に提出できなかった。議連は今年2月に総会を開き、あらためて提出を目指したが、今年も見送られている。国会議員や国民の間に根強い慎重論があるためだ。
画像:超党派の国会議員が集まり開催された尊厳死法制化を考える議員連盟総会=2月20日、東京・永田町で
現在は来年1月の通常国会への提出を目指している。協会などで法案の趣旨について周知していくというが、高井さんは「メイナードさんの行為が尊厳死とみなされるようになると、根本的な部分で誤解されてしまう」と戸惑いを話す。
一方、立命館大の立岩真也教授(社会学)は「毎日、人が思うことは揺れる。死にたくないと言えばその間は生きられても、死にたいと言えばすぐに実現してしまう」と尊厳死法の制定には否定的だ。
「医師による処置の差し控えや停止は、米国の積極的に死に至る行為とは『違う』という主張はあるが、本質的な違いはない。こんなことが繰り返される中、普通に考えれば当たり前でないことが、当たり前にされていくことが心配だ」と指摘した。
安楽死と司法判断 助かる見込みがなく、苦痛の強い患者などを人為的に死へ導くこと。1991年に神奈川県の東海大病院で主治医が末期がん患者に塩化カリウムなどを注射、患者が死亡した事件で、横浜地裁判決(95年、確定)は、医師による「安楽死」が認められる要件として(1)患者に耐え難い肉体的苦痛がある(2)死期が迫っている(3)苦痛緩和の方法を尽くし、ほかに手段がない(4)生命短縮を承諾する本人の意思表示がある?を示した。しかし、98年に医師が患者の気管内チューブを抜き、筋弛緩(しかん)剤を投与して死なせた川崎協同病院事件など要件を満たさないケースが相次いでいる。両事件で、医師はいずれも殺人罪に問われ有罪が確定した。
尊厳死が認められている州:米オレゴン州の尊厳死法 2人の医師が余命半年未満と診断した18歳以上の末期患者の要請に基づき、医師が致死量を超える薬剤を処方、患者が自分で服用することを認める内容。住民投票での可決を受け1997年から実施された。これまでに実施した人の9割以上が白人で高学歴の傾向があり、6割以上ががん患者だった。2013年に薬を服用し亡くなった人の平均年齢は71歳。」(全文)
UP:20141105 REV: 20141118, 1130
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安楽死・尊厳死:2014
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安楽死・尊厳死:アメリカ合衆国
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立岩 真也
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