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安楽死尊厳死に対して来た人たちと

立岩 真也 2014/10/30
「骨格提言」の完全実現を求める10.30大フォーラム 於:日比谷野外音楽堂


 日本の障害者運動がこれまで言ってきたこと(を紹介する時間などはありませんでしたが)簡単に述べた上で、それは筋が通っていること(の所以も話しませんでしたが)を言う、等しました。

 再録→2015/06/10 「尊厳死法制化について」,『賃金と社会保障』1635:49-51
 だいぶ経ったのでHPに掲載することにしました。(2020.2.8)

 「こんにちは。京都の大学に勤めています立岩と申します。
 私はいちおう学者というか研究者で、研究者というのは、皆さんがアバンギャルド・前衛だとすれば、後衛について、落ち葉拾いするのがその役割だと思っていまして、それが忙しくて長いことこういうところには出てこれなかったかったんですが、たまたま明日仙台で精神科の医療者たちを相手に講演というかアジというか、することになっていまして〔日本病院・地域精神医学会総会記念講演〕、途中東京に寄ってということで、今日ここにおります。
 皆さんご存知かもしれませんけれども、10月6日ですか「私は死にます」ってネットに公開しちゃって、死ぬことになっているアメリカの女性がいるっていう一件で、テレビでけっこう話題になっていまして、私もこの10日くらいの間に読売テレビと関西テレビとフジテレビと取材受けてしゃべってきたんですけれども。なんて言ったらいいですかね、でも言っちゃたからには死ぬんでしょうね〔11月1日△051 逝去〕。悲しいことだと思いますけど。彼女は自分で自殺したくないと。自殺ではない安楽死をしたいんだと言っているんですが、まあ自殺です。自殺の中に安楽死だとか医師幇助自殺といったものがあります。彼女はその医師幇助の方を望んで、それを人に知らしめたいと言うんですけれども、そしてそれには背後でそういう死に方を推奨し広めようとしている団体があったりするんですが、彼女自信が安楽死が何で、なにより、それがどういうことを人や社会にもたらすかということが分かっている感じはまったくないわけです。
 そしてそれを伝えるメディア、この間テレビの人とかと話してきたんですけれども、何も知らないんだなというのが実感です。テレビの時間の枠なら仕方がないとも思いますが、話したこともいろいろはしょられてしまいます。ですから、我々が、皆さんが伝えていくべきことはとっても多いと思います。
 今、推進する側が言っていることに関しては、全て完璧に反論できる、論破できます。我々が、皆さんが言ってきたことはちゃんと筋が通っている。つまり、今日生きたい、明日生きたい。今日、金があれば生きられる人が、死ななきゃいけないことになるし、現にそうなっちゃてしまっているわけです。死ねるようにする前に生きられるようにしろと。その一点だけにおいてもこの法案というものは阻止されるべきである。それでなんか文句あるのか、そういうことです。それを我々は皆さんは言ってきたわけです。
 その点に関して言うと、欧米の障害者団体は今、いわゆる積極的安楽死ですね、医者に薬を盛られたり、医者から薬を渡されて自分で飲んだり、どこに違いがあるのかと私は思いますけれども、それを阻止するために必死になっています。他方、日本の障害者運動は1962年、しののめ会、これは青い芝の一つの前身になったところですけれども、そこが今から52年前に、『しののめ』って雑誌で安楽死を特集にしてるんです。障害者のメディアがこれを特集するって多分世界で初めてなんです。そしてそのあとのこの約50年間、なんだかんだいって日本の障害者運動は、いわゆる安楽死ではなくその手前の尊厳死の水準で、なんとか70年代末の第1期、そして2004年前後の第2期、それから2010年を越えて今第3期の法制化を巡る動きになっているわけですけれども、その間、法制化を阻止してきました。これは日本が、介護保障の獲得とともに、世界に誇っていい運動があっての、その成果だと思います。
 だって、つけなかったら死ぬのに呼吸器をつけないのと、呼吸器を止めるのと、薬を盛られるのと、自分で盛るのと、どこに本質的な違いがあるっていうんですか? だけれども、今、ヨーロッパ・北米っていうのは、この最初のいくつかを認めてしまったために、その次のより積極的なやり方も認めてあたりまえでしょっていうふうに、メディアも世論もなりつつある。そういった状況のもとで、障害者の運動も苦労している。日本はなんだかんだいって、その手前のところで止めてこれたわけです。このことの意義は大変大きい、世界的にも非常に大きい△050 と思います。
 そして今日本尊厳死協会も実はがたがたです。法律化を止められたくないからと思った部分もあるだけれども、例えば、ご存知の方はご存知でしょうけれども、あの団体はむかし「安楽死協会」って言っていたんだけれども、「安楽死」って言葉が聞こえが悪いってことで「尊厳死協会」になって、それで「尊厳死」もいけないということで、「リビング・ウイル・トラスト・ジャパン」ってなるんだそうで〔結局改称はされなかった〕。自分たちから「尊厳死って言っていない」って言う幹部もいる。「尊厳死協会」が「尊厳死」を言っていないってどういうことなんだ、という話なんですけれども。そうやって自分でもなんだかわからないまま、法律化は変えるわけにいかないと、けっこう焦ったりしているわけです。今そういう情勢です。
 理屈はがたがたです。理事長の言っていることと副理事長の言っていることが違いますし、会報に書いてあることと講演で言っていることと違いますし、むちゃくちゃですよ。だからそれを攻めるのは簡単です。だけどそれだけ終わらない。無理が通るのがこの社会です。いわゆる言論人が語ればどうかなるというものではない。そういった中で、繰り返しになりますけれども、この問題に関して、日本の運動は、世界に先駆けてというか、一番根っこのところからやってこれた。それを継承し、さらに考えるべきを考え、考えて言うだけじゃなくて、行動していく。それが求められています。この会場におられる皆さんはそれを担う人たちだと思います。微力ながら私も言えることは言い続けます。よろしくお願いいたします。△049」

◆cf.対・安楽死・尊厳死
 →1962.6 『しののめ』47 特集:安楽死をめぐって〜

◆立岩 真也 2014/12/10 「安楽死・日本・障害者の運動(予告)――「身体の現代」計画補足・13」
 [English]https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi.en/posts/1500472513573729
 [Korean]https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi.ko/posts/674499219334578

◆立岩 真也 2014/12/16 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/544876709216919553
 「立岩真也?@ShinyaTateiwa 日本語版しかないのでフェイスブック用原稿には記しませんでしたが「対・安楽死・尊厳死」読んどいてください→http://www.arsvi.com/d/et-m.htm  婦人公論』1963-2 座談会:奇形児は殺されるべきか・石川達三・戸川エマ・小林提樹・水上勉・仁木悦子 …」



ビラ[pdf]

https://www.facebook.com/syougaisyashiminnetwork/posts/604954102963827
 「尊厳死のトークにはなんと立岩真也が登場。日本の障害者運動が50年近くも、安楽死どころか尊厳死さえ阻止してきた成果を強調し、「議論は簡単なんです。金が無い、障害がある、って事で死を選ぶのが現実に起きている。それに対して、ふざけるな! 生きさせろ!って事なんです」と彼らしい(?)論理。」

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=581920591936443&set=pcb.581920638603105&type=1&theater

UP:20141201 REV:20150128, 20200204
安楽死・尊厳死:2014  ◇安楽死・尊厳死:アメリカ合衆国  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇病者障害者運動史研究  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築 
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