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精神医療現代史へ・追記4――連載・101

立岩 真也 2013/07/01 『現代思想』2014-6
『現代思想』連載(2005〜)


 ※以下の本になりました。
◆立岩 真也 2015/11/13 『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』,青土社,433p. ISBN-10: 4791768884 ISBN-13: 978-4791768882 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

十全会闘争

◆立岩 真也 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

『造反有理――精神医療現代史へ』表紙    『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙

◆立岩 真也 2014/08/01 「精神医療現代史へ・追記5――連載 102」『現代思想』41-(2014-8):-
◆立岩 真也 2014/06/01 「精神医療現代史へ・追記3――連載 100」『現代思想』41-(2014-6):-
◆立岩 真也 2014/05/01 「精神医療現代史へ・追記2――連載 99」『現代思想』42-8(2014-5):8-21

 本誌五月号の特集が「精神医療のリアル――DSM−5時代の精神の<病>」だった。そして昨年十一月に拙著『造反有理――精神医療現代史へ』(立岩[2013]、以下【】内はその本の頁)を出してもらってつい最近増刷になり、誤表記をなおすことができた――HPのほうには正誤表を掲載していたのてはあるが。またこのかん起こったとしては臺(台・うてな)弘【91】がこの四月に亡くなった。そうして新たに加わることをたんに書いていっても様々にすることはあるのだが、きりがないし、そもそも素養がない。ただ、長く「医療」と「福祉」の間の陣地取りあるいはときに押し付け合い、そうした中でおおいに言われそしてたいしたことがなされてこれていなかった「地域移行」について、もうすこし見ておきたいと思うことがあった。そしてそれは本来書こうとしていた「生の現代のために」(三月号・四月号)にも関係はある。そこで許されるだろうと昨年十二月号、本年の五月号・六月号と「精神」のことについて続けている。体裁というものが成立していない。そのうち整理する。
 大きくは、精神病院、その入院者数がこの国で他に類をみないほど増えてきたこと、減らした方がよいということになってからも、たいして変わってないことが言われる。どうしてかという素朴な疑問がある。またさきの拙著について、要するにどうするべきかわからないといった反応がある。まるで書いてなくはないので、読みとばされているということなのだが、それでも病院や脱病院のことについて具体的なことを言えているわけではないのはたしかだ。
 すでに言われているもっもとなことはいくつもあり、それを反復する以外に簡単に何か言えることがあるのであれば言っている。ただその私は、さらに言うべきこと確認するべきことがあるとも思っている。それを言おうと思って書いている。京都十全会という典型的ではあるが極端な、また極端だが絵に描いたような病院・組織についての起こってきたことをどう見るか、いったんの記述を終えてから考えられることを記すことにする。

京都十全会
 京都十全会にあった/あることは、あまりに露骨であるために、そのことを記すのはかえって不適切であるかもしれない。直接的な暴力の行使においては他に比べてまだ記憶されているだろう宇都宮病院(事件、発覚したのは一九八四年)があって、比べればということはあるにせよ――しかし、比べてなんになろうが――そこでなされたことはあらゆることだった★01。
 […]

告発の開始

行政は動かなかったこと・司法は時間がかかったこと

精神衛生学会・京大評議会

■その後

■文献(→文献表・総合



江端一起 1996? 「友の会の歩み、そして今」,『キケンな〈なかま〉たち――地を這う20年を振り返って 前進友の会』 http://yuinoumi.web.fc2.com/zenshin-zenshin.html
―――― 2013 『キーサン革命宣言――精神病者のセーカツとカクメイ』、アットワークス
榎本貴志雄 1975 「十全会糾弾闘争の経過」、『精神医療』2-4-2(16):32-39 ※全文HPに収録
下司孝之 2013 『戦後後医学生運動史・年表』http://wwwd.pikara.ne.jp/rosenote/index.html cf. http://atdiary.jp/igakuseishi44
川合仁 2003 「精神科評議会運動の理念と展開」、京都大学精神医学教室編[2003:74-76]
京都大学精神医学教室 編 2003 『精神医学京都学派の100年』、ナカニシヤ出版
小山通子 1996? 「あのころの日の岡荘」、『キケンな〈なかま〉たち――地を這う20年を振り返って 前進友の会』 http://yuinoumi.web.fc2.com/zenshin-zenshin.html
増子忠道 1985 『地域医療の現場から――寝たきり老人・医療思想・医療費』、勁草書房
桐原尚之・長谷川唯 2013 「全国「精神病」者集団の結成前後――大阪・名古屋・京都・東京の患者会の歴史」、『立命館人間科学研究』28:27-40
中山宏太郎・小沢勲 1979 「京都レポート」、『精神医療』3-8-1(30):18-19(特集:シンポジウム 日本の精神病院をめぐる各地の状況、II 各地の医療状況)
日本精神神経学会理事会 1969 「精神病院に多発する不祥事件に関連し全会員に訴える」
大熊一夫 1988 『ルポ 老人病棟』、朝日新聞社→1992 朝日文庫
―――― 2014 「いまだ収容ビジネスの呪縛から逃げられぬ日本 司法精神病院の廃絶に取り組み始めたイタリア」、『現代思想』42-8(2014-5):50-55
大野萌子 2014 「私の筋が通らない、それはやらないと。――精神障害者運動の黎明を生きて」(インタビュー、聞き手:立岩真也・桐原尚之・安原荘一)、『現代思想』42-8(2014-5):192-206
小澤 勲 1972 「生活療法を越えるもの」、第69回日本精神神経学会・シンポジウム「生活療法とは何か」→1973 『精神神経学雑誌』75-12:1013-1018→1974 「生活療法を越えるもの(一)」、小澤[1974:93-119]
―――― 1974 『反精神医学への道標』、めるくまーる社
―――― 1980 「基調報告に対して」、『精神医療』3-9-4(37):80-83
小澤勲 編 1975 『呪縛と陥穽――精神科医の現認報告』、田畑書店
T 1983 「最高裁、十全会側の上告を棄却」(一頁時評)、『精神医療』3-12-4(49):70
高木隆郎編 2009 『自閉症――幼児期精神病から発達障害へ』、星和書店
高杉廸忠 1982 『福祉優先社会の構想』、学陽書房
高杉晋吾 1971 「七〇年代医療」の恐怖図」→1972 『朝日ジャーナル』1971-4-2→高杉[1972:128-140](題は高杉[1972]収録時のもの)
―――― 1972 『差別構造の解体へ――保安処分とファシズム「医」思想』、三一書房
山下剛利・松本雅彦・藤沢敏雄・島成郎・松沢富男・井本浩之・大越功・桑原治雄・中山宏太郎 「討論」、『精神医療』3-8-1(30):3-11(特集:シンポジウム 日本の精神病院をめぐる各地の状況、I 今、何を問うべきか)
安井健彦 1986 『悪魔の精神病棟――報徳会宇都宮病院』、三一書房


UP:20140511 
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇全文掲載
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