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申し立て書・案

立岩 真也 2013/02/10



*生存学創成拠点の評価に対する申立書。原案に、立岩がいくらかを足したり変えたりした案

(1)
 「生存学」という名の新しいディシプリンを建てることは当初より目指していない。ジェンダー・スタディーズ、ディスアビリィ・スタディーズ(障害学)等と同様、「障老病異」についての、そのことに関わる人たちのための、その人たちとともに研究する場、成果を生産し発信する装置を作ることが最初からの目的であり、本拠点はそのような拠点としてCOEに認定された。「既存の様々なディシプリンでの活動と問題提起を重視」しつつ、「生の現場と連動する研究のダイナミズムを尊重」し、「開放的な研究システム」を敢えて志向した。このことは採択に際して提出した書類の「目的」において「人文社会科学系の研究機関において不十分だった組織的な教育・研究の体制を確立し、研究成果を量産」すると記した通りである。その体制は作られ、そこからCOEにおいて目指された新しい研究者が育ち、多くの成果が産み出された。この学の創成をめぐる戦略的な選択に対する理解、その選択に伴う実績に対する評価が得られていないと考える。事後評価現地調査における質問事項1及び2への「回答」を参照されたい。
 さらに、書籍、雑誌『生存学』5(市販)、「センター報告」(期間中に18)、ウェブサイト等の媒体による対外的発信には、一貫して、他の拠点に比しても、自覚的・積極的であってきた。結果、研究者だけでなく広く認知され、採択書類の「概要」に記した「このままの世界では生き難い人たちがどうやって生きていくかを考え、示す」使命も果たしてきた。「対外的な理解」は十分に得られたものと考える。

 ※「ついての」「のための」「とともに」「敢えて志向した」「組織的な教育・研究の体制を確立」「研究成果を量産」に傍点

(2)
 3か国語のメールマガジンの配信、4か国語のホームページの作成・増補を継続してきた。それは拠点の案内、催しの告知程度にとどまるものでなく、例えば拠点関係者全員とその研究内容・成果についての英語ページの作成・更新、関連事項に関する国外向け情報発信を行ってきた。その量・質は、他のCOEと比べても、抜きんじている。これらと毎年の研究交流を組み合わせ海外の研究機関との恒常的な連携も形成・発展させてきた。さらに、英語電子ジャーナル『Ars Vivendi Journal』を発刊(2013年度までに4号)、本拠点から育った研究者たちが本格的に海外に向けて発信する体制を整えてきた。「事業結果報告書」のp. 6およびp. 7を参照されたい。

 ※「内容・成果」「恒常的な」「発信する体制」に傍点


UP:20130320 REV:
立岩 真也
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