HOME > Tateiwa >

第3版刊行にあたって



■安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 19950515 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』,生活書院・文庫版,666p. ISBN-10: 486500002X ISBN-13: 978-4865000023 [amazon][kinokuniya] ※

 *以下は立岩による草稿案です。岡原・尾中によって加筆がなされ、実際に刊行される文章は別のものになっています。

 第2版(増補改訂版)が出てからでも十七年もたつ一七年もたつ――二〇一〇年に鄭[12]の著者じょん・ひぎょん(鄭喜慶)の訳でコリア語版が出版されたおりにも、一五年の空白をおわびしたのだった。だがことのよしあし――こんな本を読まなくてすむ世の方がよい世なのだろう――は別に、本書の意義は失われていないと思う。それで幸福な人生が送れたかはともかく、この本を読んで「家出」したという人に幾人も会いもした。そして本書は、そこに出てくるような組織を使っている人たちやそこで働いている人たちや、高い本を買えない(買わない)学生の人たちにも読んでもらいたい。そこで、文庫版を出したことのない生活書院に無理をお願いし、文庫版として出してもらうことになった。そして第10章・第11章を新たに加え、第3版とした。
 つまり、本書には三つの時期に書かれた章がある。各章冒頭にその章が書かれた(正確には刊行された)時期を記した。変わらないこともあるが、変わったこともある。読者は各々が書かれた時期に注意していただきたい。第3版で補足した部分は「追記」等と記しそれとわかるように示した。また【】で括った部分も第3版での加筆部分である。(文献表示について。本書はありがたいことに多くの文献で引用・言及されたが、発行時期の表記は様々のようだ。『生の技法』(一九九〇年、第2版一九九五年、第3版二〇一二年などと記し、文献表では基本的に各々別の文献として表記していただければと思う。また各章については、一九九〇年、一九九五年、二〇一二年と、各々が書かれた時期を記し、頁を記す必要がある場合には尾中[1990→2012:121]などとしていただきたい。
 この本ができた経緯は(初版の)「はじめに」に記した。一部繰り返しつつ加える。この本の出版は誰も知らない大学院生たちのまったくの「もちこみ企画」で、この本を出してくれると言ってくれたのは三社目、藤原書店(当時は新評論)の藤原良雄さんだった。そして、後に独立し書肆心水を立ち上げた清藤洋さんにはたいへんお世話になった。カバー(今度の版でも使っている)をプロの人に描いてもらう費用が惜しくて、立岩が作ってみたものをきれいに整えてくださったのも清藤さんだ。その後は刈屋琢さんが引き継いでくださった。再出発する本書が読者に受け入れられ、初版・第2版を出してくださった方々の理解と協力に応えられればと願っている。
 なお、本書は、電子書籍でも刊行される。音でも聞ける。本書に出てくる、一般には有名人ではないのだろうが知られるべき(だった)人々、等々の情報が掲載されている(主に「生存学」の)ウェブサイト上の情報に飛んでいける。整理されているとは限らないが、本書の情報量の何十倍の情報を得ることができる。願わくば、両方持っていただき使い分けていただいたら、などと、むしのよいことを著者たちは考えている。なお分量の関係もあり、第2版にあった「自立生活センター」のリストは現在はHPで容易に入手できることもあり、略した。各章の扉に掲げた写真はこの長い時間の間に失われてしまった。また尾中の「補論 アジアの開発途上国における障害者運動と自立生活」は、その現在を記そうと書き加えていくと新たな本を用意せねばならない★01。そして紙数は既にかくも膨らんでいる。そこで、第2版で差し替えられた初版の第8章とともに、電子書籍版のみでの提供とさせていただくことにした。
 最後に、みんなで四苦八苦したタイトルについて。「生の技法」にはひとりひとりが自分の生をそれぞれに作るための道具というニュアンスがあり、ラテン語 ars vivendi には、活き活きした技法という意味もかけてある。

★01 尾中による:現在のところ未掲載


 *以下は立岩による草稿案です。岡原・尾中によって加筆がなされ、実際に刊行される文章は別のものになっています。

 第2版(増補改訂版)が出てからでも十七年もたつ一七年もたつ――二〇一〇年に鄭[12]の著者じょん・ひぎょん(鄭喜慶)の訳でコリア語版が出版されたおりにも、一五年の空白をおわびしたのだった。だがことのよしあし――こんな本を読まなくてすむ世の方がよい世なのだろう――は別に、本書の意義は失われていないと思う。それで幸福な人生が送れたかはともかく、この本を読んで「家出」したという人に幾人も会いもした。そして本書は、そこに出てくるような組織を使っている人たちやそこで働いている人たちや、高い本を買えない(買わない)学生の人たちにも読んでもらいたい。そこで、文庫版を出したことのない生活書院に無理をお願いし、文庫版として出してもらうことになった。そして第10章・第11章を新たに加え、第3版とした。
 つまり、本書には三つの時期に書かれた章がある。各章冒頭にその章が書かれた(正確には刊行された)時期を記した。変わらないこともあるが、変わったこともある。読者は各々が書かれた時期に注意していただきたい。第3版で補足した部分は「追記」等と記しそれとわかるように示した。また【】で括った部分も第3版での加筆部分である。(文献表示について。本書はありがたいことに多くの文献で引用・言及されたが、発行時期の表記は様々のようだ。『生の技法』(一九九〇年、第2版一九九五年、第3版二〇一二年などと記し、文献表では基本的に各々別の文献として表記していただければと思う。また各章については、一九九〇年、一九九五年、二〇一二年と、各々が書かれた時期を記し、頁を記す必要がある場合には尾中[1990→2012:121]などとしていただきたい。
 この本ができた経緯は(初版の)「はじめに」に記した。一部繰り返しつつ加える。この本の出版は誰も知らない大学院生たちのまったくの「もちこみ企画」で、この本を出してくれると言ってくれたのは三社目、藤原書店(当時は新評論)の藤原良雄さんだった。そして、後に独立し書肆心水を立ち上げた清藤洋さんにはたいへんお世話になった。カバー(今度の版でも使っている)をプロの人に描いてもらう費用が惜しくて、立岩が作ってみたものをきれいに整えてくださったのも清藤さんだ。その後は刈屋琢さんが引き継いでくださった。再出発する本書が読者に受け入れられ、初版・第2版を出してくださった方々の理解と協力に応えられればと願っている。
 なお、本書は、電子書籍でも刊行される。音でも聞ける。本書に出てくる、一般には有名人ではないのだろうが知られるべき(だった)人々、等々の情報が掲載されている(主に「生存学」の)ウェブサイト上の情報に飛んでいける。整理されているとは限らないが、本書の情報量の何十倍の情報を得ることができる。願わくば、両方持っていただき使い分けていただいたら、などと、むしのよいことを著者たちは考えている。なお分量の関係もあり、第2版にあった「自立生活センター」のリストは現在はHPで容易に入手できることもあり、略した。各章の扉に掲げた写真はこの長い時間の間に失われてしまった。また尾中の「補論 アジアの開発途上国における障害者運動と自立生活」は、その現在を記そうと書き加えていくと新たな本を用意せねばならない。そして紙数は既にかくも膨らんでいる。そこで、第2版で差し替えられた初版の第8章とともに、電子書籍版のみでの提供とさせていただくことにした。
『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版表紙』


UP:20121016 REV:20121023, 1104, 1211
『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa
TOP HOME (http://www.arsvi.com)