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対論のために
立岩 真也
2012/08/20送付
2012/10/27 生命倫理学会第24回年次大会 大会企画シンポジウムU・発表要旨
『日本生命倫理学会第24回年次大会予稿集』 p.32
於:立命館大学衣笠キャンパス以学館 13:40〜15:10
https://sites.google.com/site/seimeirinri24/
演題 対論のために
氏名(所属) 立岩真也(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
専門分野 社会学
キーワード (5つまで) 死の決定・安楽死・尊厳死
発表方法(PCおよびプロジェクターの使用/非使用)→使用
発表要旨(1000〜1200字)
今回の主題についての拙著に
『良い死』
・
『唯の生』
(2008、2009、筑摩書房)があり、今年また法律制定の動きもあるので、もう一冊、薄くて安いものを用意しようとしている。それらには私の考えと、そしてとりわけこの国で何が論じられ、なされてきたのか書いてある。
そして『唯の生』の第6章は、
『現代思想』二〇〇四年十一月号(特集「生存の争い」)
に掲載された「より苦痛な生/苦痛な生/安楽な死」で、それは、
清水哲郎
の
『医療現場に臨む哲学U――ことばに与る私たち』
(2000、勁草書房)でなされている論を検討し、批判したものである。構成は以下。1「積極的行為/消極的行為の区別は怪しい→賛成」、2「緩和のために死が早くなることは認める→賛成」、3「緩和のための死/死のための死の区別が有効である→反対」、4「生と生の間の選択と生と死の間の選択は違う」、5「まとめ」。
一つの論点は、その文章で論じたことだ。ただそれについては清水自身の論自体に変化があるのかもしれない。その辺りも確かめながら議論できればと思う。
関連して、清水の論では、「ぎりぎり」のところでは、積極的安楽死と呼ばれるものも認めてよいことがあるということになる。(そして停止や不開始についてはさらに許容の範囲は広くなる。)私も自殺全般を拒絶する立場には立たない。(自殺と自殺幇助とは異なるが、前者を認める場合があることを認めて後者のすべてを否定するのは難しいだろう。)とすると、違いは絶対的な違いではないことになる。そういことになるのか。
やはり関連して、私は新しい法律は不要であると考えている。清水もその点では変わらないようだ。ただ清水は各種学会のガイドラインの作成には自ら関わりもし、その方向での規制をよしとする。もちろんその中身にもよるのだが、私は、基本現行法だけでよい、それでも例えばいくらか人生が短くなるとしても本人的にはよいという選択は許容されるはずだと――同時に、たいしてよいことがないとしても「たんに」長生きするのはよいことだと言い続けようと思いつつ――考えている。ここも詰めることができればと思う。
もう一つは、上記第6章ではその註1に記したことだが、「共同決定」について。清水は、それを、具体的には家族を交えた決定を、推奨する。それにはもっともな理由があるのではあるが、私は、いつもは支持できない、そのもっともな理由もあると述べた。
なお、このたびの「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」について――清水・立岩は「尊厳死法制化を考える議員連盟」の方々に法律化に賛成しない旨、国会議員会館で開催された催しで述べたのだが――、私は「私には「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」はわからない」という文章を書いている。
『Synodos Journal』
および「生存学」のサイトに掲載されているので、事前に読んでおいていただけるとありがたい。
※『Synodos Journal』に掲載された原稿は下記の本に収録された。
◆立岩 真也・有馬 斉 2012/10/31
『生死の語り行い・1――尊厳死法案・抵抗・生命倫理学』
,生活書院,2000+
■
◆立岩 真也 2012/10/20
「大会企画シンポジウムU・概要」
,『日本生命倫理学会第24回年次大会予稿集』 p.31
■当日販売予定の本
◆立岩 真也・有馬 斉 2012/10/31
『生死の語り行い・1――尊厳死法案・抵抗・生命倫理学』
,生活書院,2000+
◆立岩 真也 2009/03/10
『唯の生』
,筑摩書房,424p. ISBN-10: 4480867201 ISBN-13: 978-4480867209
[amazon]
/
[kinokuniya]
d01.et.,
◆立岩 真也 2008/09/05
『良い死』
,筑摩書房,374p. ISBN-10: 4480867198 ISBN-13: 978-4480867193
[amazon]
/
[kinokuniya]
※ d01.et.,
UP:20120820 REV:20121023
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安楽死・尊厳死 2012
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