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応募書類・2010

立岩 真也 提出:2010/06


社会技術開発センター(RISTEX)
http://www.ristex.jp/index.html
研究開発成果実装支援プログラム
http://www.ristex.jp/examin/implementation/index.html

■実装活動の名称:大学を核とした障害をもつ学生・研究者へのディジタル・データ提供システムの構築

実装責任者 氏名(フリガナ):
立岩真也(タテイワシンヤ) 生年月日(西暦):1960年8月16日
所属機関/組織名:立命館大学 実装活動の人数:18人
[…]

■実装活動の要旨

◆課題
 (1)課題の概略 これまでのグローバルCOE・科研費研究の実践・研究の成果を生かし、大学図書館等と連繋しつつ、視覚障害者・読字障害者等へのディジタル・データ提供のための実用的・効率的な仕組みを構築し、利用者にデータを提供し、その結果を仕組みの改善を図っていく。
 (2)キーワード(表3)
 背景 著作権法改正によって大学図書館等は利用者へのディジタル・データ提供を行うことになったが、その効率的運用の機構はまだ整備されておらず、諸機関の連繋は今後の課題である。また散在する既存のデータの集積、普及しつつある電子出版物の利用のあり方も検討課題である。

◆目標
 (1)実装活動の最終目標 学術書を収蔵する大学等の図書館、一般書のデータを多く集積している点字図書館の連繋を図る等、全国的なデータ収蔵・提供の体制を構築する。さらにこの活動と、広がりつつあるディジタル書籍出版、ディジタル・アーカイブの進展との連接のあり方を示す。
 (2)支援期間中の目標 大学図書館の担当部署、研究者、利用者が連繋しつつ、これまでの研究成果をいかし、既存のデータの収集・整理していくと同時に、利用者のリクエストに応え、出版社等へのデータ提供依頼、スキャン→データ化、そして貸出を行い、その仕組みを完成させる。

◆業務計画
 (1)支援期間中の計画 ◇大学図書館における提供体制の構築・改善。◇データ化に関わる技術の伝達、人材の育成。◇出版社等のデータ提供の安定的な仕組の構築。◇京都の大学図書館等で連繋体制を構築。◇点字図書館等と連繋、データの効率的・効果的な相互使用を可能にする。
 (2)支援期間終了後の計画 ◇我々の仕組を完成させ、全国的に使えるものとする。◇全国的なデータ収蔵・提供のネットワークを構築し、迅速・効率的な提供を可能にする。◇今後急速に展開するだろう書籍等データ全般の収蔵の仕組との接合について検討し協業していく。

 資金計画 […]
 支援期間 36ヶ月

 (1)実装費の主な使途 データの請求・収集・整理・蓄積・提供の作業に資金の多くを使い、その実践的作業の全体から方法・仕組みを作り出す。データは全国の利用者に提供される。
 研究開発成果 (1)実装活動の基になる研究開発成果の概要 グローバルCOE「〈生存学〉創成拠点:障老病異と共に暮らす世界の創造」、科学研究費・新学術領域研究(研究課題提案型)「異なる身体のもとでの交信:本当の実用のための仕組と思想」(2008〜2010)の成果が基になる。

 (2)研究分野(表4)
725 社会基盤 バリアフリー
726 社会基盤 ユニバーサルデザイン化

実装活動の名称 大学を核とした障害をもつ学生・研究者へのディジタル・データ提供システムの構築

◆解決すべき課題

 著作権法改正によって大学図書館等は利用者へのディジタル・データ提供を行うことになった。視覚障害者、上肢等に不自由のある人、読字障害の人は、そのデータを音声や点字ディスプレイや拡大文字にしてはじめて情報を利用することができる。学習・研究にとって必須である。そして技術そのものは既に存在する。だがそれを用いて、実際にデータを作成・収蔵・流通させる機構、その効率的運用の仕組みはまだ整備されていない。それを早急に構築し、実際に提供する。
  従来もデータ化・データ提供はなされてきており、私たちも研究科・GCOEに所属する大学院生等を対象に作成・提供活動を、活動とともに研究を、行なってきた。利用者の多くは研究者でもあり、活動と一体となった研究がなされてきた。その成果を点検し、これまでの方法・機構を改善していく必要があり、大きな意義がある。また、既に存在するが各地に散在するデータを収集・整理する必要もある。そしてデータ収集・提供の効率化のためにも、諸機関の連繋は今後の課題である。

◆課題解決手段と活動内容

 ◇大学図書館における利用者によるリクエストから提供への一連の過程について、実際に試行が開始されている機構を運用しつつ、各場面での問題・課題を見出し、改善していく。どの程度の利用があり、それに対応するために、どんな人的体制をとった場合にどれだけの時間がかかるか、外部の人材をどう活用するか、データ校正等の方法をどのように習得してもらうか。これらの体制を整える。
 ◇スキャン→校正の場合、作業量を多く要する時には、1冊について、その作業量は1週間ほどになり、費用も10万円近くになる。個人・組織に散在しているディジタル・データの所在を確認し、その入手手続きを定め、データを収集し、整理し、利用に供する。
 ◇出版社等が有するデータ(版下データの変換は容易、スキャンしてデータ化するより本来ははるかに効率的)の提供を依頼し、入手し、提供する。その際の費用負担等について検討し、より提供・入手を容易にする。また各出版社の姿勢を調査しその結果を公開する。
 ◇もちろん、この仕組みは一つの大学・研究・教育機関に閉じられるべきものではない。まず京都市内、府内の大学図書館等で継続的に協議し、連繋してデータ提供にあたる体制を構築する。また点字図書館等とも連繋し、双方の有するデータの効率的・効果的な相互使用を可能にする。

◆期待される効果

 ◇視覚障害者、読字障害者、上肢等が不自由な障害にとり書籍・論文等のディジタル・データは学習・研究のために必須である。これら利用者に迅速に円滑にデータ提供を行えるようになる。
 ◇スキャン→データ化→校正を行う場合の作業を正確なものにし形式を統一することでデータの手信頼性が高められ、DAISY等のより優れた形式のデータ化の際にも利用できるものになる。
 ◇これまで主に個々の視覚障害者の利用のために作成されてきたデータの集積・形式等の整理によって、より効率的で時間を置かないデータの提供を行うことができるようになる。
 ◇出版社などと協議を進め、出版社・製版所などに存在するデータを確実に入手できるようになれば、提供はより円滑なものになる。また、障害者の利用に限らず、書籍のデータ化(単に画像として保存するのでなく、文字コードを保存・収蔵)は情報の保存・公開の方式として求められている。
 ◇そして各機関の連繋によっても効率化をはかることができる。一つには、教育・研究機関の連携を図ることによる効率化であり、一つには点字図書館など一般書を多く収蔵している機関と学術書・専門書を担当する教育・研究機関の連携である。これらによって、より多くのデータを集め、どこかに一冊のデータがあれば、誰でもすぐに使うことができるようになる。

キーワード 22医療・福祉/66コンテンツ・アーカイブ/224バリアフリー/225ユニバーサルデザイン/障害者の情報保障

■1.SWOT分析

◆内部環境 外部環境

◆プラス要因 強 み 機 会
 ・実際の利用者(視覚障害・身体不自由)が研究科内の院生・研究員だけで9人、その中にはこの領域を自らの研究の主題とする者が5人いて、既に研究成果を発表している。
・グローバルCOE(2007〜2011年度)、科研費研究(2008〜2010年度)の実績がある。
・大学図書館が2010年7月からデータ提供を開始している。これと、既にこの活動の実績のある研究科、GCOE、大学の障害学生支援室とが連繋して仕組みを作りつつある。 ・これまで、「書籍デジタルコンテンツ流通に関する研究会」を総務省、国立国会図書館、大学の研究者、関連NPOの代表とともに運営し情報交換などを行ってきた。またそのゲストとしてデータ化に関わる研究・実践を先導する方々をお呼びし、交流を行ってきた。こうした人的関係を本研究に生かすことができる。
・点字図書館等、関連団体から協働について打診を受けている。これらの組織との関係を構築・拡大していくことができる。

◆マイナス要因 弱 み 脅 威
 ・資金面の制約。グローバルCOE、科研費研究では、多様な研究テーマを実施しているため、この主題にかけられる資金は限られており、また前者は2011年度、後者は2010年度までで、次の実用化のための資金が継続されないなら、今までの成果が有効に活用されないことになる。
 ・他の研究組織・民間団体等による同様の研究・企画は本研究にとって脅威になることはない。むしろそれらが相互に情報を交換しあうこと、本研究がそれを媒介することは、データ化・データ提供をより迅速に効率的に行うことを促進することになる。

■2.他組織との協同と競合

 ◆既に協議を始めている点字図書館には多くのデータが集積されているがそのほとんどは一般書であり、他方、大学図書館等が収蔵する学術書についてデータ化されているものはわずかである。後者のデータ化を充実させ、同時に、点字図書館等との連繋を図っていくことによって、より効率的な提供システムを構築していくことができる。
 ◆他大学の図書館等との協同・連繋を図っていく。まず近くにあり、障害学生支援・データ提供の実績があり、既に情報交換を行っている同志社大学、京都精華大学との連繋から開始する。

■3.本プログラムの応募した理由

 ◆我々の研究科の院生・修了者だけをとってもディジタル・データの利用者が多く、まず、彼らへの提供が彼ら自身の勉学・研究のために必要・必須であり、その活動を行ってきたが、それをさらに発展させ普遍化することがなされるべきであり、また可能であると考えた
 ◆2007年度からのグローバルCOEの成果、また2008年度からの科研費研究(他に聴覚障害者、重度身体障害者の交信の仕組みについても研究)の成果がある。そこで得た資金をより有効に生かすためには、以上を受け継ぎより実用的なものとして発展させるプログラムが必要と考える。
 ◆これまでの研究もそもそも実用的な仕組みを構築するためのものだったが、2010年初めに著作権法が改正され、提供がより容易になり、公的機関には義務となった。これを受けて新たにより実用的な仕組みの構築が求められている。成果をより実用的なものとして全国で使えるものにし、社会に還元したい。

■1.最終目標

 ◆学術書を収蔵する教育機関の図書館、一般書のデータを多く集積している点字図書館の連繋を図る等、全国的なデータ収蔵・提供のネットワークを構築し、利用者に迅速かつ効率的に提供することを可能にする。そのために、我々の大学図書館において実際に使える仕組を実際に試行しつつ作り上げる。そして同時に、まずは京都市内の各大学図書館と、データの共有、流通など連繋をはかっていく。そしてその形態を修正・改善して、全国的に使えるものとし、全国の機関のネットワークの形成につなげる。同時に、点字図書館等各種関連団体と協議し、どのような分業・協業のあり方が最適であるのかを探り、その具体的な機構を構築する。
 ◆最近よく報じられるように、ディジタル書籍が実用的なものになりつつある。また国立国会図書館なども書籍の電子データでの保存の方向にある。これらはみな基本的に歓迎すべきものである。だが、現在カーカイブ化として想定されている画像データ化なら、すくなくとも全盲の人には役に立たない。またすくなくとも当面商業ベースに乗らないもの、過去の刊行物で新たにディジタル書籍等として公刊される見込みのないものがある。とすると、今後の全般的な流れの中に必要なものをどのように組み込んで行くのか、そこで残される部分をどう補うのか。関係機関等と協議し、最適な分業・協同の仕組みが形成されることに貢献し、甚大な労力を費やしなお不足し不便なこれまでの状況を解消することが最終的な目標である。

■2.支援期間中の目標

 ◆まず我々の大学における仕組みを確かなものとする。図書館でこの業務を統括する職員、図書館でデータ化・提供の実務を担当するスタッフ、さらに迅速に必要に対応しようとすれば私たちがこれまで方法を伝達し作業を依頼してきた人たちも含め外部の力も必要になる。また我々の大学では障害学生支援室がこの業務をこれまで一部担当してもきた。これらを調整し、随時点検し、フィードバックし、実際に効率的に使える仕組み、必要に迅速に応じられる仕組みを構築する。◆データ提供に関わる出版社の事情、利害をさらに具体的に把握し、より容易に提供がなされる仕組みを作る。◆京都市内、ついで京都府内の大学図書館、障害学生支援室の関係者と協議しつつ、データの相互利用など効率的な仕組みを作っていく。◆同じ課題を共有しつつ「得意分野」を異にする点字図書館、日本ライトハウスなど連繋し、分業してデータを蓄積・提供する仕組みを作る。

■3.実装支援プログラムの位置づけ

 ◆この研究・実践に対して大学は協力的である。ただその予算は、基本的には当然、学生に対する直接のサービス提供に関わる部分に支出される。そして我々はここに開発され実用化される機構、蓄積され整理され提供可能にされる情報そのものもまた、全国で、より普遍的に使用できるものにしたいと願っている。この企画がJSTのこのプログラムとしてなされることに十分な正当性があり、その予算を使うことによって、我々の期間中の目標そして最終目標が早く、確実に実現されることになる。
 ◆この活動は継続され恒常的なものにならねばならない。本来は国家予算から毎年支出され運営されるべき事業であり、我々もそれを目指して研究・実践活動を続けている。それが実現させるためには、十分に効率的・効果的に実施可能な仕組みが存在することを示し、提供・利用が何をもたらすかを実際に示す必要がある。そのためにも我々の企画に本プログラムによる支援が得られることの意義は大きい。
 ◆「狭義」の技術そのものの開発は我々のなしうるところではなく、既にある技術を、もちろんその改良を期待しつつ、使っていく。しかし本来、あるものが実際に使えるものとして利用されなくては意味がないし、その仕組みを作り実際に使うこともまた技術開発であるはずだ。我々が大切にするのはまさに「実装」の部分である。他の技術なら市場がこの部分を担当することもあるが、この領域は大きな利潤を生むものではない。そして同時に、専ら「純粋な研究」に資金を提供する大部分の助成金の利用は難しい。だがこのプログラムであれば、我々の企画を進めていくことができる。

 […]
■2.計画表の説明

◆学内での体制整備/出版社等への依頼・交渉/他大学との連繋関係の構築/点字図書館・日本ライトハウスなど他機関との連繋・分業、そしてそれらを進行させながら、それを報告し仕組み・方法を伝達する印刷物の作成・シンポジウムの開催等と大きく分けた。
いずれにもデータ化とデータの提供の効率性を上昇させ、迅速な対応を可能にする。それぞれの可能性を追求する。ただ、人的・資金的制約はある。その制約条件のもとで、全体としての実効性が最も高まるように調整しながら、活動を展開していく。
◆基本的にはこの期間中もその後も、その活動を持続・展開させていく中で、その結果を随時フィードバックさせ、改善につなげていく。その意味では、この支援機関の3年間の間、我々の作業に大きな区切り、段階的な変化といったものはない。その全体が量的にも質的にも漸次的に進化・発展を遂げていくという過程となる。
◆それがどれだけの成果を挙げているのかについては、2年目、3年目に刊行を予定する冊子――最終年度については最低限の人件費を確保するため、別予算での刊行とする――や期間中2度の開催を予定しているシンポジウム等の催しで、また論文・学会報告等で報告するとともに、その時々の進行をHP上ですべて公開し、評価を受けることを原則とする(既にその作業は開始している)。ただし書籍等のデータそのものは著作権法上の問題、倫理的問題があるので、適正に管理していく。
印刷物や催の記録についても、これまでもそうしてきたように、全てHP上で読めるようにする。言うまでもなく、印刷物を利用できない人たちのためにこの企画があるからでもある。
上記した我々の企画――成果が徐々に増えていき、その成果は多くの人々とりわけ顕在的・潜在的な利用者たちにとっての関心事であり、それらの人たちからの反応もまた我々の研究・事業の改善に採り入れられる――においては、この方法によって成果を公開し、直接の関係者だけでなくあらゆる人たちの評価の対象となり、評価を受けるというこの方式が最もふさわしいものと考える。

■3.支援期間終了後の計画

◆我々の大学図書館において試行しながら作り上げられた実際に使える仕組は、他でも使えるものとなる。終了後も改善されていく方法・仕組みを随時公開して利用に供する。
◆データの共有・流通に関する京都市内・府内の各大学図書館との連繋の実績をふまえ、その形態を修正・改善して、全国的に使えるものとし、全国の機関のネットワークの形成につなげる。
◆一般書のデータを多く集積している点字図書館、また日本ライトハウス等各種関連団体と引き続き協議し、学術書を収蔵する教育・研究機関の図書館等とどのような分業・協業のあり方が最適であるのか確定する。全国的なデータ収蔵・提供のネットワークの構築、その持続的・発展的な運用に寄与する。
◆ディジタル書籍が実用的なものになりつつある。また国立国会図書館なども書籍の電子データでの保存の方向にある。これらはみな基本的に歓迎すべきものである。だが、現在カーカイブ化として想定されている画像データ化なら、すくなくとも全盲の人には役に立たない。またすくなくとも当面商業ベースに乗らないもの、過去の刊行物で新たにディジタル書籍等として公刊される見込みのないものがある。とすると、今後の全般的な流れの中に必要なものをどのように組み込んで行くのか、そこで残される部分をどう補うのか。ディジタル書籍等に関する動向を把握し、知らせる活動を引き続き行う。
安定的で自動的な供給がなされるようになることがもちろん望ましい。出版状況の変化がそれにつながっていくのか、関心を払い続け、出版全般が望ましい方向に向かうよう、必要な場面においては提言する。関係機関等と協議し、最適な分業・協同の仕組みが形成されることに貢献し、これまでのような甚大な労力を使ってなお不便な状況を解消していく。

■1.資金計画[…]

3.特記事項
 ◇2年度〜最終年度に、我々の活動の報告とデータ化やその提供に関わる実践的な方法を示すマニュアルを合わせた冊子を作成、毎年増補・改訂し、関係者・関係機関に配布する。必要経費は、後述『視覚障害学生支援技法』(2009、増補改訂版2010)と同様の仕様・数とすれば約60万。
 ◇出版社等に存在するデータを収集するにあたっての連絡、入手、整理、ネット上の掲載(非公開)に相当の作業量を要する。私たちがここ数年来その方法を開発し伝え、習得してきた人たちに依頼する。

研究開発の課題名 1)「<生存学>創成拠点:障老病異と共に暮らす世界の創造」
2)「異なる身体のもとでの交信――本当の実用のための仕組と思想」
代表研究者 立岩真也 研究者番号 
所属
役職 立命館大学大学院先端総合学術研究科・教授 研究
分野 社会学・障害学
公的
資金名 1)文部科学省グローバCOEプログラム
2)科学究費補助金新学術領域研究(研究課題提案型)
報告書番号、URL等 1)「生存学」創成拠点ホームページ http://www.arsvi.com/
知的所有権 有無:無
番号: 使用
許諾権 
参考文献 本頁・次頁に掲載。とくに『視覚障害学生支援技法』。
増補改訂版の全文をhttp://www.arsvi.com/b2010/1003as.htmで読むことができる。
実装責任者との関係 1)の拠点リーダー、2)の代表研究者

■研究開発成果の概要

(T) ■COEの成果として、◆青木慎太朗編『視覚障害学生支援技法』(2009年2月,立命館大学生存学研究センター,生存学研究センター報告6)があり、1000冊がすぐになくなり、1000冊を増刷。それもなくなり、著作権法の改定等に対応した◆『視覚障害学生支援技法 増補改訂版』(2010年3月,生存学研究センター報告12)を刊行。この報告書については韓国語版も刊行。章立ては以下。
◆「大学における視覚障害者支援の概要」
◆「文字情報へのアクセスとその支援」
◆「視覚障害者への情報支援と著作権法上の課題」
◆「出版社の対応とその背景」
◆「スーダンと日本、障害当事者による支援の可能性」
◆「異なる身体のもとでの交信――COE&新学術領域研究で目指すもの」
◆「資料編 テキスト校正ガイドブック」
■2009年9月には障害学会大会(於:立命館大学)で◆シンポジウム「障害学生支援を語る」を企画・実施。
 *以上+以下についてHPで詳細情報・全文が得られるので書誌情報等略
■論文(2007〜)として
◆「大学における障害者支援の現状と課題――情報保障を手がかりとして」
◆「視覚障害学生支援と著作権――視覚障害学生への情報保障を手がかりとして」
◆「大学における障害学生支援の現在――障害学生支援研究と実践の整理・覚書」
◆「大学における障害者支援ウエブサイトの可能性について――障害学生への情報保障とメディア活用・総説」
◆「出版社から読者へ、書籍テキストデータの提供を困難にしている背景について」
◆「書籍のテキストデータ化にかかるコストについての実証的研究――視覚障害者の読書環境の改善に向けて
■学会報告(2007〜)として、
◆「視覚障害学生支援の技法・1――情報保障の方法と課題」

■研究開発成果の概要

(U)
◆「〃2――立命館大学における視覚障害のある大学院生への支援の一事例」
◆「〃3――情報保障のための活字読み上げ支援技術の現状と課題」
◆「視覚障害者における情報処理特性を考慮した支援技術開発」
◆「支援技術開発における、技術者コンフリクト現象の状況論的アプローチ――支援技術開発者とユーザーとの相互行為を中心に」
◆「視覚障害者のための支援技術――支援機器開発の現状と課題」
◆「情報支援技術開発における技術者の『障害受容』」
◆「障害を持つ技術者のサイエンスコミュニケーターとしての役割
◆「拡大読書器の在り方――マルチモーダルにおける情報処理過程を中心に」
◆「視覚障害者における情報処理特性を考慮した支援技術開発――能動的情報処理特性と受動的情報処理特性を中心に」
◆「スーダン視覚障害学生支援の現状と課題――立命館大学における支援の現状からスーダンでの支援を考える」
◆「スーダン視覚障害学生支援の現状と課題――立命館大学における支援の現状からスーダンでの支援を考える」
◆「支援技術開発における、技術者コンフリクト現象の状況論的アプローチ――支援技術開発者とユーザーとの相互行為を中心に」
◆「視覚障害者における活字読み上げ支援技術(AT)の現状と課題」
◆「視覚障害大学院生の研究支援における課題――立命館大学大学院における「視覚系パソコン講座」から見えてきたもの」
◆「書籍のテキストデータ化にかかるコストについて」
◆「学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題――日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察」
◆「情報コミュニケーションと障害の分類」
 *以上の論文・学会報告の多くについて、COEプログラム等に参与する6名の視覚障害・肢体不自由の大学院生が執筆・報告
■「書籍デジタルコンテンツ流通に関する研究会」を企画・運営し、『書籍デジタルコンテンツ流通に関する研究会報告書』(2009年7月、財団法人マルチメディア振興センター)を刊行。委員:石川准(静岡県立大学国際関係学部教授)/伊藤数子(NPO法人STAND副代表理事)/菊池尚人(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特別研究准教授)/立岩真也/(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)/松原洋子(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授・座長)/吉井勇(月刊ニューメディア編集長)
■COE生存学創成拠点・生存学研究センターのHP(http://www.arsvi.com、年間累計ヒット約900万)に成果のすべてを掲載。◆「異なる身体のもとでの交信――情報・コミュニケーションと障害者」(http://www.arsvi.com/d/c07.htm)からリンクされる頁として、
◆「テキストデータ入手可能な本」◆「異なる身体のもとでの交信・文献等」
◆「視覚障害1990〜1999」◆「視覚障害 2000〜2004」◆「視覚障害 2005」◆「視覚障害 2006」◆「視覚障害 2007」◆「視覚障害2008」◆「視覚障害 2009」◆「視覚障害 2010」◆「盲ろう(者)」◆「読字障害」◆「コミュニケーション」◆「著作権関連(〜1999年)」◆「著作権関連(2000〜2004年)」◆「著作権関連(2005年〜)」◆「著作権関連・2009」◆「著作権関連・2010」◆「電子書籍 2009」◆ 「電子書籍 2010」 ◆「字幕放送」等々



◆1.実装組織の組織図 […]

◆2.実装組織の位置づけ

 立命館大学の大学院先端総合学術研究科、文部科学省グローバルCOEプログラム<生存学>創成拠点――障老病異と共に暮らす世界の創造、生存学研究センター、大学図書館、障害学生支援室が協力し連携し、教員・研究員・COEのPD&RA・大学院生、大学図書館・障害学生支援室のスタッフが中心となって事業を進める。まず同志社大学、京都精華大学等、京都市内の大学図書館・障害学生支援室と連繋する。点字図書館、日本ライトハウスなど民間団体との連繋を進める。他に河村宏氏(DAYSYコンソーシアム)、石川准氏(静岡県立大学)、福島智氏(東京大学先端科学技術研究センター、日本盲ろう者協会)、伊藤数子氏(NPO法人STAND)、吉井勇(月刊ニューメディア)他の協力を得る。
◆3.実装責任者の略歴

1960年生。専攻:社会学。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。千葉大学、信州大学医療技術短期大学部を経て現在立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(共著、藤原書店、1990、増補・改訂版1995)『私的所有論』(勁草書房、1997)『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』(青土社、2000)『自由の平等――簡単で別な姿の世界』(岩波書店、2004)『ALS――不動の身体と息する機械』(医学書院、2004)『希望について』(青土社、2006)『所有と国家のゆくえ』(共著、NHK出版、2006)『良い死』(筑摩書房、2008)『流儀』(共著、生活書院、2008)『唯の生』(筑摩書房、2009)『税を直す』(共著、青土社、2009)『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』(共著、青土社、2010)等。

 […] 実装支援プログラム 大学図書館を核とした障害をもつ学生へのディジタル・データ提供システムの構築
 […] 研究代表者 エフォート:15%
文部科学省グローバルCOEプログラム 「生存学」創成拠点:障老病異と共に暮らす世界の創造   […]研究代表者 40% 科学研究費補助金新学術領域研究(研究課題提案型) 異なる身体のもとでの交信――本当の実用のための仕組と思想
 […] 研究代表者 15%

■<背景の説明>

 研究・活動の継続性を重視し、実践的な研究については本当に使えるところまでもっていく、その使命があると我々は考える。
 ◇グローバルCOEはT「集積と考究」、U「学問の組換」、V「連帯と構築」の3つから構成され、Uの1が「障害等を有する人が研究する機構を示す」。直接にはこの部分で今回の申請につながる研究活動を展開してきた。
◇科研費研究は、T「交信の仕組」、U「身体と装置の思想」から構成され、そのTでは、1)今回の申請に連なる視覚障害者等に対するディジタル・データの提供システムの研究・開発、2)聴覚障害のある人に対する音声→文字化装置等の応用可能性の研究、3)ALS(筋萎縮性側索硬化症)等重度の身体障害で身体のごく一部の動きを用いて交信する人たちについての調査とその支援方法の開発、以上3つについて研究を進めてきた。


UP:20101016 REV:
障害学生支援(障害者と高等教育・大学)  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa
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