*以下は、開催前に主催者の側から求められた「抄録」としてお送りしたものであり、実際の――ごくごく短い――挨拶とは別のものです。
この主題について拙著『良い死』(2008、筑摩書房)、『唯の生』(2009、筑摩書房)で私が考えられたことを記した。『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』(2000、青土社)、『希望について』(2006、青土社)でもこの主題について論じた(多くは長くない)文章が収録されている。そして『ALS――不動の身体と息する機械』(2006、医学書院)でもこの主題についての考察がある。これらに書いたことにつけ加えることは今のところは私にはない。残念なのは、それらに対する批判が――このかんの社会の趨勢を見ても――いくらもあるはずであるのに、いただけていないことである。昨年の東京大学での催しは有意義なものではあったが、議論は中途で終わった。詰められることを詰められるところでまで詰めることができたらと願っている。