この9月にコリン・バーンズ氏とアリソン・シェルドン氏が来日し、立命館大学大学院で集中講義が行なわれる。また障害学会の大会(東京大学・駒場キャンパス)で講演を行なう。そこで使用される教科書がExploring Disability (2nd Edition)(Barnes & Mercer[2010]、日本語訳のある初版はBarnes, Shakespeare & Mercer[1999=2004])で、そこには日本における障害者運動や「障害学」のことは出てこない。それも当然のことであって、それは私たちが、雑誌への投稿その他、海外への発信を怠ってきたからである。
そこで、日本の障害者運動について、また障害に関わる言論・学について、いくらか紹介する文章を書くことにした。私たちはかつて『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(安積他[1990]、増補改訂版は[1995])という本を書いた。(韓国語版ではこの本の全訳があるので、韓国語を読める人には読んでいただくことができる。)その時は障害学という言葉はなかったが、後にその本は障害学の領域でその初期に出版された本として紹介されることにもなった。その本に私が書いた幾つかの章の一つ「はやく・ゆっくり――自立生活運動の生成と展開」(立岩[1990→1995])は障害者運動と政策の歴史についての章である。それではかなり細かな、日本の人たちにとってだけ意味のあることも多く書かれているから、そうした部分を大幅に省き、またいくらかは補足して、以下日本の運動について紹介する。