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「『税を直す』の続き――連載・54」

立岩 真也 2010 『現代思想』38-5(2010-5):-



 ◆税・2009 ◆税・2010

*関連した文章

◆立岩 真也 2010/05/27 「所得税の累進性強化――どんな社会を目指すか議論を」,『朝日新聞』2010-5-27 私の視点
◆立岩 真也 2010/08/26 「税を直す」,税制に関する意見交換会 於:東京
◆立岩 真也 2010/10/01 「多くあるところから少ないところへ、多く必要なところへ」,『月刊公明』2010-10
◆立岩 真也 2010/12/01 「ためらいを一定理解しつつ税をなおす」,『生活協同組合研究』2010-12

 *以下は『税を直す』に書いたことを受けて、その後のことについて書いたものですで、まず『税を直す』を読んでいただきますよう、お願いいたします。

 [目次]
 ◆いささかの変化
 ◆専門家委員会
 ◆分権の部分には同調できないこと

いささかの変化

『税を直す』表紙   二〇〇九年九月に『税を直す』(立岩・村上・橋口[2009])を出版してもらった。昨年の総選挙のすぐ後のことで、それは、その選挙を意識したことではあった。この四月に刊行された『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』(立岩・齊藤[2010])は税金の使い方についての本でもあるのだが、『税を直す』は税金の取り方についての本ということになる。両方の本の私の担当した部分に私がこれでよいと考える立場を――『ベーシックインカム』の第1部第1章の方により詳しく――記した上で、徴収と分配の双方について論じたということになる。
『現代思想』38-8(2010-6) 8(特集:ベーシックインカム――要求者たち)表紙   両方について論じないと社会にある財の分け方について何か言うことにはならないと思うのだが、例えば、BI(ベーシックインカム)が論じられる時に、あまりきちんと徴収する方のことが論じられないのは不思議なことだと思う。語られるとすれば「財源」があるか(ないか)という語られ方になってしまう。財源はあるだろう。けれども、フラット税で行けるとか、消費税を何%にすればよいとか、言われてしまう。BI論議に限らずそんな論じ方でよいと私は考えない。私が大切であると思うようなところがあまり論じられず、それは困ったことだと思って、この連載に原稿を書いて、そして本にしてもらった。(ちなみに、本誌六月号のテーマがBIだそうで、私は山森亮さんと対談をさせていただくことになっている。)
  そして、この世もすこしは変わってきている部分がある。先年の秋から、そして報道が現れるようになったのはこの二月ぐらいから、節約か消費税増税かの二択あるいは両方の組み合わせではない話がなされるようになっている。そんなこともあってか、『朝日新聞』の「オピニオン」欄の原稿を依頼され、書いた。様々に細かな注文をいろいろといただき、変遷していく規定字数に押し込めることも含めて、ごく短い文章なのに、相当の手間がかかってしまった。ニュースを扱う新聞がこんなことでよいのだろうかと思わないでもなかったが、いったん書いてからゆうに一月は経った。以下がたぶんこれで掲載されるはずという原稿である。[結局、さらに変更の依頼を受けたりなどして、「所得税の累進性強化――どんな社会を目指すか議論を」という題で、『朝日新聞』2010-5-27「私の視点」欄に掲載された [*以下は掲載された記事と同じではない。[English]

  「菅直人副総理・財務相(税制調査会会長)がこの2月以降、所得税の最高税率の引き上げを幾度か示唆している。鳩山由紀夫首相も同趣旨の発言をした。
  今まで、政策遂行のために予算はいる、しかし余裕はない、無駄を削ろう、だが限界がある、では結局消費税の引き上げか、といった枠組みで議論がなされてきた。そんな枠組みから一歩外に出た、菅・鳩山発言は支持されるべきだと私は考える。
  税の大きな意義は、市場で多くを得た人から、得られなかった人に、また、得る必要のある人に渡すことにある。そうでなければ、政府が強制して徴収する税という仕組みを取る必然性もない。その機能を果たすものとしての直接税、とくに累進的な所得税の役割がここ二十数年の間に低下してきた。その方が経済によい影響をもたらし、税収も増える、といったことが語られた。だが税収は減り、なすべき政策が満足にできなくなった。
  そこで所得税を立て直さねばならないことは、政権交代前の政府税調でも認識されていた。だが消極論もあった。増税は敵を作るという思惑もあっただろう、政党は選挙で争わなかった。報道でも経費節減と消費税にもっぱら焦点が当てられてきた。だが、1987年の税率に戻すと所得税の税収が1・5倍になるという試算もある。
  政権が変わった昨年秋から事態は具体的に動き出した。10月に首相の諮問があり、12月に税制改正大綱が発表された。そして税制調査会の専門家委員会の顔ぶれを見ても、委員長ほか所得税の役割をより重視するべきであるという立場の人たちが多い。改革の方向は明確である。だが、異論も出されるだろう。累進性を強くすると高額所得者が働かなくなる。海外逃避が起こる。そして経済が悪くなる。根も葉もないことではないが、うのみにする必要もない。
  勤労意欲の喪失という懸念には、理論的にも実証的にも根拠のある異論がある。むしろ格差が大きすぎない方が多くの人は自分の仕事にまじめに取り組むはずだ。
  他方、国境を越えた逃避の可能性は考慮すべきことではある。ただ、税率をしばらく前に戻す程度のことで、税収の総額を減らすほどの国外逃避が起こることは考えられない。また、税制の安定は国際的な課題でもあり、既に長く逃避の規制はなされているし、国際的な協調・協力体制も十分ではないにしても存在する。
  政権の選択とは、基本的にはどんな社会にするかの選択である。公正・平等の方向に行くのかそうでないか。対立軸をはっきりさせた方がわかりやすい。本当に財源が足りないなら必要なものも我慢しよう。だがそんなはずはない。この素朴だがまともな認識からこれからの社会を構想しよう。税制の改革はその重要な一部である。」

  これでちょうど一六字×六〇行。何かを足したら何かを削らねばならない。最高税率の引き上げ自体はそれほどの税収をもたらさないだろうという予測はもっともな予測であり、全体としての累進性を確保されればよいというのが前の本でも繰り返した私の主張である。その立場に照らして、現在の控除のあり方がよくないのであれば変えることに賛成するし、また所得税だけが問題であると考えているわけでもない。これがここに書けなかったことである。
  より詳しくは、いつものようにHPに掲載してあるが★01、とくに今年になって、記したようなことが報道されるようになった。ただ、引用した文章にもあるように、また『税を直す』にも書いたように、それ以前から変化の兆しがなかったわけではない。例えば税制調査会(政府税調)に参与している自覚のある人たちは、税についていくらかの責任を感じているから、税収の落ち込みには対応しなければならないとも考える。再分配を重視しない人でも、所得税の役割が低下していることは当然わかっていて、いくらかは立て直さねばならないとは思う。『税を直す』第1部(立岩[2009b])第1章5節「いくらかの変化」にも記したことだが、政府税調の文書には少なくとも二〇〇〇年頃からそうした方向の記述はある。二〇〇〇年から二〇〇六年まで会長を務めた石弘光の書きものにもいくらかそんな記述があることも見た。二〇〇七年十一月の税制調査会の「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」では「最高税率については[…]これまで引き下げられてきているが、最近では、所得再分配の観点から見直すべきといった意見も出されており、さらに検討する必要がある」といったことぐらいは言われた。
  ただ、「さらに検討する必要がある」というところに留まっていたのもたしかである。そして自民党の税制調査会の影響力が強い中では、さほどのことができたわけでもなかった。その後、なくなった税調の最後の答申ということになる二〇〇八年十一月の税制調査会「平成二一年度の税制改正に関する答申」では、「当調査会は、昨年の答申で示した所得・消費・資産にわたる各税目の改革の方向性について、今回の審議で多くの意見があった下記の課題等も踏まえながら、さらに議論を深めることとする。」とし、その最初の二つに「社会保障の機能強化・効率化と国・地方を通じた安定財源の確保とそのあり方」と「格差問題等を踏まえた税体系における所得再分配のあり方の見直し」を挙げる。
  こうして話は出ていた。与党にも税率の引き上げに賛成する部分はあった。この年、会長代行を務めていたのは神野直彦でもあった。かといってその方向に具体的に進むことはない。そんな状況だった。
  そして選挙があって、政権が交代した。これまでの政府税調は終わりになった。そして九月二九日に新しい税調の設置が閣議決定された。これまでの、実業界の人々、作家、その他、各界から雑多なという印象も受ける多数の人々を集めた調査会だったのだが、今度の税制調査会の委員は大臣、副大臣、政務官といった人たちだけで構成されている。会長は財務大臣菅直人、会長代行が総務大臣原口一博。その調査会に対して十月八日に首相からの諮問がなされる。

  「(3)所得税の控除のあり方を根本から見直すなど、個人所得課税のあり方について検討すること。特に格差是正や消費税の逆進性対策の観点から給付付き税額控除制度のあり方について検討すること。」

  既に基本的な方向は示されている。ここでは解説しないが、現行の控除の制度がかえって分配機能を弱めているとされる。わかりやすいのは、税を払うだけの収入がない人にとって税の控除は無意味だということだ。だからそれを変更する。そして、控除で税を安くする方向(だけ)でなく、給付を行なうことを考えるというのである。基本的にそれでよいと私は(私も)考える。この箇所では所得税の税率についての具体的な言及はないが、格差是正の語はある。
  また別の箇所では、またその後の調査会の議論の中では――これまでの「背番号」とは異なったものであるとされつつ――納税者番号の導入が提案されもする。こうして基本的な方向が既にあった上で、新たな税制調査会は開始された。全体会合は二〇〇九年度に二七回行なわれたが、二〇〇九年十月二七日の第四回の会合で所得税についての議論がなされた。またこの回には、日本経団連、日本商工会議所、連合、日本税理士会連合会の四団体からのヒアリングがなされた。冒頭の方で古本財務大臣政務官が次のように説明する。

  「所得税でありますけれども、例えば昭和六一年をごらんいただきますと、このころは最高税率が七〇%と非常に高かった。ブラケットも十五段階ぐらいございました。[…]
  結果として現在は、納税者の八割が限界税率一〇%以下という状況に至ってございます。[…]いわゆる課税最低限につきましても、モデル世帯、夫婦子二人モデル、これは昭和六一年ごろは一四%ぐらいありましたが、現在は八%ぐらいに減っております。このモデルで見た場合に、昭和六一年の課税最低限が二三五万でありましたのが、現在では三二五万に引き上がっております。[…]
  財源の調達機能が非常に低下してきている[…]昭和六一年当時は約一六兆強ございました。ピークの平成三年には約二六兆強。それが二〇年度の実績でいけば一五兆ということであります。[…]ブラケットの見直し、最高税率、累進税率の見直し等によって、こういったことになっているわけでありますけれども、他方で控除の見直しもいろいろやってまいっております。[…]
  […]ブラケットが五%〜十%の間に入る、限界税率五%〜十%の納税者が納税者の全体の八割です。この方々の所得税収で見ますと、約二割を負担いただいていることになります。他方、限界税率が二〇%〜二三%の方々によって四割の所得税を支えていただいております。[…]給与収入ベースで見ますと、夫婦子二人で七八五〜一四三〇万の方々です。更に累進税率が三三%〜四〇%のブラケットに入る方が、これも同じく四割を支えていただいていることになります。つまり二割の方々で八割の所得税を支えていただいているということでございます。今後、低所得層の控除税制では、低所得者には恩典が及ばないということで、いろいろな給付付き税額控除など議論をしてまいるわけでありますけれども、他方で、今、申し上げたような一定の所得層が、更に課税強化されるということになりますと、勤労意欲の減退など、いろんな側面もございます。したがって、今後の所得税のあり方を検討する際には、幅広い所得層が所得税全体をどのように支えるかという税制にしていくべきかということが大変重要な観点になってくると思っております。
  実は昭和六一年と、現在のGDPあるいは給与総額を比較いたしますと、約一・五倍に膨れております。にもかかわらず、所得税収はむしろ下回っている現状は、やはり幅広い所得階層にどのように所得税というものの担税力を求めていくかという、議論の端緒にいたしたいと思っております。」

  所得税の役割が低下していることが確認され、その立て直しの必要が示される。ただ、ここでは「中」の人たちの負担が大きいことが言われており、必ずしも高い方の限界税率を引き上げるという方向は積極的に示されているわけではない。むしろ、オブザーバーとして参加している下地国民新党政務調査会長と阿部社会民主党政策審議会長に最高税率引き上げに関わる質問が差し向けられ、国民新党はそれを公約として掲げていると答え、社民党も引き上げるべきだと答える。それを受けて峰崎財務副大臣は次のように言う。

  「今の最高税率を上げた方がいいという議論と、民主党はどちらかというと、これまでは所得控除から税額控除、そして手当として再配分機能を進めていくというふうにしているんですが、[…]金融所得と分離課税になっているために、所得が二五〇〇万円を超えますと実効税率が平均で下がってしまう[…]金融所得課税は配当、キャピタルゲイン、こういったものが今、上場株式の場合は一〇%です。そうすると、大変巨額の配当をいただいている方、あるいはキャピタルゲインをいただいている方は[…]一億円の収入があっても一〇%です。二億円あっても一〇%です。[…]幾ら最高税率を所得税の世界で上げても、この二五〇〇万円辺りで上限を打って、最高税率を上げてもそれはサラリーマンのかなり高い方々には該当するんですが、実は日本の所得階層で一番大きい問題なっている金融所得を大量に持っておられる方には効きません。この点は是非総合課税にした方がいいではないかという議論は勿論あるんですが、分離課税の場合にはここのところを少し、社民党さんと国民新党さん、検討しておいていただければと思います。」

  「所得税というのは別名あつらえ税と言ったりして、一人ひとりの体に合わせて、例えばこれが所得による階層だけではなくて、障害者だとか、勤労者だとか、あるいは働きながら勉強している人たちに対する控除とか、いろんな諸控除を組み合わせてきた。つまり社会保障を控除の中でやろうとしたわけです。これは、社会保障はむしろ手当でやるべきではないかという方向へ変えようと考えていますので、どちらかというと整理していこうという方向に、これまでも前向きだったというのが今まででございます。[…]
  給与所得控除が一番ウェートが高いわけです。これは民主党のマニフェスト中には、これは青天井で効いてまいります。[…]所得がどれだけ増えても給与所得控除が永遠に効くという構造になっておりますので、そこはどこか上限を引いた方がいいのではないかという議論を指摘した経過があります[…]。」

  その後のヒアリングで、旧政府税調の委員でもあった大橋日本経済団体連合会評議員会副議長は「平成二二年度税制改正に関する提言」(二〇〇九年十月二日)を示し、消費税の拡充と法人税の引き下げを要望した。なお――その時の発言にはないが――この提言においては、「給付付き税額控除」の導入が支持され、また相続税の見直しについては慎重であることを求めている。
  また連合からは南雲事務局長が発言している。

  「連合は結成以来二〇年以上にわたりまして、まじめに働く者が報われる税制改革の実現に取り組んでまいりました。/これまでの旧政府税調では、納税者の大多数を占めるサラリーマンの代表として、連合会長が参画をさせていただいてまいりました。しかし、党税調の力が強く、政府税調もそれをおもんぱかって歯がゆい思いをしてきたと思います。税制改正プロセスの一元化でそうした弊害も改善されるものと期待をいたしているところでございます。[…]
  […]税により再分配機能も弱まっております。そして、自公政権は消費税増税を掲げることが責任政党だと言っておりましたが、具体的な年金制度、医療制度の改革の姿を描いた上で、幾ら必要か明確にもせず、一〇%、一五%と言われても無責任な話としか受け止められないわけでございます。[…]
  […]「これから目指すべき改革のポイント」を申し上げたいと思います。鳩山政権では、是非この反省の上に立って、税制改正の論議を進めていただきたいと思います。/まず大方針として、これまでの新自由主義路線からパラダイムシフトをはかっていただきたいと思います。[…]
  […]「当面する重要課題」について[…]/一つ目は、サラリーマンが納得できる税制の基礎をつくるべきだということでございます。[…]納税者番号制度も早急に導入していただきたいと思います。[…]二つ目に、税による所得再分配機能を回復させ、格差社会の是正を図るべきでございます。/[…]格差社会を助長してきた税制から格差社会を是正する税制への変換をお願いしたいと思います。[…]担税力の高い層への課税強化と給付つき税額控除の積極的な検討をお願いしたいと思います。それと総合課税化の原則を曲げるべきではないと思います。/三点目は、社会的セーフティーネットの整備と負担の在り方について、国民的議論を行い、合意形成に努めるべきだと思います。」

  政党が目指すものと労働組合の利害とがみな一致するわけではない。ただ、このあと設置される専門家委員会の主要な人たちは双方に関わってきた人たちでもある。三者の目指すものは基本的なところでは一致している。
  同年十二月二二日には「平成二二年度税制改正大綱――納税者主権の確立へ向けて」が閣議決定される。その2.「個人所得課税」の(1)「所得税」のA「現状と課題」。

  「所得税については、累次の改正により、税率の引下げ・その適用範囲(ブラケット幅)の拡大が行われるとともに、各種控除の累次にわたる拡充によって課税最低限の引上げが行われてきており、所得再分配機能や財源調達機能が低下している状況にあります。
  現在の所得税は累進構造をとっていますが、実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降しており、累進性を喪失している状態と言えます[…]。その原因としては、第一に、所得控除が相対的に高所得者に有利なこと、第二に、分離課税している金融所得などに軽課していることなどが挙げられます。
  格差が拡大する中、所得税には所得再分配機能の発揮が求められています。特に、中間層が低所得層へと落ちていく下への格差拡大を食い止めることは喫緊の課題です。累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要があります。
  B改革の方向性
  所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革のほか、以下のような改革を推進します。」

  第一に「社会保障・税共通の番号制度の導入」、第二に、「所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当」への転換、第三に、「本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想」としつつ「金融所得の一体課税」を進めるとしている。控除については次のように記される。

  「現行所得税の所得控除制度は、結果として、高所得者に有利な制度となっています。なぜなら同額の所得を収入から控除した場合、高所得者に適用される限界税率が高いことから高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低い税率の適用される低所得者の実質的な軽減額は小さくなるからです。」
  「所得控除を一律の税額控除に変えれば、限界税率の低い低所得者ほど所得比で見た負担軽減効果が大きい仕組みになります。手当は相対的に高所得者に有利な所得控除に代えて現金給付を行うものであり、定額の給付であることから相対的に支援の必要な人に実質的に有利な支援を行うことができます。
  さらに、所得再分配機能を高めていくために、「給付付き税額控除」の導入も考えられます。これは税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付するといった制度です。給付とほぼ同じ効果を有する税額控除を基本とすることから、手当と同様に、相対的に低所得者に有利な制度です。給付付き税額控除は多くの先進国で既に導入されています。我が国で導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、関連する社会保障制度の見直しと併せて検討を進めます。
  以上で述べた税額控除・給付付き税額控除と手当などの社会保障政策のベストミックスで「支え合う」社会を構築していきます。」

  以上では、「累進構造を回復させる改革」とは記されているが、最高税率の引き上げが前面に出ているわけではない――それが全体の一部に過ぎず、また格別の効果をもらたすものでもないからには当然のことでもあり、また、部分的ではあれ増税の線が明示されることはためらわれるかもしれない。ただそれが言われるなら、わかりやすい話であるから、報道されることになる。二〇一〇年に入り、二月一九日、二〇日、そして次に記す「専門家委員会」の初会合(二四日)で税調会長で副総理・財務相の菅直人がそのことを語ると、それをメディアは取り上げた。こうして、いくらか新聞など読む人には、所得税に手が加わるらしいことが伝わり、そして、私も、そさを受けたかたちで――最高税率の引き上げのことだけに関わって書かれたと読まれてしまうかもしれない――短文を書かせてもらうということになった。

専門家委員会

  二月に「税制調査会専門家委員会専門家委員会」が設置される。一月一八日の第二六回会合で財務大臣になった菅が次のように言う。

  「従来、政府税調と党税調が分かれていたときのような二本立てでは全くなくて、あくまで議員中心の税調、政治家中心の税調の一角に、やはり問題が極めて専門性の高い分野がたくさんありますので、そこに専門家の皆様に参加をいただく場をつくろう。そういう位置づけだと私自身、理解をいたしております。」

  委員長が神野直彦、委員長代理が大澤眞理、他に委員として、池上岳彦、井手英策、植田和弘、翁百合、関口智、田近栄治、辻山栄子、中里実、三木義一、計十一名。
  このうち、交代前の税制調査会(政府税調)に関わっていたのは、神野、翁が税制調査会の委員、中里、辻山が税制調査会特別委員、翁、田近、中里が税制調査会調査分析部会のメンバー(二〇〇九年六月現在の名簿による)。かつての税制調査会の、知事であるとか経営者であるとか、作家であるとかいった人たちはおらず、この領域の専門家だけで構成されている★02
  そして――税制調査会では「納税環境整備プロジェクトチーム」と「市民公益税制プロジェクトチーム」が設置されることになるのだが――この専門家委員会の方では、その中に「基礎問題検討小委員会」が置かれた。委員は、神野(座長)、大澤、井手、関口。
  まず、神野や大沢(大澤)は――どのような経路や機構を介してであるのか私はまるで知らないが――民主党の政治家たち、その党の政策立案に関わってきた人たちであり、また連合系の研究機関とその研究活動にも関わってきた人たちのはずである★03。そして、池上には神野との共編書『地方交付税 何が問題か――財政調整制度の歴史と国際比較』(神野・池上編[2003])、『租税の財政社会学』(神野・池上編[2009])がある。また、井手にもやはり神野との共編書『希望の構想――分権・社会保障・財政改革のトータルプラン』(神野・井手編[2006])があり、その「あとがき」で、神野は井手を「研究者になる前から、私のもとで学んでいた若き研究者」の「代表」と記している(「あとがき」、それ以前には大島・神野・金子編[1999]に池上[1999]等)。これらの人たちの書き物を読んでみれば、その主張に共通するところが多いことは容易にわかる。企業や政府の会計、企業課税などの専門家である関口もまた神野の門下生ということになる。そして、田近・佐藤編[2005]、田近・尾形編[2009]等の著作のある田近も『日本の所得分配――格差拡大と政策の役割』(小塩・府川・田近編[2006])等で、いまあげた人々と同じ方向の政策提言をしている。三木は弁護士でもあり、税の実務についての数多くの解説書や概説書(岩波新書に三木[2003])があり、そこにはしばらく前の「改革」寄りの記述も見えるが、他方では大沢・神野との鼎談もあり(神野・宮本[2006]収録の大沢・三木・神野[2006]、初出は『世界』)、そこでは企業の海外逃避の可能性があるから減税というのでなく国際的強調が必要だといった発言もしている。他に法人税等の専門家がいる。専門的知見を提供するといった役割を担うのだろうが、格別強い政治的主張を有しているというのでもなさそうだ★04
  こうして基本的な方向は定まっている上での委員会の設置である。「政治主導」のもとでどれだけの影響力をもつか疑問視する報道もあるが(『読売新聞』)、そもそも基本的な方向は双方で共有した上での委員会の設置、委員の選出になっている。基本的なところで対立が生じ、紛糾するといったことは考えられない。そしてそれ自体に問題があると私は思わない。基本的な方向は選挙や議会で決まることであって、そこで決まるおおまかな方針のもとで、実現可能性その他を検討し、具体的な提案を行う仕事を学者たちが請け負っているということだ。その場での思想・主張が共通であっていけないことはない。むしろ、方向を共有する人たちが案を詰めていく方が、散漫に様々な意見が出されてそれで終わるよりもよいはずだ。

分権の部分には同調できないこと

  このような次第だから、この政権が続く限り、いくらかのことはなされると思う。そしてそれを、新聞記事にも記したように、私は基本的に支持する。おおまかには異論がない。
  その上で、これも『税を直す』で述べたことだが、「地方分権」に関わる論の立て方には疑問がある。ここしばらくは分権が主題的に論じられることがないとすれば、以下は、当座の用のためには不要ではあるのかもしれない。中央政府の政権が変わったことを受けて、分権について言われることもまたいくらか変わってくるのかもしれない。ただ、さきに一部を紹介した「平成二二年度税制改正大綱」には次のような箇所もある。

  「国と地方が対等なパートナーとして地域主権を確立し、地方の再生を図る観点から、地方税制のあり方について検討すること。その際、国・地方の役割分担の見直しと合わせた税財源配分のあり方の見直し、地方の声を十分に反映する仕組み及び地方税制に関する国の関与のあり方についても検討すること。」

  この文言自体に文句があるわけではない。ただ、地方分権について多くを語り、積極的に支持してきた神野らの議論にはわからないところがあり、そしてそれが示す方向を支持できないと考えてそのことを本でも述べた。前回に記したのもそのことに関わっている。
  まず、いまあげた人たちについてというのではなく、しばらく前まで政権を批判する側にいた人たちで、地方分権を言いたい人たちについて、その「動機」がどこにあるのか、測りかねるところが私にはある。ずいぶん前に「革新自治体」が登場し、しばらくそこそこ多くあった時には、そうした自治体で変革を実現しよう、そのためには自治体の権限を強くした方がよいということになるだろう。それはわからないではない。ただ、そんなことももうなくなっている。それでも言うとしたらどうしてか。やはり中央政府が変わらない間は、政党の対立がはっきりしない地方自治体において自らの望むものを実現しよう、そのためには地方に権限がより多く移譲されことが望ましいということなのか。そうなったとして、それがどれほど魅力的であるのか、私には実感としてわからないところがある。どこから分権への情熱がやってくるのか、やはりわからない。
  裏にある動機を詮索しても仕方がないとしよう。表立って書かれるのはどんなことか。紹介・引用を略すが★05、ごくおおまかには、現金給付/現物給付、所得保障/社会サービスという分割が中央政府/地方政府という分割に重ね合わされ、この時代に後者の重要性が増しており、よって地方政府の重要性も増していると論が運ぶ。
  まず、これについても経験的・直感的にありがたい感じは私にはしない。というのも、私がいくらか知っているのは、介助サービス(のための費用)を引き出そうとするのだが、各自治体に支給の決定が委ねられ、多くの地域でまったく不十分で、それを拡大するのに各地の人たちが個々の場で多大の労力を費やさねばならないで来たこと、それでもなかなかうまくいかないで来たことだった。そうした活動に携わってきた人たちにとっては端的に分権の何がよいのかわからない。私もそれを横から見てきたから、やはり不思議だ。
  さらにすこし「理論」的に述べることもできる。そしてこれまでも幾つかのことを述べてきた。一つには、国家と国家との間にも起こりうるし実際起こっている格差、そして分配のあり方によって生ずる流入・流出の可能性、それに(再)分配策が制約されることである。ただ、ここでの分権推進論者たちも格差のことはもちろん承知しており、それをそのまましてよいとはせず、その調整の必要は言う★06。ここではもう一つのことを繰り返しておく。
  第一に、所得保障と社会サービスとは、制度としては分けた方が合理的な場合はあるが、なにか質的に異なるものであると考える必要はない。そのことは幾度も述べてきたから繰り返さない。
  加えて、前者が現金給付で後者が現物給付であると決めてしまうこともない。前者にしてもその現金で「もの」が購入される。後者についても現金を政府から受けとり、それでサービスを購入することもできる――これが現物給付に比べてつねに優れていると主張したいわけではない。現に医療は、現金を受けとるというかたちにはなっていないのだが、政府が現物を給付しているわけではない。
  加えて、現金給付であれ現物給付であれ、(対人的な)社会サービスの供給を地方(政府)でということにはならない。地域によって必要が異なるといったことが言われる。だがこれも疑問だ。地域によって同じ生活をするのに要する金額も異なり、公的扶助についても地域によって差が設定されている。対人社会サービスの必要度の違いはむしろそれより小さいかもしれない。それと別に、サービスをする人の賃金が異なっているし、異なってよいという考え方はありうるが、それを受け入れるとしても、分権は必然ではない。
  もう一つ、近いからよくわかるといったことが言われる。ただ仮にそうだとして、(どんな水準の)地方政府にしても、そこそこに大きい。個別の事情をわかったり微妙に調整する必要がある場合があるとして、そのことは分権がよいことを示すことにはならない。これも繰り返し述べてきたことだが、財源を徴収し給付する主体と、その「現物」を提供する主体とは別に立てることができるし、多くの場合に分かれていた方がよいことも多い。そしてそれを提供する主体は、地方政府といった、かなり小さくなったとしても結局はそこそこに大きな組織である必要はない。そしてそのための資源(税)の徴収と配分は大きな単位でなした方がよい理由がある。
  そしてここでより重要なのは、『税を直す』にも記したことだが、国税と地方税とが別の原理によって支持されるものとされ、現にそうなってしまっており、そのことが是認され、地方税(的なもの)の方が主流になってよい、なるべきであるという言い方がなされることである。さきに一部を紹介した、二〇〇九年十月の第四回の会合でも小川総務大臣政務官が次のように解説する。

  「所得再分配という機能を負っているのが所得税だとすれば、それとの対比で申し上げますと、地域の会費という性格が強い、その点に絞って御説明申し上げます。[…]
  […]二〇年ぐらいさかのぼりますと[…]最低四・五%から最高一八%まで一四段階、しかし、平成一九年に税源移譲が行われたときに、一律一〇%ということになりました。これは[…]所得の再分配というよりは、地域の会費を薄く広くお納めいただくという性格が色濃くなっている部分でございます。[…]
  […]基礎控除、所得税三八万円に対して住民税が三三万円、若干ですけれども控除額が低く抑えられております。これも地域の会費という性格を鮮明にするものでございまして、この分課税ベースは広い、一人でもたくさんの方に会費を納めていただいているという性格の表われでございます。
  […]生命保険料の控除等々、あるいは住宅に係ります特別控除等々がございますが、いずれも所得税より低い控除額であり、あるいは税額控除にいたっては、所得税にある制度が住民税にはない。この辺にもその性格が表われております。」

  今、(再)分配機能の低下が指摘され、それを改革するべきことが言われるのだが、それを主張する人たち自身もまたその改革されるべき現実を作るのに加担してきたとも言えるのだ。つまり、「会費」的な――つまり一人ひとり定額の、せいぜい所得比例的な――税によって――最低限の所得保障以外の――政策を行うことが正当化され、その方向に事態は進んできたのである。その経緯については、立岩[2009a]の第3章「有限でもあるから控えることについて――その時代に起こったこと」にも述べた。
  ここには、大きな、意図的ではないのだろうが、しかしいくらかでも考えれば気がつくはずの錯誤がある。それは正す必要がある。

■注

★01 (「生存学」→)『税を直す』で検索すると、今回の分についての資料の頁に行ける。二〇〇八年から二〇一〇年にかけての税制論議、地方分権に関わる文献と引用等を見ることができる。
★02 二〇一〇年一月一八日の第二六回税制調査会会合で、専門家委員会の委員の人選についての質問を受け、峰崎財務副大臣は次のように答えている。
  (神野委員長は)「税法、いわゆる租税法の専門家、社会保障の専門家、環境問題が非常に強くなるということで環境と税に関する専門家、財政の専門家、分権の専門家、ある意味では、私たちが構想していた、民主党がずっと考えていた将来の国家の在り方について、今、申し上げたような国家像と、それとエコノミスト、やはりこれからの経済見通しというものもしっかり入れたいということもおっしゃっておられました。
  […]あと税の専門家として、例えば税理士の方とか、是非そういった方々を中心にしながら、一本筋の通ったものにしていきたいということはおっしゃっておられました。それ以上は、今日ここで決まらないと、実際の具体的な人選に入れないということなので、先生にはそれ以上のことは相談しておりません。
  先日も菅会長にも入っていただきまして、お話をしていただきまして、菅会長の方からも先生にはいろいろな要望が出されておりますので、それらを受け止めて人選にタッチされるだろうと思います。」
★03 大沢は、上野・中西[2008]にまとめられた研究企画に加わってくれた。私もそこで税についてここのところ述べていることを短く記して(立岩[2008])、その際、具体的な数字については、同様の主張をその本でしている大沢[2008]の参照を求めている。また、その共同研究において、「分権」についていくらかの議論をすることもできたと記憶している。
★04 植田は環境経済・政策学会会長などを務める。環境税が検討課題の一つになっていることが関わっているだろう。翁は銀行経営等金融の専門家。著書に翁[1993][1998][2002]等。辻山は会計学の専門家。中里の専門は法人課税。著書に『タックスシェルター』(中里[2002])、中里[2003]等。
★05 注01に紹介した頁に神野・金子[1999]、神野・金子編[1998][1999]、池上[1999][2003][2004]等からの引用がある。
★06 神野・池上編[2003](中の池上[2003])等で言われる。

■文献

井手 英策 19990428 「バブルと財政赤字」,大島・神野・金子編[1999:71-104]
◇池上 岳彦 19980601 「一般財源主義の限界と新たな一般税源主義の課題」,神野・金子編[1998:77-133]*
◆池上 岳彦 19991222 「地方分権的税財政システムの構築を――新しい地方税原理・分権型財政ヴィジョン」、神野・金子編[1999:225-264]
◇――――― 2003 「財政調整の理論と制度」,神野・池上編[2003:3-30]
◆――――― 20040625 『分権化と地方財政』,岩波書店,現代経済の課題,249p. ISBN-10: 4000270451 ISBN-13: 978-4000270458 2730 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◆神野 直彦 2006 「絶望の構想から希望の構想へ」,神野・井手編[2006:1-40]
◆神野 直彦・井手 英策 編 20061107 『希望の構想――分権・社会保障・財政改革のトータルプラン』,岩波書店,261p. ISBN-10: 4000225537 ISBN-13: 978-4000225533 2100 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◆神野 直彦・池上 岳彦 編 20030731 『地方交付税 何が問題か――財政調整制度の歴史と国際比較』,東洋経済新報社,265p. ISBN-10: 4492610480 ISBN-13: 978-4492610480 3150 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◆――――― 20090220 『租税の財政社会学』,税務経理協会,185p. ISBN-10: 4419051965 ISBN-13: 978-4419051969 2940 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
神野 直彦金子 勝 19990428 「グローバル化と財政の役割」,大島・神野・金子編[1999:71-104]
◆神野 直彦・金子 勝 編 19980611 『地方に税源を』,東洋経済新報社,234p. ISBN-10: 4492610367 ISBN-13: 978-4492610367 1700+ [amazon][kinokuniya] ※ t07. t07b
◆神野 直彦・金子 勝 編 19991222 『「福祉政府」への提言――社会保障の新体系を構想する』,岩波書店,319p. ISBN-10: 400024602X ISBN-13: 978-4000246026 2300 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◆神野 直彦・宮本 太郎 編 20061205 『脱「格差社会」への戦略』,岩波書店,234p. ISBN-10: 4000237705 ISBN-13: 978-4000237703 1680 [amazon][kinokuniya] ※ e03. t07. t07b.
◆三木 義一 20030820 『日本の税金』,岩波新書,210p. ISBN-10: 4004308496 ISBN-13: 978-4004308492 735 [amazon][kinokuniya] ※ t07. <48, 128-129>
◆中里 実 20020620 『タックスシェルター』,有斐閣,319p. ISBN-10: 4641129118 ISBN-13: 978-4641129115 3150 [amazon][kinokuniya] ※ t07. t07b
◆――――― 20030120 『デフレ下の法人課税改革』,有斐閣,230p. ISBN-10: 4641129193 ISBN-13: 978-4641129191 2100 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◆翁 百合 1993 『銀行経営と信用秩序――銀行破綻の背景と対応』、東経
◆―――― 1998 『情報開示と日本の金融システム――市場規律・監督体制の再構築』、東洋経済新報社
◆――――― 20020220 『金融の未来学――小さなセーフティネットをめざして』,筑摩書房,ちくま新書,173p. ISBN-10: 4480059326 ISBN-13: 978-4480059321 714 [amazon][kinokuniya] ※
大沢 真理 2008 「三つの福祉政府体系と当事者主権」、上野・中西編[2008:178-199]
◆大沢 真理・三木 義一・神野 直彦 2006 「有効で公平な税制とは何か」、神野・宮本[2006]
◆大島 通義・神野 直彦・金子 勝 編 19990428 『日本が直面する財政問題――財政社会学的アプローチの視点から』,八千代出版,285p. ISBN-10: 4842911085 ISBN-13: 978-4842911083 2835 [amazon][kinokuniya] ※ t07. c05.
◆小塩 隆士・府川 哲夫・田近 栄治 編 20061110 『日本の所得分配――格差拡大と政策の役割』,東京大学出版会,241p. ISBN-10: 4130402285 ISBN-13: 978-4130402286 3990 [amazon][kinokuniya] ※
◆田近 栄治・尾形 裕也 編 20090830 『次世代型医療制度改革』,ミネルヴァ書房,230p. ISBN-10: 462305425X ISBN-13: 978-4623054251 4200 [amazon][kinokuniya] ※
◆田近 栄治・佐藤 主光 編 20050908 『医療と介護の世代間格差』,東洋経済新報社,272p. ISBN-10: 4492701117 ISBN-13: 978-4492701119 3990 [amazon][kinokuniya] ※
◆立岩 真也 2008 「楽観してよいはずだ」、上野・中西編[2008:220-242]
◆――――― 2009a 『唯の生』、筑摩書房
◆――――― 2009b 「軸を速く直す――分配のために税を使う」、立岩・村上・橋口[2009:11-218]
◆立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 2009/09/10 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07, English
◆立岩 真也・齊藤・拓 2010/04/10 『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』,青土社,ISBN-10: 4791765257 ISBN-13: 978-4791765256 2310 [amazon][kinokuniya] ※ bi.
上野 千鶴子・中西 正司 編 20081001 『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』 ,医学書院,296p. ISBN-10: 4260006436 ISBN-13: 9784260006439 2310 [amazon][kinokuniya] ※ a02 a06 d00

  *たぶん次回言及する文献

◇安部 彰・堀田 義太郎 編 20100226 『ケアと/の倫理』,立命館大学生存学研究センター,生存学研究センター報告11
◇天田 城介・大谷 いづみ・立岩 真也+小泉 義之・堀田 義太郎.2009.「生存の臨界 T〜V」(座談会),『生存学』1,pp.6-22, 112-130, 236-264(立命館大学生存学研究センター編,生活書院刊)
◇小泉,義之,2009,「余剰と余白の生政治」,『思想』1024(2009-8):20-37. ◇小泉義之・安部彰・堀田義太郎 2010 「ケアと生存の哲学」(鼎談)、安部・堀田編[  ])
◇――――― 2010/03/31 「この時代を見立てること」、『福祉社会学研究』7:7-23(福祉社会学会,発売:東信堂)
◇――――― 2010/05/01 「まとめ・2――身体の現代・19」、『みすず』52-4(2010-5 no.):- 資料,

◆立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 2009/09/10 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07, English


UP:20100408 REV:20100829, 30, 0905, 0913, 14
  ◇税・2010  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa
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