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「ナルシストランス宣言」同時開催写真展「身体と性――この曖昧な点と線」についての見解

立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点・拠点リーダー 立岩 真也
2009/01/29



1)この企画は立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点院生プロジェクト クィア・スタディーズ研究会によって主催された。この企画は、私も参加するシンポジウム(2009年1月25日)と写真展示によって構成されていた。施設利用申請に添付した趣意書には、写真展について「全く顕在化していないGID/トランスの身体を撮影した写真作品を展示することで、『多様な身体』を生きる人々の姿を、多くの学生・来場者に展示しうる意義があるものと考えています」と記されていた。
 私は拠点リーダーとして、その企画の趣旨を理解し、承認した。またこの企画の性格上、研究支援を行う担当教員の姿勢として、研究者である個々の大学院生に表現は委ねられるべきであり、委ねられる他ないと考えた。

2)私自身は、どこまでの表現が、どのような場において、認められ/認められないかについて、いつも白黒が予めはっきりしたことであると考えていない。反発や嫌悪が予想される表現をあえて行うことの意義がある場合があると思うし、他方で、すべてが許容されるということにもならないと考える。さらに、緊急に表現を制約することがあらゆる場合に認められないとも考えない。
 しかし「いったん展示物を撤去」するという対応がなされたことについては、そうした緊急の状況であったという認識を私は施設管理者と共有していない。話し合いは続いており、双方の見解を示し合う過程にあった。一時的にせよ利用許可を停止するのであれば、文書による申請と許可という手続きを踏んでいたのであるから、文書によって施設管理者から申請者に利用停止通告がその理由と共に示されるべきであったと考える。

3)表現・表出の問題をどう考えるのか。あえて示すことと、示されたくないと思うことについて、何を言うことができるのか。はたして答が出るのかどうかも含め、それは、とりわけ「障老病異」を巡ってものを考え表現していこうとする時に、大切な問いであると思う。議論していきたいと考えているし、その過程・結果を公表・公開していきたいと考えている。この企画を立案した院生たちもきっと考えを言うだろう。私が思うことも述べようと思う。誰でもその考えを述べることを歓迎する。


2009/01/25シンポジウム「ナルシストランス宣言」/同時開催写真展「身体と性――この曖昧な点と線
 於:立命館大学衣笠キャンパス
◆2009/01/25 「立命大、写真展を無断撤去 性同一性障害の人らモデル」
 『京都新聞』2009-1-15
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009012500023&genre=C4&area=K00
◆立命館大学研究部長・教学部長 2009/01/26 「「G−COE院生プロジェクト・写真展」展示の撤去に関わる経緯と今後の対応について」
 http://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/2766/publish/3/year/2009
◆立岩 真也 2009/01/26 MLに出したメール
◆立岩 真也 2009/01/29 「「ナルシストランス宣言」同時開催写真展「身体と性――この曖昧な点と線」についての見解」
◆2009/02/03 「性同一性障害の写真展は不適切?――立命大と学生対立」
 『朝日新聞』2009-2-3
 http://www.asahi.com/national/update/0203/OSK200902030027.html
◆立命館大学研究部長・教学部長 2009/02/03 「G−COE院生プロジェクト・写真展」展示の撤去に関わる経緯と今後の対応について(続報)」
 http://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/2798/publish/3/year/2009


UP:20090129 REV:
性同一性障害  ◇立岩 真也
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