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はしがき

立岩真也 2008/05/31
<社会運動>研究会 編 『社会運動研究の現代的課題』
科学研究費助成研究・基盤B「分配と支援の未来」2007年度報告書


  ここに何が書かれているかについては次のページからの「総論」に記されているから書く必要はないし、<社会運動>研究会については「あとがき」に書かれているからやはり記す必要はない。読者は、「おお、<人民闘争史>ですか」などとつぶやきながら、基本的にはしごくまっとうな論稿たちを、すきなところから読んでいただければよい。以下は「はしがき」の「余談」になる。
  昨年(2007年)の3月、この「<社会運動>研究会」とは別の、しかしメンバーには重なりのある「「高度成長期」研究会」が『「高度成長」再論』を刊行した(科学研究費助成研究・基盤B「分配と支援の未来」2006年度報告書、発行は<分配と支援の未来>刊行委員会――オンデマンド印刷で注文に応じている&「高度成長再論」でHPを検索すると最初に出てくる)。そこに「はしがき」を書かせていただいた。不謹慎ながら、その一部をここでも使わせていただく。

  「そう遠くない過去について、調べてものを考える必要はある。この科研費研究費の題は「分配と支援の未来」となっていて、なにやら未来志向なのだが、先々のことを考えるについても、それは必要なことではある。このことはたしかだと思う。
  私は私で、この時代から現在に至る歴史の筋を語る語り方があると思っていて、そのことについて本を書く約束があるのだが、まだ取り掛かれていない。代わりに、以下のような、覚え書きのようなものがある。
  2003/11/01「現代史へ――勧誘のための試論」,『現代思想』31-13(2003-11):44-75(特集:争点としての生命)
  2003/12/10「医療・技術の現代史のために」,今田高俊編『産業化と環境共生』(講座・社会変動 2),ミネルヴァ書房, pp..258-287
  2007/03/31「障害の位置――その歴史のために」,高橋隆雄・浅井篤編『日本の生命倫理――回顧と展望』,九州大学出版会,熊本大学生命倫理論集1,pp.108-130
  すこし考えて、『現代思想』に掲載された文章をここに再録することにした。[…]今回の分担研究者、そしてこの冊子の筆者たちを含めこれからいっしょに仕事をしていく大学院生諸氏に見ていただいてもよいと考えた。その文章に私が書いた粗筋と、また別の人たちの、別の領域についての、別の筋の話と、どう関わったリ関わらなかったりするのか、そんなことを考えてみてもよいと思った。」

  「まだ取り掛かれていない」その仕事そのものというのではないのだが、私たちの社会に現われた論点・争点をいくつか取り出しすこし考えてみるという作業をすこし『月刊みすず』(みすず書房)での連載で行なうことにした。そしてここには、上に挙げた3つめの文章を再録させてもらうことにした。他に、現在私たちが進めているグローバルCOEプログラム<生存学創成拠点>の方で、社会運動(史)に関わる企画・刊行物がいくつもあるのだが、そんなものの紹介を始めてしまったら、ますます、これはこの報告書の「はしがき」でもなんでもなくなってしまう。HPを見てください。では。


UP:20081014 REV: 
立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa 
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