HOME > Tateiwa >

有限性という常套句をどう受けるか

立岩 真也 20080410
『ケアという思想』(シリーズ ケア――その思想と実践・1),岩波書店


立岩 真也 2008/04/10 「有限性という常套句をどう受けるか」,上野 千鶴子・大熊 由紀子・大沢 真理・神野 直彦・副田 義也 編 20080410 『ケアという思想』,岩波書店,ケアその思想と実践1,249p. ISBN-10: 4000281216 ISBN-13: 978-4000281218 2310 pp.163-180 [amazon][kinokuniya] ※ c04.[了:20071022],

 「ケア」が必要なことであり大切なことであることは誰もがわかっている。すくなくともわかっていると誰もが言う。その上で、しかし「資源は有限だ」とか「人手が足りなくなる」などと言う。このことばかりが言われる。とするとやはり考えておかざるをえない。  しかしこれはどんな問題であるのか。このことを問題にする人たちはいったい何を言っているのか。意外にはっきりせず、困ってしまう。どの水準で考えたらよいのだろう。そこで、あまりに当たり前なので教科書にも書いていないようなところから書くことになる。しかし、そんなところから議論を積み上げていったら、長くなる。そして本来は緻密な話をしなければならない。しかしそれはここでは無理だ。詳しいことは別に書くことにして、また既に書いたものを見ていただくとして、ここではごく粗く幾つかを述べる。

■「不足」について
■「生産」について
■「自分のため」が届く範囲
■代わりに
■いっそ原則をはっきりさせること
■生産・成長のための我慢という話
■競争のための我慢という話

 だから、一つ、身近なことについて考えると、仕方なく大きなところに行き着かざるをえない。そして一つ、ケアという主題を即物的に考えることである。いくらでも人間的なことが語られてよいとしよう。しかしそれだけのことではない。お金のこと、資源のことについて、つまらないおちがつかないように、考えて言う必要がある。


 
>TOP

 *以下は当初「位置取りについて」という題で用意した文章のための文献表。原稿を差し替えたので結局使わなかった。

■文献

●安積 純子・尾中 文哉・岡原 正幸・立岩 真也 1990/10/25 『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』,藤原書店→1995/05/15 増補改訂版,藤原書店
●上野 千鶴子・中西 正司 編 2008 『……』,医学書院
●川本 隆史 編 2005 『ケアの社会倫理学――医療・看護・介護・教育をつなぐ』,有斐閣
●全国自立生活センター協議会 編 20010501 『自立生活運動と障害文化――当事者からの福祉論』,現代書館,480p. ISBN:4-7684-3426-6 3675 [amazon][bk1] ※
●副田 義也・樽川 典子 編 2000 『現代社会と家族政策』,ミネルヴァ書房
●1990/10/25 「はやく・ゆっくり――自立生活運動の生成と展開」,安積他[1990:267-321]→1995 安積他[1995:267-321]
●1995/05/15 「私が決め,社会が支える,のを当事者が支える――介助システム論」、安積他『生の技法 増補改訂版』第8章,pp.227-265 80枚
●1995b(1995/05/15) 「自立生活センターの挑戦」、安積他『生の技法 増補改訂版』第9章,pp.267-321
●1996/11/10 「だれがケアを語っているのか」、『RSW研究会 研究会誌』19:3-27
●1997/05/31 「「ケア」をどこに位置させるか」、『家族問題研究』22:2-14
●1998/02/01 「一九七〇年」,『現代思想』26-2(1998-2):216-233(特集:身体障害者)→[2000:87-118]
●1999/10/30 「資格職と専門性」、進藤雄三・黒田浩一郎編、世界思想社、pp.139-156
◇1999/03/31 「自己決定する自立――なにより、でないが、とても、大切なもの」,石川准・長瀬修編『障害学への招待』>,明石書店,pp.79-107
●1999/10/30 「資格職と専門性」、進藤雄三・黒田浩一郎編、世界思想社、pp.139-156
●2000/02/05 「選好・生産・国境――分配の制約について 上・下」,『思想』908(2000-2):65-88,909(2000-3):122-149→立岩[2006:137-150](抄)
●2000/03/01 「遠離・遭遇――介助について」,『現代思想』28-4(2000-3):155-179,28-5(2000-4):28-38,28-6(2000-5):231-243,28-7(2000-6):252-277→[2000:221-354] 関連資料
●2000/05/25 「過剰と空白――世話することを巡る言説について」,副田義也・樽川典子編『現代社会と家族政策』,ミネルヴァ書房,pp.63-85 「はじめに」&構成
●2000/10/23 『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』,青土社
●2000/11/20 「多元性という曖昧なもの」,『社会政策研究』1:118-139(『社会政策研究』編集委員会,発売:東信堂)
◇2000a 「死の決定について」、大庭・鷲田編[2000:149-171]→立岩[2008b]
●2000/10/23 『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』,青土社,357+25p. 2940 [amazon]
●2001/05/01 「高橋修――引けないな。引いたら、自分は何のために、一九八一年から」,全国自立生活センター協議会編[2001:249-262]
●2001/07/30「なおすことについて」,野口裕二・大村英昭編『臨床社会学の実践』,有斐閣 pp.171-196
●2001/07/30 「なおすことについて」,野口・大村編[2001:171-196]
●2001/01/25- 「医療と社会ブックガイド」,『看護教育』42-1(2001-1)〜毎月連載
●2003/03/00 「障害者運動・対・介護保険――2000〜2002」,平岡公一(研究代表者)『高齢者福祉における自治体行政と公私関係の変容に関する社会学的研究』,文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書(研究課題番号12410050):79-88
●2003/05/15 「介護保険的なもの・対・障害者の運動 1〜2」,『月刊総合ケア』13-05, 13-07:46-51(医歯薬出版)
●2003/11/05 「家族・性・資本――素描」『思想』955(2003-11):196-215 資料
●2004/01/14 『自由の平等――簡単で別な姿の世界』,岩波書店,349+41p.,3100 [amazon][kinokuniya]
◇2004/11/01 「より苦痛な生/苦痛な生/安楽な死」、『現代思想』32-14(2004-11):85-97→立岩[2008b]
●2004/11/00 「介護保険制度改革の方向」,『生活経済政策』2004-11
●2004/11/15 『ALS――不動の身体と息する機械』,医学書院,449p. ISBN:4260333771 2940円(税込)
◆2004/00/00 「障害者運動・対・介護保険――2000〜2003」(掲載予定:平岡 公一・山井 理恵 編『介護保険とサービス供給体制――政策科学的分析』(仮題),東信堂)
●2005-2006 「他者を思う自然で私の一存の死 1〜3」、『思想』『思想』976(2005-8):23-44,982(2006-1):80-100,982(2006-2):96-122(加筆・改稿のうえ立岩[2008a]に収録)
●2005/07/10 「障害者自立支援法、やり直すべし――にあたり、遠回りで即効性のないこと幾つか」、『精神医療』39:26-33(批評社)→2006/02/10 「障害者自立支援法、やり直すべし――にあたり、遠回りで即効性のないこと幾つか」(再録)、岡崎 伸郎+岩尾 俊一郎 編 20060210 『「障害者自立支援法」時代を生き抜くために』,批評社,メンタルヘルス・ライブラリー15,pp.43-54
●2005/08/25 「学校で話したこと――1995〜2002」、川本隆史編『ケアの社会倫理学――医療・看護・介護・教育をつなぐ』,有斐閣,pp.307-332 [了:20030716 校正:20050124]
●2005/10/01- 「家族・性・市場」,『現代思想』33-11(2005-10):008-019 から毎月連載資料
●2005/11/26 「位置取りについて――障害者運動の」、公開シンポジウム「ケアと自己決定」,東京大学大学院人文社会系研究科 21世紀COE研究拠点形成プログラム 生命の文化・価値をめぐる「死生学」の構築 於:東京大学・本郷 http://www.l.u-tokyo.ac.jp/shiseigaku/ja/yotei/yo_051126.htm →2006/11/10 「位置取りについて――障害者運動の」,東京大学大学院人文社会系研究科21世紀COE研究拠点形成プログラム「生命の文化・価値をめぐる<死生学>の構築」『ケアと自己決定――シンポジウム報告論集』,東京大学大学院人文社会系研究科,pp.15-23 et al.
●2005-2007 「良い死 1〜18」、『Webちくま』(加筆・改稿のうえ立岩[2008a][2008b]に収録)
●2005- 「家族・性・市場」,『現代思想』33-11(2005-10):8-19 から毎月連載
◇2006/03/00 「日本の生命倫理:回顧と展望――社会学から」、『生命倫理を中心とする現代社会研究II――熊本大学拠点形成研究B報告書』,発行事務局:熊本大学文学部総合人間学科 高橋隆雄,pp.58-65(シンポジウム「日本の生命倫理:回顧と展望」(2005/12/11 於:熊本大学)の記録)
●2006/07/10 『希望について』,青土社,309+23p. ISBN:4791762797 2310
●2006/11/10 「位置取りについて――障害者運動の」,東京大学大学院人文社会系研究科21世紀COE研究拠点形成プログラム「生命の文化・価値をめぐる<死生学>の構築」『ケアと自己決定――シンポジウム報告論集』,東京大学大学院人文社会系研究科,pp.15-23 et al. [報告:20051126 校正了:20060812]
●2006/12/25 「ケアとジェンダー」、江原由美子・山崎敬一編,『ジェンダーと社会理論』,有斐閣,pp.210-221 第12章本論1
●2007/09/10 「解説」,横塚[2007:391-428]
●2008a 「(題名未定)」,東京大学出版会
●2008b 「楽観してよいはずだ」,上野・中西編[2008]
●2008c 『(題名未定)』,筑摩書房
●2008d 『(題名未定)』,筑摩書房
●野口 裕二・大村 英昭 編 2001/07/30 『臨床社会学の実践』,有斐閣
●横塚 晃一 2007/09/10 『母よ!殺すな』,生活書院


UP:2007 REV:20080402
ケア  ◇立岩 真也 20080410 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)