*原稿送付:2007/10/22
*この文章は加筆・修正され『唯の生』第1章の一部になりました。
*立岩 真也 2008/07/19 「人命の特別を言わず/言う」
リプロダクション研究会 於:明示学院大学 http://homepage2.nifty.com/~shirai/html/repro.htm,
資料としては、立岩『唯の生』第1章を使用
■目次
主題の限定
もうやっているという話
α:意識・理性…が答になるとは思われない
別の境界β:世界・内部
人間/動物
まとめ
■注
★01 立岩[1997]は死の決定を主題的に扱った本ではないが、その序文で、自己決定を強く主張したその当人たちが死の決定については賛成しなかった、そのことについて考えてみたいと記して、考えたことを書いた。また[2000b]にはこの主題についての文章とインタビューが一つずつ収録されている。[2004a]の第4章「価値を迂回しない」では、「多くを要求する人」と「つつましやかな人」とを取り上げ(「尊厳死」が関わるのは後者)、本人の意思をそのままに受け入れないことがあることの正当性を述べ、その人にどう対するかを述べた。[2004c]では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の人たちが人工呼吸器をつける/つけないこと、生きる/死ぬことについて少し調べて書いた。新聞などに掲載された幾つかの短文を[2006]に収録した。
また論文では[2000a]で小松美彦の所論を検討・批判した。また[2004b]では清水哲郎の所論を検討・批判した。これらは[2008b]に収録される。
この主題についての本としては[2008a][2008b][2008c]。[2008a]は、[2005-2006]と[2005-2007]の一部に加筆し、構成も変えて本にしたもの。「他者を思う自然で私の一存の死」としてある「尊厳死」について考えたことを述べた。[2008b]は、[2005-2007]の一部に加筆、そして[2000a][2004b]等を収録したもので、歴史と現在についてすこしを記し、なされてきた言論・議論の一部を検討するものになっている。[2008c]は、[2001-]の一部に他に書いたものを加えた本の紹介の本。
★02 GCOE「生存学創成拠点」のウェブサイト(http://www.arsvi.com)に、「et」で始まるファイル名を持つ七二のファイル(計約一〇〇万字)他のファイルが掲載されている(二〇〇七年十月現在)。なお今後はこの主題に関する情報の集積・整理・公開は、COEの事業推進担当者の一人である大谷いづみが責任者となって行うことになっている。
★03 以下は[2001-]の数回でもいくらか紹介したピーター・シンガー、ヘルガ・クーゼといった人たちの議論を念頭において書かれているが、紙数の制約から、本章では著書・著作・議論の紹介、著書からの引用などを行うことができない。本章の三倍ほどになるその全体は[2008b]の一部になっている。
★04 デリダやアガンベンの書き物にもこの境界に関わる記述がある。それらについては[2008b]ですこし紹介する。ここでは、三島[2005]、美馬[2007]に関連する――というか、ものを考えていくヒントになる――記述がいくらかあることを、そして加藤[2007]で考えられていることと本章で考えようとしていることとに共通のところがあることを記しておく。
■文献
加藤 秀一 2007 『〈個〉からはじめる生命論』、日本放送出版協会
美馬 達哉 2007 『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』、人文書院
三島 亜紀子 2006 『児童虐待と動物虐待』、青弓社
大庭 健・鷲田 清一 編 2000 『所有のエチカ』、ナカニシヤ出版
立岩 真也 1997 『私的所有論』、勁草書房
――――― 2000a 「死の決定について」、大庭・鷲田編[2000:149-171]→立岩[2008b]
――――― 2000b 『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』、青土社
――――― 2001- 「医療と社会ブックガイド」,『看護教育』42-1(2001-1)〜毎月連載(一部を改稿の上[2008b]に収録)
――――― 2004a 『自由の平等――簡単で別な姿の世界』、岩波書店
――――― 2004b 「より苦痛な生/苦痛な生/安楽な死」、『現代思想』32-14(2004-11):85-97→立岩[2008b]
――――― 2004c 『ALS――不動の身体と息する機械』、医学書院
――――― 2005-2006 「他者を思う自然で私の一存の死 1〜3」、『思想』『思想』976(2005-8):23-44,982(2006-1):80-100,982(2006-2):96-122(加筆・改稿のうえ立岩[2008a]に収録)
――――― 2005-2007 「良い死 1〜18」、『Webちくま』(加筆・改稿のうえ立岩[2008a][2008b]に収録)
――――― 2006 『希望について』、青土社
――――― 2008a 『良い死』、筑摩書房 文献表
――――― 2008b 『唯の生』、筑摩書房 文献表
――――― 2008c 『生死本』(仮題)、筑摩書房 文献表
◆武川 正吾・西平 直 編 20080711 『死生学3――ライフサイクルと死』,東京大学出版会,256p. ISBN-10: 4130141236 ISBN-13: 978-4130141239 2940 [amazon]/[kinokuniya] ※ d01.et-t.
■言及
◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版