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シンポジウム「ケアと自己決定」

2005/11/26


   2005/11/26 公開シンポジウム「ケアと自己決定」 於:東京大学・本郷
   東京大学大学院人文社会系研究科 21世紀COE研究拠点形成プログラム
   生命の文化・価値をめぐる「死生学」の構築
   http://www.l.u-tokyo.ac.jp/shiseigaku/ja/yotei/yo_051126.htm(×)

   記録が発刊されます。校正依頼あり。締め切りは2006年8月
   送付しました→原稿

 *以下、送っていただいたもの

11月シンポジウム企画案

 主題 ケアと自己決定

 背景 今日「自己決定」ということばはさまざまな場面で使われるようになっており、それにともない論点も多岐にわたっている。医療の前線がいわゆる「感染病」であった時代には、治療の形態はもっぱら「隔離」であり、治療方法は当事者による選択の余地を残さないものであった。これに対して、「隔離」政策そのものが見なおされ、同時にまた、医療前線が「生活習慣病」へと推移するとともに、当事者について、長期にわたるQOLが問題とされる一方、いわゆる「自己決定」が論点として浮上してきたといってよい。習慣病の当事者は、おおむね「判断能力をもつ成人」であり、また感染病とはことなり、その決定は「他者危害の原則」を侵さないものであると見なされたからである。
 医療前線のこの推移は、古典的なバイオエシックスの成立とかかわっている。その結果、古典的な生命倫理における「自己決定」の問題は、大まかにいえばいわゆるパターナリズム批判とも関連して、「強い」主体による自己決定を原型として論じられてきたように思われる。自己決定はいわば、たまたま「少数者」(「成人」病患者」)に転じた、「多数者」(「健常者」)の問題としてとらえられてきたのである。
 けれども、自己決定の問題は、むしろ、伝統的な枠組みのなかでは「少数者」であり、「弱者」であると考えられてきた当事者にとってこそ、より深刻なものとなりうる。たとえばいわゆる「障害者」は、長くその自己決定権を部分的に、あるいは全面的に否認されてきた。今日でもなお「高齢者」の自己決定は、いくつもの要因によって制限されている。また、いわゆる終末期医療にあっても、当事者の判断能力に疑義がもたれるかぎり、自己決定の原則は一定の制約のもとに置かれているのが実情である。
 「障害者」や「高齢者」、「終末期医療」の当事者に視点を据えるとき、自己決定をめぐる問題と、いわゆる「ケア」にかかわる問題とが切りはなしがたいものであることが、あらためて浮上する。そこで問題となる「当事者」たちは、一方では広義のケアを必要とするひとびとであり、他方、ケアとは自己決定を支えるケアでなければならないと考えられるからである。
 そのように整理してしまえば、論点はたんに、「弱い」主体をめぐる問題、「少数者」にかかわる問題であるかにも見える。とはいえ、ひとはだれも無力で、他者のケアを必要とする存在としてまず生まれ、やがては年老いて、それぞれに死を迎える。その過程のなかで、あるいは疾病により、あるいは事故によって、身体の自由が制限されることになる可能性に対しても、ひとはほぼ平等に開かれている。論点は、だから、だれにとっても、じぶんが当事者となりうることがらにかかわっているのである。
 シンポジウムでは、「障害者運動」、「老人介護」、「終末期医療」のそれぞれの現場のただなか、あるいはその近傍で、問題を提起しつづけてきた論者を迎え、簡単な問題提起をしていただき、さらに、広い視野をもつコメンテーター二名によるコメントを承けて、フロアからの発言をもとめ、問題を考えつづけてゆくためのヒントを共有したい。

 提題者(予定) 立岩真也氏(「障害者運動」の視点から)
         川本隆史氏(「老人介護」論の視点から)
         清水哲郎氏(「終末期医療」の視点から)

 コメンテーター(予定) 上野千鶴子氏、鷲田清一

 対象 シンポジウム自体は事前申し込み等の参加要件をとくにもうけず、一般に解放する。主要な聴衆としては、現実的/可能的な当事者であるひとびと、医療従事者、福祉関係者、問題に関心のある学生、教員を想定している。

 日時と場所 2005年11月26日(土)、鉄門講堂あるいは弥生講堂

 タイムテーブル案 13:00〜14:40 開会挨拶
                 提題者の報告(各30分)

          14:40〜15:00 休憩

          15:00〜17:00 コメント(各15分)
                 討議
                 質疑応答
                 閉会挨拶


 ◆報告(学内広報)
  http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1328/3.html


UP:20051201 REV:20060726
自己決定  ◇立岩 真也
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