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二〇〇四年読書アンケート

立岩 真也 2005/02/01
『みすず』47-1(2005-1・2): http://www.msz.co.jp


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  広田伊蘇夫『立法百年史――精神保健・医療・福祉関連法規の立法史』(批評社)。過去のできごとは堆積していき、それをいちいちとどめておくというのもうっとおしいことではあるのだが、それでも、仕方なく必要なこともある。
  韓国女性ホットライン連合編、山下英愛訳『韓国女性人権運動史』(明石書店)。「男性は自分の経験を過剰に普遍化する反面、女性は”先に書く者の権力”を過剰に警戒する。」「レズビアンや障害女性の人権は、ジェンダーの矛盾には還元されず、既存の女性主義とは異なる方法と内容によって概念化されなければならない」(鄭喜鎮・日本語版序文より)
  寺嶋秀明編『平等と不平等をめぐる人類学的研究』(ナカニシヤ出版)。こまかには知らないが、知っているようなことが書いてあるのだろうと思われ、読まれない本がある。たしかに、それでかまわないこともよくある。さらに「共同研究の成果」となると、いよいよ気が進まない。こうした悪条件にもかかわらず、読まれてよい本もある。
  ここまで昨年の三点について書いた文章と同文。あと二冊。二〇〇三年に翻訳が出たことをついこないだまで知らなかったマーサ・ミノウ『復讐と赦しのあいだ――ジェノサイドと大規模暴力の後で歴史に向き合う』(信山社)。きっと見落しているのだろうが、二〇〇四年には規範理論の領域の本をあまり見なかったように思う。拙著『自由の平等――簡単で別な姿の世界』(岩波書店)の文献表にこれまで出た本のかなり多くを掲載。医療関連の本については、拙著『ALS――不動の身体と息する機械』(医学書院)の第4章・文献表。またホームページに各領域計二〇〇〇点ほどの本のリスト、本の情報を掲載中。
  「自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間の半分は、考えないこと。」スーザン・ソンタグ『良心の境界』(NTT出版)。


広田 伊蘇夫 20040725 『立法百年史――精神保健・医療・福祉関連法規の立法史』,批評社, 412p.ISBN:4-8265-0403-9 4515 [kinokuniya] ※ b d m **
◆韓国女性ホットライン連合 編 1999 『韓国女性人権運動史』,図書出版ハヌル=20040730 山下 英愛 訳,『韓国女性人権運動史』,明石書店,世界人権問題叢書51,653p. ISBN:4-7503-1945-7 7140 [kinokuniya][bk1] b d ※
◆寺嶋 秀明 編 20040420 『平等と不平等をめぐる人類学的研究』,ナカニシヤ出版,298p. ISBN:4-88848-829-0 3780 [kinokuniya][bk1] ※
Sontag, Suzan 20040330 木幡 和枝 訳,『良心の領界』(The Territory of Conscience),NTT出版,293p. ISBN:4-7571-4069-X 2310 [kinokuniya][bk1] ※ *
Minow, Martha 1998 Between Vengeance and Forgiveness: Facing History after Genocide and Mass Violence, Beacon Press, $16.00, 0807045071 2051 [kinokuniya] ※ *=(マーサ・ミノウ) 20030930 荒木 教夫・駒村 圭吾 訳,『復讐と赦しのあいだ――ジェノサイドと大規模暴力の後で歴史と向き合う』,信山社出版,275p. ISBN:4-7972-5081-X 3360 [kinokuniya][bk1] ※ *


UP:20050111 REV: 20081115(本文中参考文献から生存学創成拠点内ページへのリンク追加)
本・2004  ◇書評・本の紹介 by 立岩  ◇立岩 真也
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