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やわらかにとんがってつづいていかれますように

立岩真也 20020328 『ぴあねっと21通信』10:1-2


  1999年10月からですから、ぴあねっとも2年半になります。いちおうその運営委員の一人だった立岩です。4月から立命館大学で仕事をすることになり、京都に引越すことになりました。信州大学医療技術短期大学部(今年の10月に医学部保健学科になります)の教員(社会学)として松本で7年間暮らしました。その前に東京に16年いて、いわゆる「自立生活(運動)」をやってる人たちと関わりがあり、またその運動が当時の厚生省を動かしてできた「市町村障害者生活支援事業」についても、全国組織のシンポジウムなどに出たりといったことがありました。そんなことを知っていた人から声がかかって、この事業の立ち上げに際し、市役所で関係者に話をさせていただいたり、近藤秀夫さんに講演をお願いするのにいっしょに東京の町田市に行ったり、少しお手伝いさせていただきました。
  この事業は、障害がある当人たちが同じ当人たちに対して行なっている支援活動を公的・財政的に支援しようというもので、そうでない既存の組織の予算の一部になってしまったり、当人たちが動きにくい組織を行政の側が作ってしまったら意味がない。基本はただそういうことです。ですがこれが実際にはなかなか難しいのです。長野県内でもいくつかこの事業を行なう組織ができましたが、みながみなうまくいっているわけではありません。さいわい松本には長年の当事者たちの活動の蓄積がありました。これはとても大きなことです。そして、まずまずそれを活かすことのできる組織がなんとか立ち上がりました。これもよかった。
  運営委員としては、なにをしたということもありませんでしたが、実際の毎日の仕事をしているみなさんが主体的によい仕事をするのが第一なのですから、口を出すことがないというのは、それはそれでよいことでもあります。自賛しても仕方ないですが、かなりいい線を行けている、すくなくとも行きそうではあると思います。もちろん、もっと広く知られ、相談の数を増やして、という期待はあります。けれど、守秘義務があるから詳しくは報告できないけれど、ぴあねっとならではの、深い、濃い援助ができた例もあって、それはとても意味のあることだと思うのです。人生変わるような部分で援助できたらそれ1つに100万円とか200万円(ちなみに国の規定では1500万円が1団体の年間予算です)かかってもすこしも高くなんかないのです。裾野を広げながら、ここしかやらない、やれない支援を続けていってほしいと願っています。地域に根ざしながら、新しい風を起こしていってほしいと願っています。それはきっと、ぴあねっとならやれることです。


UP:2002
松本市障害者自立支援センター「ぴあねっと21」   ◇市町村障害者生活支援事業  ◇立岩 真也
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