◆D・ハラウェィ『猿と女とサイボーグ――自然の再発明』(青土社)。なんだかよくわからないままおもしろいといえば小泉義之『ドゥルーズの哲学――生命・自然・未来のために』(講談社現代新書)もそうなのだが、そしてそう言うと著者に叱られてしまうように思える点でも似ているのかしれないが、おもしろい。
◆A・セン『集合的選択と社会的厚生』(勁草書房)。センの本は、今年も『貧困と飢饉』(岩波書店)、『自由と経済開発』(日本経済新聞社)と出て、これらの方が普通にはお勧めなのだとは思うが、ここではこの一九七〇年の「社会的選択理論の古典」を。「不可能性」を「証明」したりしてしまうこの理論がこういうふうに使われるのだということを、そんな呑気な人は私だけかもしれないがはじめて、なんだかわかったような気がした。
◆藤正巖・古川俊之『ウェルカム・人口減少社会』(文春文庫)。私が言いたいこと(『思想』2・3月号に連載された)と中身も言い方も同じでないが、表題に同意。著者は「政策研究院」の方々なのだが、違う場所にいる人たちも、こういうことをもっと論じてものを言ったらよいのにと思う。