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NP●についての ◆×10

立岩 真也(信州大学医療技術短期大学部・社会学) 2000
『Uhta』(長野県NPOセンター



 ◆何を選んで書いてもどうせ長くなります。ならいっそ、と箇条書きでいくつも並べることにしました。ホームページ(http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm)に「NPO(非営利組織)」というコーナーがあり、私がNPOについて書いた文章も掲載されていますので、言葉足らずのところはそれで補っていただければと思います。
 ◆地縁と自発性について。これまで多くの活動は地縁に関わっていた。そういうものからこれからも縁は切れないだろうし、また切るべきでもないかもしれない。ただ、たとえば従来の町内会のような形態がそう機能しなくなっている、少なくともある種の活動は不得意としている。ではどうするか。これで決まりという答はなく人の数にもよるが(少ないとどうしても全員動員になる)、可能なところでは、より自発的な集まり、外部の人も取り込んだ集まりという色彩を強くしていくことが求められることになるだろう。
 ◆他方、どこにあるのかが関係なくてよいものもある。実際に人が集まるのはたまにでよく、Eメイルか何かで連絡がとれていればよい場合がある。そういう組織は東京にあってもよいが、長野県のどこかの村にあってもよい。また、各地域で集まるのはほんの小さな規模でよく、ただそれぞれをつなぐネットワークが広い範囲にあると都合がよいという場合がある。そういう組織の事務局などもほんとはどこにあったってよい。少なくとも事務局に関わる全員が東京にいないとならないということはない。田舎でできる地域を超えたNPOというのもありうるし、実際ある。もちろん地域で解決しないとならない問題は地域を基盤とするしかないのだが、こういう方向もありうるということだ。
 ◆お金のこと。民間だけどお金がないから行政からの助成を要望、という事情はたいへんよくわかるのだが、ほんとうは何が税金を使って行なわれるべきことで何がそうでないのかを考えるのが大切なことだと思う。論証は省くが、いわゆる福祉、環境、海外援助の分野については基本的には税金から支出されるべきであり、他方、「公共事業」(と呼ばれているもの)のかなりの部分は怪しい。だから本来税金を使うべき仕事については、それを目指した戦略を立てる。そしてそれが実現しても実は民間の役割は終わらない。公的なお金を使って、民間がやった方がよい仕事はたくさんあるからである。
 ◆続き。NPOの活動をやっていると、当然だが、組織の活動にお金をまわしてくれという方向に行きがちだ。しかしこれはちがうかもしれない。一人一人が生活に必要なものを選べるのが望ましいとすれば、原則論から言えば、一人一人がお金を社会から分配されて持っていて、それを自分が選んだ組織や活動に支払うというのが本筋ではないか。現実には難しいがどこかでこのことを考えに入れておく必要がある。考えに入れると、これまでの「地域振興」「産業振興」のやり方がよかったのか、疑問にも思えてくるだろう。
 ◆選ぶ前提としての選択肢の存在。民間活動の参入の一つの意義は多元化である。可能であれば複数あることが望ましく、独占は排するべきだ。これは既得権益があるからなかなか難しい。けれども、少なくとも、「ここには社会福祉協議会(多くの人はこの民間組織をお役所の一部だと思っている)がありますから」などと言われて引き下がらないこと、「なんにもわかっていませんね」と反論すること。
 ◆働く場としてのNPO。やりがいのあるおもしろい仕事だったら給料は安くてもよい。これは考えてみればあたり前のことである。そういう方向に意識として変わってくると思うし、実際若い世代はそういう方向に既に変わってきている。他方、退職した人がいるし、そしてボランティア活動、余暇活動、趣味としての活動がある。経験的には、後者は、思いいれが強すぎたり押しつけがましいところが多かったりする。そして前者、若い人は経験や知識がない。国内外のNPOの人の動かし方や育て方、組織を開かれたものとし機動的なものにするための工夫を知り、取り入れることの意味の大きな部分はここにある。
 ◆これに関係もして、教育。もっと世間のことを知らせるということをある程度意識的にやらないとならないのかもしれない。しかも、高校生が老人ホームにボランティア、よいことをしましたというのと(それも悪くはないのだろうが)少し違うふうに。大学生がNPOで研修できるようにする、それを大学教育の一環とする、等。米国等で行なわれている。(NPOの側にそういう受け入れの態勢がないとならないから、これはNPOの側にとっても負担なことでもあるが。)
 ◆続き。これからの大学は地域に貢献しないと生き残れないなどと言われる。少し脅迫めいた感じもするし、学問がなんでも役に立つものでならないと私は思わないが、それにしても貢献自体はわるくない。ただ貢献といって企業となにか共同開発するだけではない。これからの大学院の果たす役割の相当に大きな部分は、大学の教員(この人たちの数はもう足りている)を作り出すことではなく、NPOを拠点に何かしてみたい、あるいは既に何かしているという人に、知識を得たり他の人と議論する場を提供することだと思う。
 ◆最後に。もちろん、ただで使えるもの、安く使えるものは使いましょう。最初に紹介したホームページ(年間9万件ほどのアクセスがあります)には「これからあること」といったコーナー等々もあります。イベントのお知らせなどTAE01303@nifty.ne.jpまでメイルをいただければ掲載いたします。よろしくお願いいたします。


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