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資料

立岩 真也 1999/12/07
*「しょうがいを持つ人々の自立生活・自己決定と選択の福祉とは」(与えられた題)
フォーラム99 主催:レスパイト試行事業検討委員会・(社福)ライン工房
於:熊本県立劇場 のために送った資料



 当日、何をお話したらよいか。まだ絞れていません。以下は、私がなにをしてきているか、というより何を書いてきているかについて、少し紹介をさせていただこうと思って書きます。

◆ 『生の技法』*1という本を共著で出しています。この本の副題は、「家と施設を出て暮らす障害者の社会学」。1986年くらいからインタビュー調査をしたり、障害者団体の機関誌等を漁ったりして、調べて書いたものです。
 共著者の4人のうち3人は社会学者ですが、あと1人は安積遊歩*2です。彼女の第1章「<私>へ――30年について」だけでもまずは読んでいただけたらと思います。ぜったいおもしろいと思います。
 この本、いわゆる「自立生活運動」について書かれた本で、今から思うとずいぶん堅い文章を書いてるなと思いますが、あの時はそのようにしか書けなかった。1970年代以降の障害者運動、「青い芝の会」等の問題提起は、ここのところいろいろなかたちで取り上げられるようになっていますが*3、私たちが本を書いた当時,特に「社会福祉系」の本にはほとんど出てこなかった話で、調べておいてよかった、書いておいてよかったと思っています。
 といって昔のことばかり書いたのではなく、むしろ、その時に起こっていることを書こうとして、そのためにそれ以前の20年ほどのことを調べないとならなかったのです。なぜ「家出」をするのか。なぜ「施設を出る」のか。そして1995年には増補改訂をしました。初版が出た1990年と1995年の間に、各地に続々と「自立生活センター」ができていって活発な活動を始めます。とくにその部分を補いました。

*1 初版1990年、増補改訂版1995年、藤原書店、2900円
*2 =安積純子、著書として『癒しのセクシートリップ』、『車椅子からの宣戦布告――私がしあわせであるために私は政治的になる』、いずれも太郎次郎社、1800円、2100円)*3 『現代思想』1998年2月号、特集:身体障害者。私は「1970年」という論文を1つ書き、市野川容孝さんと「障害者運動から見えてくるもの」という対談を一つしています。また、石川准・長瀬修編『障害学への招待』、明石書店、1999年、2800年。私は「自己決定する自立――なにより,でないが,とても,大切なもの」という文章を書いています。

◆ 上記の本に関わったこともあって、私は「自立生活センター」の活動に少し参画することになります。東京都八王子市にある「ヒューマンケア協会」、東京都立川市にある「自立生活センター・立川」等。そしてこれらの組織の全国組織である「全国自立生活センター協議会」(熊本では「ヒューマンネットワーク・熊本」が会員です)。

 『自立生活への鍵 ―ピア・カウンセリングの研究― 』
  ヒューマンケア協会,編集担当:立岩真也,1992年9月,110p.,1200円
 ピア・カウンセリングについてある程度まとまった最初の報告書だったかもしれません。
 私は、編集の実務を担当しましたけれど、ピア・カウンセリングのことについては全然
 詳しくありません。

 『ニード中心の社会政策 ―自立生活センターが提唱する福祉の構造改革― 』
  ヒューマンケア協会地域福祉計画策定委員会,1994年8月,ヒューマンケア協会,
  88p.,1000円
 今回、主題(の一つ?)として提案していただいている「社会福祉基礎構造改革」です
 が、上記の報告書は、当事者の側からの「構造改革」の提起です。今でも、ここにまと
 められたアイデアは時代をけっこう先取りした、基本的に正しいものだと思っています。

◆ あと、様々な制度を紹介すること。これについては、まず次の本の出版のお手伝いを少しだけしました。

 『HOW TO 介護保障 ―障害者・高齢者の豊かな一人暮らしを支える制度― 』
  自立生活情報センター編,1996年9月,現代書館,150p.,1500円

 あとは『季刊福祉労働』第55号(1992年)から15回の連載「自立生活運動の現在」、それから私が今住んでいる長野県松本市の「自立支援センター・ちくま」の機関紙に第6号(1998年)から連載中の「知ってることは力になる」(今第16回の原稿を書いています)。
 ただこういう情報は私なんかよりもずっと詳しく役に立つことを知っているところがあります。それは「障害者自立生活・介護制度相談センター」です。私たちがやっているホームページ(後述)にもこのセンターの月刊の機関誌を全部掲載させていただいています。御利用ください。
 次のような報告書もあります。1985〜1987年の厚生省の心身障害研究の一環としてあったプロジェクトの報告です。私は1986・1987年にこのプロジェクトに参加し、報告書をまとめました。この報告書の内容も、それから上記の連載も、全部、ホームページに掲載します。どうぞよろしく。

 『療護施設・グループホーム・一人暮し――脳性マヒ者の3つの生活』
  赤塚光子・佐々木葉子・杉原素子・立岩真也・田中晃・名川勝・林裕信・三ツ木任一
  放送大学三ツ木研究室,19980320,166p.,1000円

◆ そのホームページです。<生命・人間・社会>という名前で、そんなにこの名前は気にいっていないのですがとりあえず、やっています。

  http://itass01.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm
  でやっていましたが、近々、あるいはすでに
  http://health.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm
  に移動(予定)。(まったく同じものが両方から見られるようになると思いますが)
  より新しいファイルが出て来る方をお使いください。

 なおホームページの更新情報等をお送りするメイルマガジンを1999年5月12日創刊(不定期刊)。ごく短い文書がたまに送られてくるだけですので、負担にはならないと思います。希望される方は TAE01303@nifty.ne.jp 立岩まで「メイルマガジン希望」とメイルください。お送りする方々のお名前・メイルのアドレス等、他の人にわからないかたちでお送りいたします。購読停止もお気軽に。機械的かつ迅速に対応します。

◆ そしてここ3年くらい、これは正直言ってあまりかかわりたくなかったのだけれども、
「ケアマネジメント」への対応に、少しばかり頭をつっこむことになりました。
 そもそもは、1996年に厚生省社会・援護局更生課と日本障害者リハビリテーション協会による『身体障害者ケアガイドライン――障害者の地域生活を支援するために』というかなり変なものが出され、これをなんとかしないとまずいということになって、それに協力するように言われ、そして「ケアマネジメント」の発祥の地の一つはイギリスだからじゃえロンドンに行こうということになって付いて行き(スポンサーは日本財団)、それで出たのが以下の報告書。日本の「ガイドライン」の検討と、イギリスの状況の報告、そして私たちの側からの「対案」です。

 『障害当事者が提案する地域ケアシステム――英国コミュニティケアへの当事者の
  挑戦』,ヒューマンケア協会ケアマネジメント研究委員会,
  ヒューマンケア協会・日本財団,199801,131p.,1500円

 この1年後には、次の報告書が出ます。私自身はこの報告書には関わっていません。一つのポイントは、Direct Payment, Direct Founding のシステムについてまとまった紹介がなされていること。このシステムはようするに、「政府が出したお金で自分がサービスを買う」というシステムです。

 『当事者主体の介助サービスシステム――カナダ・オンタリオ州のセルフマネジド
  ケア』,編集:鄭鐘和 発行:ヒューマンケア協会・日本財団,1999
  B5版・234p. 2000円

 そんなことをやっている間に、厚生省の方は、「障害者介護等サービス体制整備試行的事業」なるものを出してきて、それを受けて東京都では「東京都ケアサービス体制整備検討委員会」が置かれ、私もその委員の一人になってしまう。1998年度、1999年度と検討が続けられています。(中間報告、最終報告等、ホームページに掲載予定。)
 かなりストレスの大きい仕事です。ただ、こういうのを含めて、ここ何年かやってきたこと、やらされきたことは、結局、サービスの利用・供給システムをどう組みかえていくか、そして、サービスを利用しながらの生活を側面的に援助するシステムをどう作るかとういことでもあるわけではあって、大切は大切なんだと思います。そういうことを当日しゃべることになるのか、はたまた…、わかりませんがよろしくお願いいたします。

※以下の本を、著者割引で提供できるものは割引価格でお送りいたします。EメイルあるいはFAXなどで御注文くだされば、書籍小包で発送。本代+送料を同封の郵便振替用紙を使って御送金ください。必要であれば領収書等もお送りいたします。

『私的所有論』立岩真也,勁草書房,1997年9月
  6000+税300円 → 5000円
『生の技法 家と施設を出て暮らす障害者の社会学 増補・改訂版』
  安積純子・尾中文哉・岡原正幸・立岩真也著,
  藤原書店,1995年5月,366p. 2900+税145円 → 2500円
『医療社会学を学ぶ人のために』,進藤雄三・黒田浩一郎編,世界思想社,1999年10月
  2200円→1800円
 (私は「資格職と専門性」という章を書いています)
『障害学への招待 ―社会、文化、ディスアビリティ― 』
  石川准・長瀬修編 1999年3月 明石書店
  2800円+税 →2350円
★『障害当事者が提案する地域ケアシステム――英国コミュニティケアへの当
  事者の挑戦』ヒューマンケア協会+日本財団,1998年1月,131p.
  1500円
★『当事者主体の介助サービスシステム―カナダ・オンタリオ州のセルフマネ
 ジドケア』 編集:鄭鐘和 発行:ヒューマンケア協会・日本財団,234p.,1999年
 2000円 → 1600円
★『NPOが変える!? ―非営利組織の社会学』
  千葉大学文学部社会学研究室+日本フィランソロピー協会,366p,
  1996年3月,363p.,1500円
★『自立生活への鍵 ―ピア・カウンセリングの研究― 』
  ヒューマンケア協会,1992年9月,110p.,1200円
★『ニード中心の社会政策 ―自立生活センターが提唱する福祉の構造改革』
  ヒューマンケア協会,1994年8月,ヒューマンケア協会,1000円

    立岩 真也
   TAE01303@nifty.ne.jp


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立岩 真也  ◇障害学 
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