HOME
>
Tateiwa
>
私の死
立岩 真也
(信州大学医療技術短期大学部) 1998
日本学術振興会『井口記念人間科学振興基金』第29回セミナー
抄録集原稿
cf.
資料
「死の自己決定(権)」について考えることにする。死にたい,あるいは脳死状態で臓器を贈与したいというある人の願望があったとして,それは否定されるのか。このことに関わる考察として小松美彦『死は共鳴する』(1996年,勁草書房)がある。彼は死の自己決定について,根本的に批判的・否定的である。このセミナーで小松と私は前後して報告することになっている。よい機会だと思うので,小松の議論を検討し,その上で,私の考えを対置することにしようと思う。
私は,小松の議論の中に含まれる(はずだと考えられる)ことから,小松の立論が否定されうると考えている。このことをまず示す。そして私は,死の自己決定について否定しつくすことはできないと考えていると同時に,安楽死を肯定しない立場があると考えている。そこで次に,このことについて述べる。
なお,自己決定について私の基本的な考えは拙著
『私的所有論』
(1997年,勁草書房)第4章3節に記した。他の箇所にも安楽死等についての言及がいくつかある。また,拙稿「都合のよい死・屈辱による死――「安楽死」について」(『仏教』42号,特集:生老病死の哲学,1998年1月,法藏舘)に安楽死をどう考えるか,簡略にではあるが,記した。そして今回行う報告は,もっと考えられ文章化されて,「私の死」(仮題)(所収:大庭健・鷲田清一編『所有のエチカ』,1998年?,ナカニシヤ出版)として公刊される。また関連情報を
http://itass01.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm
から得ることができる。
略 歴
1960年 生まれ
1983年 東京大学文学部社会学科卒業
1985年 東京大学大学院社会学研究科修士課程修了
1990年 同博士課程単位取得退学
1990年 日本学術振興会特別研究員(PD)
1993年 千葉大学文学部行動科学科社会学講座助手
1995年 信州大学医療技術短期大学部専任講師
1997年 信州大学医療技術短期大学部助教授(現在に至る)
主 著
『私的所有論』
(勁草書房,1997年)
◇
安楽死
◇
小松美彦
◇
立岩 真也
TOP
HOME (http://www.arsvi.com)
◇