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大学に通いながら世間を知る

ボランティア活動と大学

立岩 真也 1998/12
『医短Tomorrow』(信州大学医療技術短期大学部)


 ここのところボランティアを大学の履修科目の中に入れてみるという試みが行われるようになってきています。なんででしょう。よいことをしたらそのごほうびに単位をあげようということ、ではない、と思います。世間=社会を知ってもらう、世間=社会で働くことをしてみてもらう、そのためにボランティアや、あるいは(日本ではこのパターンはあまりありませんが)非営利組織等でアルバイトとして働いてきてもらう。そんなことだと思うのです。大学に入りたての学生は、自分の家族と友だちと高校までの学校しか知らない。これでは困るし、他の講義、たとえば私がやっている社会学にしてもリアリティもって聞いてもらえない。ほんとうは大学というのはしばらく「実社会」でもまれてからやって来るのがよいのかもしれないのですが、しかし今の(日本の)現状ではなかなかそうもいかないから、その代わりに大学に来ながら少し体験してもらう。
 そしてその体験の場は、皆さんが将来就職するだろう場所と少し離れたところの方がよいかもしれません。ある「業界」に入ってしまうと、なかなかその外のことを知ることができないし、その業界の見方でなんでも見がちになってしまう。それはその職業をやっていく上でもよくないと思います。例えば病気の人は病院にいるだけではなくて、医療というサービスを受けているだけでなくて、いろいろな生活や活動の場がある。そこのところがずっと病院で働いているとよくわからない、よく感じられないということがあります。だから、病院等での実習はもちろん必要だけれどもそれと違う体験をしておいてもらおうということです。今回掲載された文章にも書かれていることですが、「いつもと違う場」では学校や職場ではなかなか得られない人との関係を得ることもできます。だから、このまま学校から就職先というコースだったら関係することがないかもしれない、そういう場に出かけていってらいいんじゃないかと思うのです。
 今回寄せられた文章はいずれも「イベント」に関係するものでした。イベントってそれ自体がいつもと違う空間ですから、違うことを体験することができてよい。でも、そういうのとは違うところでまた別のことをやっているところもあって、それもおもしろい。障害をもって暮らしてる人にも、パラリンピック全然関心ない、とか、ああいうもちあげられ方はきらい、とはっきり言う人もいたりします。もちろんそう言われたら、私は好き、って言えばいいのですが。そんなやりとりができたりする、こんな人もいることがわかるということもよいことなんじゃないかな、と、思います。
 (ホームページに、様々な非営利組織(NPO)についての情報が、長野県内はまだ少ないですが、掲載されています。ご覧ください。)



ボランティア  ◇立岩 真也
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