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「『心身障害者対策基本法』改正にむけた私たちの態度と対案作り」にむけたメモ

立岩 真也 1993/03/19 『国連・障害者の10年』研究会


■『国連・障害者の10年』研究会
「『心身障害者対策基本法』改正にむけた私たちの態度と対案作り」にむけたメモ

                                1993.03.19
                                立岩 真也

※(またもや)当日参加できません。そこでとりあえず思いついたことを列挙しました。
※この法律全文のMS-DOSテキストファイルがあります(40字×160行程度)(同じような ものが障害者関係の他の法律についてあります)。パソコン(&MS-DOS対応ワープロ) で読んだり,編集したり出来ます。必要だったらお送りします。その他,なにかやれる ことがあったらやります。(出れる時には研究会に出ます)
              181 三鷹市上連雀4-2-19  phone & fax 0422-45-2947

★「今回の改正」?について
  …大賀さんからいただいた「官庁速報」しかないのでなんだかよくわかりませんが

・「障害者対策」より気の利いた言葉はないのか

・障害者を「厳密に定義」、がなぜ必要なのかわからない。

・「障害者の日」の休日化には全然意義を感じない。

・「完全参加と平等」「自立」「人権」
 「自立」という言葉には危ういところがある。実際、この法律では変な具合に使われて いる(後述)。この言葉を使うんだったら、言葉の使い方を問題にすべき。

・「権利宣言」というのはどういう位置づけになるんでしょう?

・どうせ変えることに決まっているのだったら、良くできるところから良くすればばよいと思う。(これで終わってしまって、以後、変更が難しくなると困るけれども)審議過程へのどういうアクセスの仕方があるのはわからないのでなんとも言えませんが

  …以下は今回の改正(案)を離れて少し思うこと

★どういう性格の法律か(法律とすべきか)? 

本当に必要なのは(居住・交通・教育・就労に関する)「差別の禁止」を定めた法律だと思う。現行の法律はこういう性格のものではない
 ・目的自体を変えるか ・この目的の下に、差別の禁止を規定するか
  どっちも現実には難しいと思いますが
  例えば第4・5条を「福祉の増進」ではなく…「差別してはいけない」といった主旨  のものに
  第12条(教育)・第15条(雇用の促進)・第22条(住宅の確保等)についても同様
 ※例えば第5条は要するに「みんなでやってあげましょう」ということであって障害者  個人の権利が擁護されねばならないという条文ではないではないか。
 ※「しなければならない」→しないとどうなるのか?
  「差別してはいけない」→差別があったら、この法律によって、その解除を求めるこ   とができる かも

(目的)
第一条 この法律は、心身障害者対策に関する国、地方公共団体等の責務を明らかに
するとともに、心身障害の発生の予防に関する施策及び医療、訓練、保護、教育、
   雇用の促進、年金の支給等の心身障害者の福祉に関する施策の基本となる事項を
定め、もつて心身障害者対策の総合的推進を図ることを目的とする。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国及び地方公共団体は、心身障害の発生を予防し、及び心身障害者の福祉を
増進する責務を有する。
(国民の責務)
第五条 国民は、社会連帯の理念に基づき、心身障害者の福祉の増進に協力するよう
努めなければならない。

★「発生予防」は不要

 第1(↑)・4(↑)条
 第9条(第2章「心身障害の発生及び予防に関する基本的施策」…条文は第9条だけ)

 「発生予防」そのものを認めるか否かという点で、無論議論のあるところだが
 「現に生きている障害者」に対する法律としてこの法律がある(「障害者対策」なんだ からあたり前だ)という言い方で言い張っていくという手があると思う。

★「自立」という言葉の危険性

・(自立への努力)
第六条 心身障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動
に参与するように努めなければならない。
(2)心身障害者の家庭にあつては、心身障害者の自立の促進に努めなければなら
ない。
→余計なお世話である。障害者だけを取り出してこんなことを言わねばならない理由はな い。
・「重度の心身障害があり、自立することの著しく困難な心身障害者」(第11条(重度心 身障害者の保護等)
・「心身障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免そ の他必要な施策を講じなければならない。」(第23条(経済的負担の軽減)↓)

 要するに「お金」を持つ(稼げる)こと(+自分で身のまわりのことができること)を 自立と言っているだけなのである。
 こういう紛らわしい言葉は使わない方がよいかもしれない。もし使うんだったら正しく 使うべきだし、その前に、後述する様々な言葉、というか基本的なスタンスというか、 を改めるべきだ。

★「家族」

・「心身障害者の家庭にあって……努めなければならない」(第6条(2)↑)

・「身障害者及びこれを扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は心身障害者の自立の 促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じ なければならない。」(第23条(経済的負担の軽減)

・「心身障害者の父母その他心身障害者の養護に当たる者がその死後における心身障害者 の生活について懸念することのないよう」(第24条「施策に対する配慮」)

 (少なくとも成人以後)障害者は親に養護・保護・扶養されるのではないことが基本と されるべき
 民法上難しいのは確かだが この法律内部の不要な文言を削除することはできる

★所得保障・生活保障

・「心身障害者の生活の安定に資するため」(第20条(年金等))ではだめ。
 生活が保障されねばならない そのために… といった規定でないと

★用語(の問題ではすまない)
 基本的に、当事者が選んだことをやろうとすることを保障する、支援するという構えに なっていない。

・「処遇」(第3条(個人の尊厳))

・第10条(医療、保護等)「施設に収容し、又は通わせて、適切な保護、医療、生活指導」

・他にも「保護」(第11条(重度心身障害者の保護等))
・「指導、訓練」(第13条(訪問指導等) 他に第17条

・「文化的意欲を起こさせ」(第25条(文化的諸条件の整備等)

★「教育」

 「その年齢、能力並びに心身障害の種別及び程度に応じ」(第12条(教育))→不要

★「障害を持つ当事者の参加」を規定すべき

・(中央心身障害者対策協議会)
第二十七条 厚生省に、中央心身障害者対策協議会(以下「中央協議会」という。)
を置く。
…略…
第二十八条 中央協議会は、委員二十人以内で組織する。
(2)中央協議会の委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちか
ら、厚生大臣の申出により、内閣総理大臣が任命する。
…略…
(4)中央協議会の専門委員は、学識経験のある者のうちから、厚生大臣の申出に
より、内閣総理大臣が任命する。
…略…
第二十九条 …略…

・第30条(地方心身障害者対策協議会)についても同様
 地方協議会の設置が義務づけられても(自民党案)、当事者を排除した、役に立たない ものであっては意味がない(か有害)。

★「相談」「助言」…における当事者の参画

・第16条(判定及び相談)、第17条(措置後の指導助言等)
 「相談員」というものが何の役にも立っていないという現実
 当事者の間で相談業務、自立生活プログラム等をやっているところが増えている

・「国及び地方公共団体は、国民が心身障害者について正しい理解を深めるよう必要な施 策を講じなければならない。」(第26条(国民の理解))
 →(それはそれとして別にいいと思いますが+)正しい理解?を深めるための活動に対 する援助

・cf. 第25条(文化的諸条件の整備)は「文化、スポーツ等に関する活動の助成その他必 要な施策を講じなければならない」という形で、活動助成を規定している。


UP:20090201 REV:20161031
立岩 真也
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