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ピア・カウンセラーへのアンケートの結果・1 <米国>

立岩 真也 1992/09/25
『自立生活への鍵――ピア・カウンセリングの研究』,ヒューマンケア協会


 ヒューマンケア協会は,1980年8月,米国旅行の際にヒューストンCIL,ILRU(Independent Living Research Utilization ヒューストン Margaret Nosekが研究部長),PARAQUAD(ミズーリ州セントルイスの自立生活センター 所長はMax Starkloff)を来訪し,主旨を説明し,質問紙を置いて,この三つの機関及び他の自立生活センターのスタッフとして活動しているピア・カウンセラーの回答を依頼し,郵送してもらった。得られた回答数は15だった。
 以下はこれを簡単にまとめたものである。各質問に自由に答えてもらうというかたちをとっているため,もともと集計が困難であるということもあり,以下は,比較分析といったものではなく,カウンセラー達が何を感じているのか,何を私達に伝えたいのか,カウンセリングをどようなものと考えているのか,どのようなものとして行われているのか,回答そのままに近いかたちで掲載したものである。ただ,いくらか整理し,適宜省略などを行って,並べ換えてはある。一人の回答者が複数のポイントをあげている場合が多いので,その合計は,回答の数と一致するものではない。翻訳は阿部司氏と立岩が行った。一部読み取りが困難なものがあり,正確には訳せていない。この意味でも,あげられる数は正確なものではない。

 まず,回答者の属性は以下のようなものである。問1以降で付されている番号は,ここでの番号に対応している。

01 4肢マヒ              女 AdLib, Inc. ILCenter
02 ポリオ               男 モンタナ・Independent Living Project
03 先天性奇形             男 サンフランシスコ自立情報センター
04 先天性障害左腕が短く肩関節機能不良?女 シェナンドーILセンター
05 視覚障害              女 P・A・C・E,CIL
06 視覚障害              男 ノース・フロリダCIL
07 視覚障害              女 ワシントンCIL
08 ORTHOPEDIC         女 PARAQUAD(バラクォッド)
09 ORTHOPEDIC NEURO(MS) 男       〃
10 筋ジストロフィー          男      〃
11 風疹による生まれつきの聴覚障害DEAF 男      〃
12 脳性マヒ              男      〃
13 聴覚障害 脳性マヒ         女      〃
14 障害なし 障害を持つ人と結婚    女      〃
15 聴覚障害              女 PROGRESSIVE INDEPENDENCE
 障害を持つ人の家族が1人いる他は全て障害者。視覚障害3名,聴覚障害3名。性別では男性7人,女性8人。全員が自立生活センターのスタッフとして働いている。7人がパラクオッドに所属。

■01「どれくらいの期間ピア・カウンセラーをやってきましたか」 回答数15
 長い人で15年(14),以下11年(11),10年(06),9年(10),8年×3(03・07・13),5年×2(05・12),4年(15),3年×3(01・02・04),1年×2(08・09)。平均は6.3年。ピア・カウンセリングの歴史が長い分,当然のことながら,日本に比べて経験年数は長い。

■02「なぜピア・カウンセラーになったのですか」 回答数15
 「問題解決を助けるが好き」10,等援助したい(02・15),援助するのが好き等といった回答が以下の7人を含め10人。「人の相手をするのが楽しい」01「他の障害者と一緒に仕事をし,彼らの問題解決を助け,自己擁護のためのサポートを提供したかった」03「自分の能力で創造的エネルギーを生かして,人を何らかの形で助けたかった」04「他の障害者の障害への適応(障害の受容)を援助することに興味を持ったから」06「MSに関係する問題を解決するのを手助けしたい」09「私を助けてくれた人に多くのことを負っている,助けが必要な人に同じことをしたい」11「Paraquadにやってくる脳性マヒの人に対するロール・モデルとして活動するため」12
 次に,上の回答と重なるが,分かち合うこと(share)をあげた人が5人と多い。「視覚障害を持つとはどういうことなのか,同様の障害を体験しつつある人々と共有できるから。私自身が役に立つと感じた生活上のテクニックや,自助の方法,共感などを与えることもできる。その基礎は,自立生活の哲学もしくは障害者の生活に直接影響する議論を障害者がコントロールすることへの配慮及び共感」05「私の経験をシェアするため」13「障害を持つ人間として私が学んできたものを他の人々と分かち合うため」08「障害をもって生活する上での経験を別の障害を持つ人と分かち合うことが,私自身にとって力になると感じる」10「彼等が事に気持ちよく接するには,ロール・モデルになるためには,誰かの障害を共有するのに替わるものはない」09
 他には以下のようなものもあった。「自分も障害者なので,彼らに何が起きているのか理解できる。必要とあれば機関に紹介したり,話を聴くだけでよければ聴いてあげられるし,権利擁護活動もできる。彼らから学ぶこともある」01「四肢マヒの私の夫と結婚したいと思った時,障害を持つ男性と結婚している女性がとてもサポーティブだった。それは私にとってとても価値があった。なぜなら,障害者の潜在能力に気付いていない他の人達が私が彼と結婚することを思いとどまらせようとしたから」14

■03「どこで,どれくらいの期間,ピア・カウンセリングを学びましたか」 回答数15
 @所属するセンター等でのセッション,プログラムを受けたと答えた人が,Bの3人を含め8人と多い。「36時間のピア・カウンセラー養成講座を受講」03「Paraquadの訓練プログラム,14時間のコースで勉強」14「ウィスコンシン州マディソンの自立生活センター,Access to Independeneesでピア・カウンセリングのプログラムを4セッション」05「8〜10時間のセッションで初期トレーニング。その他専門的ワークショップ,トレーニングセッション」15「毎週2〜4時間のカウンセリングの訓練をセンターで。それ以前はカウンセラーとして働いていた。カウンセラーとピア・カウンセラー両方の職務を行なう立場だった。現在はセンターの常勤職員。ボランティアとして働いたこともある。有給で働くのがベストと思う」09
 Aまた特に訓練を受けていないが,自立生活センターで働くことの中で身につけたと答えた人もBの1人を含め5人いた。「知識は経験から得ている。ワークショップに参加して情報をセンターやクライエントのために持ち帰る」01「自立センターでの仕事やケア提供関係の様々な活動を20年以上やった経験から」02「特にピア・カウンセリングのための正式の訓練は受けていないが,私のところの自立生活センターのプログラムには親しんでいる」08「3か月間仲間を観察することによって学んだが,私が何を教えるのかの大抵のことは経験を通してわかっている」07
 Bこうした訓練・研修と同時に,あるいはそれを受けず(1人…ただしこれもAに含まれるとも言えよう),大学で学んだと答えた人が5人いた。「ピア・カウンセラーとしての正式の訓練を受けたことはない。しかし職業的なバックグラウンドとしてソーシャルワークの修士号を取っている」13「どこでも研修は受けていない。受けたいと思うが,センターのあるのが田舎なので無理。障害を持つ人々に関する心理学や教育の講座,職場でのワークショップは受けた。大学で勉強もしたが,真の経験は,毎日,人々を相手にする仕事の中から得ている」14「大学院で心理学を専攻していたが,研修場所を探していた時,W(ワシントン)CILの話を聴く。研修をWCILで行ない,ピア・カウンセリングは職場で身につけた」10「PARAQUADで約11年前にピア・カウンセリングのワークショップに参加した。しかし,これまでずっと聴覚障害をもって働いてきた多くの経験がある。カウンセリングの修士号を持っている」11「ミネソタ州の Mankato州立大学のカウンセリングの修士号を取るための実習生の期間の一部としてピア・カウンセリングを勉強。実習生の期間はミネソタ州の自立生活センターで」12

■04「どのような種類の方法 method をピア・カウンセリングに応用していますか」
■05「なぜ上記の方法をピア・カウンセリングで使うのですか」 両者回答数13
 カウンセリングをする時の態度として答えた人が多い。日本での質問に対する反応と同様,どのように答えたらよいかとまどった人が多かったようだ。問05を,ある方法の他の方法に比べた場合の利点としてでなく,「カウンセラーとしての経験から」06「問題解決のため」09等と回答してきたものもあった。これらは適宜省いている。
 答え方が分散したのは,ピア・カウンセリングが特別の手法によって定義されるようなものではないことにも由来しているだろう。「特にない。クライエントのニード,どんな人かに合わせて,ピア・カウンセリングを行なう」理由は「人によって事情が大きく違うから。忍耐を必要とされることも,厳しく対処すべき時もある。カウンセラーの必要とされる度合いも違う」01,とか,「ここで言いたいことがよくわからない。私達の仲間は障害者や障害を持つ人の家族の成員である。彼らだけが彼らが経験してきたことについて議論する」14,理由は「誰よりも彼等が取り組むべきことについて理解しているから。それゆえに,ピア・コンサルテーションを求める人は彼らのピアを信じることができその自己評価を再び高めることができるのだ」14といった回答があったのはこのことを語っている。
 多かったのは,体験の共有,共感,分かち合いといった回答(4人)。「効果的な傾聴(listening) 及び共感を育てることによって関係作りをすること。経験の共有を行なうが,個々の状況や性格の違いも尊重する」05,理由は「上記のやり方がうまくいくこと,また決定権を当事者が握るという自立生活哲学にも合致することを発見したから」05,「共感,コミュニケーション,体験の共有」06,「分かち合うこと」11,「共感を示すこと。状況を共有すること」09
 その他の回答のいくつかを参考のために記す。「障害者と1対1で1時間のミーティングをする。私の手法は,個人の問題認識や問題解決技能強化の援助と,適当ならば目標達成のための期限設定の援助。このやり方はクライエントによる選択を重視し,個人が感情を共有できるようにし,障害克服のための技能強化を助ける」03→理由「集中的に,時間を限ったやり方が一番効果的」
 「生活上の問題の解決を私に求めるような状況には距離を置くように努めているが,なかなか難しい。というのは,私は,自立の必要を強く信ずるあまり,相談者の自立をめぐる問題の現在の情緒的処理能力以上に激励をしてしまいがちになるからだ。多くの人々にとって,自分ができると考える以上にカウンセラーが「プッシュ」してくれるなら,大いに助けとなるが,どの人にもそれがうまくいくとは限らない。私は相談者が自分の欠点を受け入れるように奨励するが,それは,実践の一部としてであって,夢を諦めさせるためではない」04→理由「自分の生活に変化をもたらすのは自分しかいないとことを認識する手助けをしたい。援助や,装具の提供,激励などはできるが,自立自助の精神や,最終的決定・責任はクライエントから来るものでなければならない」04
 「私は自分自身を「ピア」すなわち,同様の感情や経験を持つもう一人の人物と見なしている。そうした感情や体験はクライエントと共有する。また,学問的訓練も受けているが,それは,人を総合的に見る時,また障害その他が本人にどんな影響を与えているかを遠近法で見るのに役立つ。精神的・物理的障害にもくじけない,クライエント固有の「自己」発現を援助する。すなわち,社会的偏見ではなく,自らの価値に基づく自己評価である。私は,クライエントに,自分も幸せになれること,障害のせいで,そのことが妨げられはしないことを学んでほしい」07
 「他者に対してインフォーマルで傾聴しようとする態度をとる。彼らがどういうことあるいは問題と闘っているのかを表現するよう力づける。手や行動やあるいはどのようにするかのデモンストレーションといった方法を使う」08その理由として「人を快くすること,裁かれているということなく自由に質問をしたり自分の感情を表現しようとする気にさせることが非常に重要だと思う。別のやり方でものごとをいかにするかを体をつかって示すのは問題解決のために有効」08。「参加者が議論を方向づけることを認めること。問題解決の「方法」を教えるあるいはデモンストレートすること」09「傾聴,そしてケア」11
 「最初のミーティングは他の人を知る機会,どこに住んでいるか,何をしているか,家族のことや,どのような娯楽や趣味をもっているかを知る機会である。私はまた自分自身についての同じ情報を分かち合い,そして互いに一緒に話している人が話したいどんなことについても議論する」10→理由「一緒に仕事をしている私と同じレベルの人に当てはまると信じるから。それは経験と感情を共有することをおおいに容易にする」10

■06「どのような状況下でピア・カウンセリングは効果的ですか」 回答数14
 「どんな状況でも」と答えた人が4人(13他)。他にはカウンセリングを受けようとするクライエントの積極的な姿勢をあげた人が7人と多い。「その気になった時」2人。「多くの状況で。しかし,特に参加者が参加することを「選ぶ」場合」09「積極的な変化を求め自立を高めようとする時,彼らは変わることができるのだということ,彼らが感じる恐れが正常なものであること,をわかるためにサポートを必要とするだろう」10「対象者が自立を本当に理解し,信念を持ち,生活に望むものを得ようという気になった時,誰か話を聞いてくれる人,選択肢を見つけるのを助けるだけで,何もかもしてくれるわけではない人を必要とする時」04「ピア・カウンセリングを求める時。専門的な心理学的カウンセリングが必要な場合は,ピア・カウンセリングは有効でない。(しばしば,補助的に利用されるが)クライエントが自立を強く求める場合,あるいは自分の障害を心地良く思っていない場合などは有効」05「障害者が人生からより多くを引き出そうとするのを助ける時」06
 次に,新たに障害を持った時という状況をあげた回答が多い(3人)。「突然の事故などで障害を持った時」01「障害者になったばかりで,同じ障害を持つ人々と交流する適切な機会に恵まれなかった人の場合,有効なことが多い」05「新たに持った障害の受容に困難のある人あるいは自立技能習得の必要がある時」15
 またカウンセリングを行う場,設定を回答した人も4人いる。「グループや個人,時には家族」07「救急のあるいはリハビリテーションの病院あるいは施設でも行うこともできる」08「一対一のディスカッションあるいは一人または二人のピアとの障害者を持つ人との小さいグループがとても効果的。私達は私達のオフィスで人々の家で病院でナーシング・ホームで行っている」14「どんなところでも! セッションの中で目と目のコンタクトを持つことは本質的。間に机やテーブルがないようにすること」11
 他に「自宅で生活するために個人的介助が必要な時。様々な理由がある」01「短期的なサポート提供や,自己主張・問題解決の技能を教えるのに効果的。個人の努力の評価にも役立つ」03「似たような障害を持つ二人の人が共通の経験を「分かち合う」時に」12

■07「どのような種類のクライエントに対してピア・カウンセリングは効果的ですか」
 回答数14。「新たに障害を持った場合」05という問06と同じ回答が1つあるが,他は「進んで求める人」等,クライエントの積極性をあげた人が多く12人。「自立技能の向上を願う,障害を持つあらゆる人。彼らは自分の目標を達成してしまえば,以降は自力でプログラムを立てられるようになる」01「クライエントが他の障害者と障害を持つが故の体験を自分から進んで共有する用意のある時,効果的。また,仲間と話をする機会も必ず作ってあげなければならない(家族や,施設の職員などに妨害されてはならない)。彼(彼女)が生活上の問題を自分から進んで検討し,様々な選択を考慮する気持ちがある時,ピア・カウンセリンクは効果的となる」03「新しいことを学び,物事を自分でやることに動機と興味を持っている人」04「自分自身を向上させようという気持ちのあるクライエント」06「意義のある人生の選択を必要としている/求めている,あるいは変えようとしている・・例えばもっと自立したライフスタイルや,新しい仕事」08「好奇心があり,積極的で,障害を人生のより小さいファクターとしようとしている人が理想的だが,意欲のある人なら誰にとっても利益がある」09「新しいアイディアに対してオープンであり他者から学ぼうとする人。クライエントが自身でピアに話したいに違いない,それは他に強制されるものではない」10「ピアに合うことに興味を持つ人」12「メッセージに対して動機をもち受容的である時」13「ピア・コンサルテーションを求めるように動機づけされている時」14「自立を望むクライエント」15「本当に助けを必要としている人」11
 逆に,「自分は不幸だとか,不幸でなければならないと思っている人」07という答もあった。

■08「ピア・カウンセリングを行う時,どのような態度をとりますか」 回答数14
 判断を避ける,巻き込まれ(involved)ないという回答がまず3人。「安定的態度を保つよう努める。まず自分の問題を良く知る。他人の問題に巻き込まれない」01「なるべく判断を避け,私とクライエントの体験は違うかもしれないと思うようにしている」03「判断を下さず傾聴」07
 他には,クライエントを受容できるような,リラックスさせられるような態度,積極的な態度,そのために自身が自身に対して肯定的であることがあげられる。「楽しく,興味を持ち,明るく」06「ユーモアのセンス。相手が私といて楽しく感じられるようにしたい」04「批判的でなく恩きせがましくなく開かれた,友好的な態度を保つようにする。そうすることで考えや経験を共有することができ,互いに学ぶことができる」08「思いやり。クライエントに対する信頼,信用,安心感を伝えるようにする。また,一緒にやれば必ず良くなり,問題が解決できることを確信させる。クライエントが,本来そうであるように評価されていると感じさせること」07「彼らを支援したいのだということ,そしてその人の価値,信念,物事のやり方を尊重しているということ,を示すような他者に対する関心を持つ態度」10「ロール・モデルであること」11・13「積極的なケアリング,援助」15「障害とともに暮らすことへの誠実なアプローチ,積極的な姿勢。自分自身について良く感じていない人は良いロール・モデルではなく,ゆえによいピアではない」14
 またピアの関係も強調される。「相手と共にいようと努める。カウンセリング中は他のことを頭から追い出す」04「「ピアの関係」を発展させるのが基本的態度。状況に対する私の対処法がクライエントの選択と必ずしも一致しないことを常に心に留めておく。「ピアの関係」はパートナーシップであり,自分自身はファシリテイター(援助者)」05「私達は多くのものを共有しているゆえ有意義なあり方で誰かのために「そこにいる」ことができるのだということ」09

■09「ピア・カウンセリングを行う時,何が一番大切ですか」回答数14
 多かったのは「聞くこと・傾聴(いずれもlistening)」,あるいは相手が話せるようにするというもの(6人)。「聞くこと…。私は人にこうしろ,というような指示はしない。示唆するだけで,最後の決断は彼らがする」01「良い聴き手であること,簡単に判断を下さないこと,他者の問題に解決策を与えようとしないこと。クライエント自身で解決策を発見できるよう援助する方がよい」03「傾聴の技能…判断を控えること」05「傾聴」11・15「人が言う必要のあること聞かれるべきことを何でも言う気になるような信頼の関係を発展させることが重要」08
 他には以下のような回答があった。「理解」04「共感」05・06。「障害,社会資源についての知識」06「トピックに対して最善のピアになろうとすること。普通は障害が合っていることが有益だが,いつもそれが求められるわけではない。例えば,脊髄損傷の人は介助者を見つけ管理することについて別の障害を持つ人と議論することができる」14「ロール・モデルの効果」12「ケアすること」11「カウンセラーが本当の「ピア」たること。すなわち,障害を持ち,自己洞察力があって,自分に自信を持ち,頼りになることを相手に伝え,クライエントに他とは異なる視点を証明してやれる能力」07「他の障害を持つ人が最大限自立できるように自分が自立的に生活する上での経験,うまくいったことや失敗を分かち合おうとする欲望」10「援助するが,依存的関係を促進しないようにする」15「問題解決能力,自分自身の障害を心地良く感じること(必ずしも常に必要というわけではない),誠実,心を開くこと,自立哲学への理解,相手の秘密を尊重し,守る」05

■10「カウンセリング全般の中でピア・カウンセリングはどういう位置を占めていますか」
 対等性,経験の共有01,目標志向性09,専門的な知識を要しない13といったピア・カウンセリングの特質を述べたものをここで置けば,まず,重要なものとして位置づけられていること,受け入れらつつあることを述べたものが5人と多い。
 「1つのリハビリテーション計画の一部として法律的にも認められている」02「ピア・カウンセリング及び自立生活運動の評判は,過去10年間に良くなっている」05「次第に受け入れられてきている」13「次第に受入れられつつある・・とてもゆっくりとではあるが。Paraquadは現在,このサービスをリハビリテーションの局面にある障害者に対して供給することで病院から支払いを受けている。こうした支払いを受けている自立生活プログラムを他に米国では知らないが,支払いを受けている他のセンターもあるに違いないと思う」14「非常に重要で,専門的カウンセリングの達成できない成果を上げられると思う」15「非常に重要!」11
 次に専門的カウンセリングとの補完的な関係を述べた回答が6ある。「日々の生活の中でこそ一番重要だと思う。もっと深い情緒的・医学的問題の場合は,より専門的なカウンセリングが必要になる」04「専門的セラピーと,その状況に特別な理解を要する人々の間をつなぐ橋」06「ピア・カウンセラーは自立生活の原理を強化し,ロール・モデルとしてサポートするために,他の専門家と一緒に働く」08「専門的なカウンセラーの指揮のもとで働く準専門家と見られている」10「準専門家的技能と考えられる」03「Paraquadのピア・カウンセラーは自立生活のスペシャリスト(ILS)をサポートする」12

■11「ピア・カウンセリングをピア・サポートとどのように区別していますか。」
 専門的な訓練の有無(ピア・カウンセリング=PCの場合必要),PCは問題解決を志向するといった回答が多かった。「ピア・カウンセラーは必要とされた時には人に挑戦する責任がある。PS(ピア・サポート)を与える人はそうした影響を与えないかもしれない。ピア・カウンセラーは普段は他の専門家,すなわち自立生活の専門家と働いている」08「「サポート」は理解と共感を示すことであり,「カウンセリング」は問題を定義しそれを解決すること」09「PCは1つのゴールを設定するが,PSは様々な障害者が必要に応じて利用する継続的システム」02「PCにはカウンセラーがクライエントのニードや問題,関心に「沿う」という関係が含まれる。相互的問題解決の機会ではない。PSは相互援助の機会。対象者は2人またはグループになることもある。どちらの場合も,参加者はニードを共有し,サポートや激励を互いに提供し合う」03「PCは,個々の様々なトレーニングを受けねばならない。PSは,人が2人出会い,積極的に交流する時,いつでも自然に生じる」05。同様に前者は「コミュニケーション技能の正式なトレーニング」を必要とする06,「教える技術があり,それによってクライエントは勇気づけられるといった意味合いがある。「カウンセリング」ではクライエントが何かを変えようと自分でゴールを設定する」07
 他には,「PSとは,まったく同じ問題を体験し,そのことを語れる人間同士のサポートの性格が強い。PCも良く似ているが,私にはセンターがバックにあるので,資金とか権利擁護の問題解決を援助できる点が違う」04「PSはグループ,PCは1対1」15といった回答があった。
 また,PARAQUAD所属の5人は同じだと答えた(以下の14の他10・11・12・13)。「同じ。私達はそれをピア・コンサルテーションと呼んでいる。なぜなら,私達のところのピアはカウンセラー・・大学でカウンセリングで学位をとるプログラムで訓練を受けた人・・ではないから。私達は彼らをピア・コンサルタントと呼んでいる。なぜなら,彼らは障害を持って生活していく中での実践的なアイディアや経験について相談を受けているからである。カウンセリングを必要とする場合,私達のスタッフは専門家によるカウンセリングを提供した経験を持つ」14

■12「なぜピア・カウンセリングは障害を持つ人に対して効果的なのですか」 回答数15
 ロール・モデル,似たような経験を持つことによって理解できる(持たないものは理解できない),経験の共有といった回答がほとんどだった。「我々も障害者だから彼らは話しやすい。障害を持たないものは,障害者の感情や健常者の世界で毎日直面する問題などを充分に理解できない」01「多くの非障害者は,障害を持つ者が直面する感情的あるいは態度上の障壁を理解していない。障害に関係した問題を体験していない人々は,障害者にとって非常に重要なことをあまり重大に考えないことが多い。障害を持っていると言うだけでも大変で,話を聞き,勇気づけてくれる人がいるだけで充分な場合が多い。我々のほとんどは,全く同じあるいは同様の体験を持つ人々に深い共感を抱くものだ」04「自身も障害者のゆえに,より良く理解できる」05「障害者の体験を持つ人は,新たに障害者となった人に共感を示すことができるから」06「障害をもつことで似たような経験を共有」13「障害者は障害にどう対処すべきかについて障害を持つ人からの方がよく学ぶことができる」14「「同じところ」にいて,障害の体験を持つ者は,そうでない者とは違ったものの見方をするし,より信頼できる」15「多くの障害者はロール・モデルに会い,学ぶことがなかった。ピア・カウセンリングはこうしたモデルを提供する」08「誰でも積極的なロール・モデルを必要としているから。障害を持つ人の中には他にそうした人を持たない人がいる」09「ロール・モデル」10「他の障害者の話をよく聴き,相手の体験を認め,情報資源を分け合い,問題解決可能な方策を採る,滅多にない機会だから」03
 他には,「仲間(ピア)同士の1対1のカウンセリングで,1方が他方に優越するといったことがないから」01。

■13「ピア・カウンセラーはアカデミックな資格を持つ必要があると思いますか」
 回答数15。基本的に必要ではないとした回答がほとんどだった(14人)。「必要でない」06・13「必ずしも必要でない」15「全く必要ではない。障害を経験することが最も重要なファクター」14「思わない。実際,専門教育(ソーシャルワーカー,あるいはカウンセラー)は,カウンセラーとクライエントの間に垣根を作りかねない。カウンセラーがクライエントに対して「セラピスト的(治癒的)態度」を取ることにもなりうる」03「個人的には思わない。私の知識は,クライエントに接することで得たもの。研究会や委員会,ワークショップへの参加,様々なところから情報を得たりもした」01「訓練は必要だが,学問的な経歴だとか資格とかいったものは不必要」02。
 他方,部分的な意義を認めたものもかなりあった(5人)。「必ずしも学位は必要ないが,効果的なカウンセリングや聞く技術,コミュニケーション,アサーティブな態度,難しい情緒的問題,などへの対応について,訓練を受ける必要がある。ピア・カウンセラーがこの線に沿ったワークショップを受けられればと思う」04「思わない。しかし,学問的裏づけは非常に役立つ場合もある。もっと重要なのは,クライエントに対する態度,自立哲学への献身,そして障害を嫌と思わないことである」05「必ずしも必要ではないが,「カウンセリング」をどう定義するかによって異なる」07「必要ではないが,専門的な資格を持とうとするなら益があるだろう」11「心理学と人間の発達についてのある程度の知識を持つことは重要と考える」08。

■14「ピア・カウンセラーとしてどのような人が適していますか。」
 聴く,判断を避けるといったクライエントに対する態度(を持てる人)といった回答が8人。「良い聴き手」02・05・11・13「優れた傾聴の技術を持つ人…独断的でない」06「聴く技術」04「セッションに自分の問題を持ち込んだり,邪魔したりせずに相手の話をよく聴くことができ,助言を与えずにいられる人」03「他者の価値と考えを尊重する人,他者と容易に関係をとれる人」10「判断を避け,共感的であること」05
 他に多かったのは,障害を受容できているといった回答だった。以下,列挙する。「障害を受容」02・06・08・05「自分の生活や障害について認識」03「自分の障害や生活状態を快適と感じているか,そうしようと努力している人。ある種の恐怖感を克服し,何かを達成するところまで行った人」04「自立生活をうまく送っている人」08「自身,自立していること」01
 「心理的に感情的に安定している人」08「感情的に成熟した人」10「柔軟」11「対人関係が良好な人,面倒見が良く,正直,ユーモアのセンス,コントロールされる必要のない人」02「ユーモアのセンス」04
 「コミニュケーションの技術を持つ人」12・13「経験を積んだ者。障害者問題に,知識だけでなく,深い関心を持つこと。1対1の相手もできるが,話すこともでき,必要とあれば断固とした態度もとれること。クライエントのプライバシーを尊重し,それを守る努力をする人」01
 「誠実で,自立哲学に傾頭」「学べるものもあるが,簡単には獲得できないものもある。学問的裏付けは,非常に役立つ場合もある」05
 「障害をもっている人,あるいは障害を持つ人の家族の成員。彼等はきっと障害者をもって生活することによく適応してきたに違いない。彼等は自分自身や他の人々に対して積極的な態度をとるに違いない。彼等は他の人達が自立を達成するために,自らの成功とフラストレーションを分かち合うよう動機づけられているに違いない」14

■15「自立生活に対してピア・カウンセリングはどのような意義を持っていますか」
 回答数14。先頭に挙げる6つの回答をはじめ,自立生活にとって本質的,その一部であるとされている。「本質的。自立生活のスペシャリストとしておおいに使った。ピアは実践的な自立生活の技術を教えることに卓越しており,私が一度に多くの人と仕事するのを助ける」10「自立生活の一部! 障害を持つ人は他の障害を持つ人と感情や経験を共有するべきである」11「自立生活訓練の鍵。ピア・カウンセラーは自立生活の技術を教える」12「自立生活運動の一部。なぜならそれは消費者主権の哲学の一部だから」13「これなしに自立生活サービスを供給することはできない。それは自立生活の根であり基礎である。障害者とその家族は他の障害者とその家族と自助の哲学を分かち合う」14「重要な鍵になりうる。人が失望したり恐れたり,非常に恥じたり,悲しみに打ちひしがれたり,病気で参ったりした後,その程度がひどすぎると,世間の諸施設や環境では救いにならない場合がある」07「自立の哲学を毎日の生活に組み入れる手伝いをする」05「CILのクライエントの障害受容や適応を助ける。また障害者同士なので,将来起こりうる問題を説明して上げられる」06
 「ILセンターを通じて提供されるサービスで,クライエント主体でありクライエント自身を自立計画設定の主人公とする」03「どうやって学んだらいいか判らない人のための手段。援助を求めたり話相手を見つけられる場所。自分自身について気持ち良くなれる1つの方法。自分が1人でないことを発見できる場所」01「考え方や,目標,夢,毎日の生活に激励を与える誰かがいること」04

■16「どのようにピア・カウンセリングは訓練されますか」 回答数15
 各自立生活センターで訓練プログラムを行っている。「対人関係の技能,悲しみへの対処法や,コミュニケーションその他アルコール依存症や薬物中毒,自己評価等の現行の訓練・教育を10〜20時間,最初に受ける」03「わがセンターのやり方やペーパーワークについて訓練を受けている。実践的訓練の場が無いわけではないが,ここからは遠すぎ,予算が限られていて受けられないことが多い。「一か八か」の現場訓練を受けている。この点の解決のために,他のセンターとネットワークを組んでいる」04「2〜8時間のセッションを極力活用して訓練を行なっている。私は,テキストを点字にして(あるいはテープで),視覚障害者を訓練している」05「対人コミュニケーション技能や,地域の資源を利用し,様々な障害について権利擁護を行なう」06
 以下はPARAQUADのスタッフ。「ピア・カウンセラーの役割の説明,コミュニケーションの技術の再確認,受容できる状況のためのロール・プレイング」08「1)親密の必要 2)効果的な傾聴の技術 3)いかに助言するか 4)他者の価値をいかに尊重するか 5)いかに危機的な状況を扱うか 6)ピア・コンサルタントの適切な役割」10「自立生活にかかわることについて話す……17グループの状況のロール・モデル化を通して」12「9〜10時間の訓練セッション」13「ピアを訓練するには,はじめは,シンプルな訓練プログラムが一番よいと思う。彼等が行う各々のピア・コンサルテーションのあとで彼等をフォロー・アップする」14
 他に,「W(ワシントン)CILでは,スタッフのピア・カウンセラーは心理学の修士号を持っている。ボランティアのカウンセラーは学問的訓練は要求されず,ピア「カウンセリング」よりもピア「サポート」を提供している」07

■17「あなたもまた別のピア・カウンセラーからピア・カウンセリングを受けますか」
 回答数14。受けていないとした人が9人(08・10・12・13及び以下の5人)。「私自身は受けていない。クライエントのことで担当責任者 supervisor に援助を求めたことはあるが。他人のための権利擁護活動をしているので,そのやり方を自分についても応用している」01「受けていない。ただセンター内で他のカウンセラーからピアサポートは受けている」03・02。同様にこれをインフォーマルな形で受けているとした人が1人(09)。他に「受けていない。ただ,専門のカウンセリングセンターで,有料でカウンセリングを受けている。これは自分と自分の体験の理解に役立ち,私のカウンセリングをより有効なものにしていると思う」04「受けてない! 自立生活がたった10年の歴史しかないのだ。もっとずっと若かったから受けることも出来ただろう」11
 他の回答は以下のようなもの。「受けたことがある」06「他の障害者や他の妻たちからいつも学んでいる。いつも何か新しいことを学んでいる・・そして私は私が出会った新しい情報を他者に伝えることができる」14「時々ある。常にグループで話し合い,時には他のサポートが必要になる」15



ピア・カウンセリング  ◇立岩 真也
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