【U】
@ 近代社会は経済・政治・家族、及びその残余領域に分割される。社会的行為となる行為は各々の領域に配分され、それぞれに行為を調達するメディアが存在するとされる(貨幣・手続きの下に集計された意思・愛情・以上に収まらない意思)。そして境界が定められている。政治領域によって規制されるものとされないものとがある。貨幣による交換が認められるものと認められないものがある。こうした決定を行う審級は、多くの場合、政治領域にある。
A 私のもの、私から表出されるものはここで重要な位置を与えられた。それは各々の領域を成立させ、領域内での行為を発動させる基体とされる。それは私に固有なものとして自らを離れず、譲渡不可能なものとして社会的な流通の対象とならない。
B 近代社会に対する古典的な了解は、上の方向に解することができる。そこに入りきらない要素は、原則的に近代とは異質なものと見られる、あるいはそこに生ずる問題を解決、解消するために近代社会の成立後生じたと見られる。しかし、いくつかの歴史的な検証の作業はそうした見方に反論し、諸個人に関する実証知に基づく介入が、既に近代の開始の時に始まっていることを示した。今日生じている事態に技術の進展による部分があることを否定する必要はない。しかし、それに連続する知と実践は、19世紀の初めに既に存在し、しかもそれは近代社会の成立に重要な意味を持つと考えられる。その歴史的な経緯と論理構造を明らかにすることは、現在を考察するためにも意義があるはずである。
C こうして、近代において、個体の内部は、第一にそれ自体が起点として措定されるの